冬コミの通販のご案内です。

 ガッチャマンのファンフィク(小説)を書きました。「模倣する者たち」。家露さんのイラスト付きです。配布メディアはCD-Rで配布価格は300円、印刷イメージの pdf形式での配布です。家露さんによる内容紹介はこちら

 通販は、家露さんのサイトから申し込んで下さい。通販方法はこちら

 A5、2段組で、イラスト込み149ページの小説です。製本に出していたら、1000円以下ではできなかったと思います。お求めやすい価格にするため、電子出版にしました。Adobe Readerやその他のPDFビューアで読めます。CD-Rには、クリスマスフィクのPDF版と、メイキングがおまけで入ってます。

 内容は、忍者隊の代わりに国連軍がギャラクターを撃退する特殊部隊を作り、その影響はISOにも南部博士にも忍者隊にも及んでいく。南部は、軍が何をどうやったのか調べようとする。同時に、南部暗殺計画が進んでいた……。
 というものです。あんまり詳しく書くとネタバレするので書けません。ジャンルとしては、サスペンス&アクション、BL要素はありません。筆者が南部博士のファンなので、南部博士本になってます。諸君もちゃんと活躍します。オリキャラ数名登場します。
 内容をB5の紙に両面印刷してホチキス綴じしたものも、内容見本として用意しております。ご希望の方は、個別にご相談ください。



ジゴキラークッション

|2011/1/2(日曜日)-06:10| カテゴリー: 雑記
| 10 個のコメント

 明けましておめでとうございます。

 年末のコミケで、和子さんからジゴキラークッションをいただきました。
 写真を掲載してみます。

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 もう1枚。

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 何だか、置いておくだけで南部博士が釣れそうです。というか、南部博士が泣いて喜びそうな予感も(汗)。

 ということで、ジゴクッションを抱えた南部博士を描いてみました。背景まで手がまわらなかったので手抜きしてます。和子さん、お礼の絵はこんなんでいいでしょうか?字書きが絵を描くというのはかなり無理があるのでこれで勘弁してください。元日中に仕上げるつもりが、Painter11で、写真の一部を切り抜いて貼り付ける方法がわからなくて、製作にかかったのが日が変わってからで、お食事会には間に合いませんでした。

jigo3.png

 一応、後ろというか上の方に、巨大化したジゴキラー(本物)が居ます。
 博士飲みまくりの上、ジゴが酒を横取りしてます。それでもまあいいや、と鷹揚な南部博士でした。



【2010/12/27追記】
 あまりに焦って書いたので、足りない部分をいくつか追加しました。最後の方、だいぶ変わってます。

科学忍者隊ガッチャマンファンフィク

家路

裕川涼

●PHASE 1 アメガポリス・ISO本部

 雪が降っていた。
 南部孝三郎は、オフィスの窓際に立って、窓の外を見ていた。
 まだ午後三時を少し回ったばかりだというのに、空は暗く、乾いた雪が勢いよく落ち続けて、窓の外を白く塗りつぶしていた。隣のブロックのビルの形さえ見えない。時折激しく吹く風が、雪を舞い上げ、白と灰色の濃淡の波をつくってビルの間を通り抜けていく。
 二重のガラス窓がはめ込まれ、空調の完備した南部のオフィスは、摂氏二十三度を保っていた。それでも、窓からの冷気を感じて、南部はブラインドを下ろした。
「だいぶ道が混み合ってるようですね」
 書類を運んでいった後、報告のために戻ってきた秘書が声をかけた。
「この雪だ、視界を閉ざされてしまっているのだろう」
「珍しくホワイトクリスマスになりましたね」
「……ああ、そうだな」
 南部は浮かない顔で返事をした。確かに、アメガポリスでは、クリスマスイブに雪になることは三年に一度もない。しかし、大雪警報が出て、市内の交通が次第に止まりつつある状態をホワイトクリスマスと気軽に呼んで、果たして良いのだろうか。
「私もそろそろ今日の仕事は終わりにする。君も早く帰り給え」
 クリスマスイブのこの日、ISO職員の多くは既にクリスマス休暇に入っており、本部に出勤している人数は普段の半分以下になっていた。
 秘書が出て行ったのを見て、南部は、防寒着を羽織った。軍の放出品である。国境警備隊が使っているもので、性能の方は申し分なかった。もちろん、階級や所属を示すワッペン等は全て外されていた。
 部屋を施錠して南部は廊下に出た。いつもはそれなりに人が行き交っている廊下は閑散としていた。エレベーターの前で待ち、上から降りてきたケージに乗り込んだ。マフラーを首に巻き、分厚いオーバーコートを着込んだアンダーソン長官が乗っていた。
「さすがに南部君でも今日は早く帰るのかね」
「ええ、子供達が待っていますから」
 南部は既に、科学忍者隊候補として、健とジョーの二人を引き取って、ユートランドの海岸の別荘に住まわせていた。他の候補者も探しており、あと二人ばかり心当たりはあったが、まだ接触していなかった。
「そうか、それは大変だな」
「いえ、普段は家政婦や家庭教師が居ますから。しかし、今日はみんなクリスマスイブで不在なので、私が早く帰らないといけないのですよ」
「そうか、あの広い別荘に子供達だけでは寂しいだろうね」
 南部の別荘は、ちょっとした研究所並の規模と設備を備えていた。窓の少ない巨大な建物の中に、普通の住居としての部屋の他に、コンピュータールームや実験室や医療設備までがあった。
「仕事が長引いて遅くなったとしても、ケーキを買って必ず帰る、と約束したのですよ。早く片付いてよかった」
 話をしているうちに一階に到着した。南部とアンダーソンは、揃ってロビーから外に出た。
「見事なホワイトクリスマスになったな、南部君」
「長官、それは……」
 建物から出た途端、突風に見舞われた。空から降る雪と、既に降った雪の両方が風と一緒に吹き付けてきた。南部は、思わず左腕で顔と頭を覆った。
「そんなロマンチックな状況ではなさそうです」
 南部は叫んだ。叫ばないと風の音に声がかき消されてしまう。
 ツリーの飾り付けを隠さない程度に静かに降る、というのが、南部のイメージするホワイトクリスマスであった。氷点下のブリザードが吹き荒れ、ツリーの樹氷が乱立する状況をホワイトクリスマスとは断じて言わないはずだ。
 待たせてあった車に乗って去っていくアンダーソンを見ながら、南部は、吹雪の中に足を踏み出した。

●PHASE 2 アメガポリス市内

——目当てのケーキ屋に寄ってから、車でも拾おう。
 南部は、ケーキ屋に寄って、定番のブッシュ・ド・ノエルの最大サイズを選んだ。隣のユートランドまで帰るのだと言うと、店員は厳重に包んだ後、提げ袋に入れ、さらにドライアイスを多めに入れた。外は冷凍庫並の気温だが、暖房の効いた車で帰るのであれば、ドライアイスは必要である。
 大通りに出てタクシーを呼び止め、南部はユートランドへと向かった。雪と風のため、電車は全部運休していたので、他に選択肢は無かった。しかし、ユートランドシティへ向かう途中で渋滞に巻き込まれて、全く先に進めなくなってしまった。
「何かこの先であったのでしょうか」
 南部の言葉に、運転手は黙ってラジオのスイッチを入れた。
——アメガポリスからユートランドに向かう橋の入り口付近で、可燃物を積んだタンクローリーが横転、炎上中です。雪と渋滞のため、消防車がたどり着けないため、消火作業の目処が立っていません。現在、消火剤を積んだヘリも、強風のため飛行を見合わせている状態です。
「お客さん、この分だと、ユートランド着けるのは何時になるかわかりませんねぇ」
「橋を迂回できないかね?」
「迂回すると山の方を回ることになりますが、向こうは日中降り続いた雪のせいで、除雪が間に合わなくて全面通行止めです。まあ、予報によれば吹雪はそろそろ峠を越えたようで、夜には止むそうですが……」
「そうか。歩いて橋を渡れないか、近くまで行ってみる」
 南部は、運転手に料金を支払い、チップをはずんでからタクシーを降りた。車道の脇の歩道を歩いて、アメガポリスとユートランドを結ぶ橋へと向かった。
 ニュースでは橋の入り口付近と言っていたが、火災は橋の上で起きていた。どうやら、橋を渡ろうとしてスリップし横転、橋の上に流れ出した可燃物に火がついたらしい。そこへ、停車し損なった車が何台か突っ込んで、さらに被害を拡大していた。オレンジ色の炎が、橋を吊っているワイヤーに届き、黒い煙が上がっていた。風が吹く度に長く伸びた炎が揺れていた。
 橋は、上下二重構造になっていた。最上部は自動車専用、最下部は歩行者や自転車用の道と保守点検用の通路が並んでいた。
 南部は、橋のたもとまで来て、脇道に入った。スロープをたどって下に降りた。橋を渡ろうとした時、叫び声が聞こえた。
「ちょっとあんたたち、何するのよ!」
 南部は声のした方を振り返った。古びたカートがひっくり返り、がらくたが雪の中に散乱している。若い男達三人が、老婆を引きずり倒していた。
「おい、君達、一体何をしてるんだ!」
 南部は駆け寄った。
「てめぇ、なんのつもりだ!」
 男の一人が殴りかかって来た。南部は躱そうとして、雪に足を取られてバランスを崩した。予想外の動きに、パンチを振り切った男の方が足をもつれさせた。手に持ったケーキを気にしながら、南部は、宙に浮いた右足で思い切り蹴り上げた。タイミング良く男の顎に命中した。男が雪の上に倒れた。両手でケーキを抱えたまま、南部も雪の上に尻餅をついた。残る二人を睨みながら、ゆっくり立ち上がった。
「いい加減にしないか!」
 南部は、倒れている男からゆっくりと遠ざかった。
「仲間を連れてさっさと行け」
 男達は、舌打ちしながら、倒れている一人を両脇から抱えて去っていった。二人まとめてかかってこられたら危なかった、と思いながら、南部は溜息をついた。
「大丈夫ですか」
 雪の上に座り込んでいる老婆に声をかけた。
「ありがとう、助かったわ」
 南部は、老婆に近づき手を差し出し、助け起こした。仕草から、左手が不自由だとわかった。
 老婆の年齢は、七十歳か八十歳か、すぐには見当が付かなかった。古くなった枯れ木という表現の方がぴったりくるような、しわくちゃの顔と手だった。おまけに、顔の左側に酷い火傷の跡があった。老婆はしっかり着込んではいたが、上着もズボンも所々破れていた。
 雪の中に老婆の持ち物が散らばっていた。古い雑誌や新聞、毛布、簡単な食器類など、どう見てもホームレスの道具一式だった。南部は、老婆といっしょになってがらくたを拾い集めて、カートに入れた。
「本当にありがとう、ええと……」
「ISOの南部だ」
「あなたが南部博士ね。名前をきいたことがあるわ。とにかく助かったわ」
「怪我はありませんか、その……」
「あら、私の名前なんかどうだっていいのよ。怪我は無いわ。これからどこへ行くつもりなの?」
「ユートランドに帰るところだ。では」
 南部は、橋を渡ろうとした。上では火災が続いていて、火の粉が舞い落ちていた。いくらも進まないうちに、老婆に呼び止められた。
「ちょっとあなた、南部博士!」
 南部は振り向いた。橋のたもとで、老婆がカートを懸命に押していた。
「どうしたんだ?」
「雪にひっかかって動けないのよ」
 南部は、小走りで老婆の方に向かった。カートの車輪が、雪に食い込んだ上に橋の側溝の蓋の隙間にひっかかってしまっていた。片腕が不自由では脱け出すのは難しいだろう。南部はケーキを脇に置き、しゃがんで両手でカートを引っ張り上げた。
「あら、さすがね若い人は」
「いや、私はもうそんなに若くはないんだが」
「私に比べれば子供みたいなものよ」
 突然、背後で轟音が響いた。南部は振り返った。車道が崩れ落ちて、解けた橋の材料やアスファルト、車などが次々に落下し、下の通路に激突した後、その勢いで一部は海に向かって落ちていった。
「一体何が起きたの?」
「上の火災で燃えていた化学薬品、かなり高熱を発していたらしい。橋の材料の一部が融けて、強度が保てなかったのだな」
 南部は、崩れ落ちた橋の断面を見ながら言った。
「どうやら、助けられたのは私の方らしい。あのまま歩いていたら今の崩壊に巻き込まれていた」
「橋は渡れるの?」
「上の平らな部分が崩れただけだから、橋そのものは大丈夫だろう」
「それなら早く行きましょう」
 老婆はカートを押して、瓦礫や車の一部が散乱し、所々炎が上がっている歩道を歩き出した。
「おい、ちょっと危ないぞ」
 老婆はまるで意に介さない。仕方無く、南部は、老婆を手伝ってカートを一緒に押しながら、狭くなった歩道を歩いた。
「ここまで来れば、もう火災の影響は無いだろう」
 言い終わった途端に突風が吹き抜け、南部は慌ててカートを手で押さえた。
「油断してると飛ばされるぞ。お婆さん、家はユートランドにあるのですか」
「家?私ゃ見ての通りの暮らしぶりだわさ」
「じゃあ何でこんな無茶を」
「あなたユートランドに行くんでしょ。それなら、ユートランドの教会まで私を連れて行ってくれないかしら」
「そういうことか。いいでしょう、途中まで一緒に行きましょう」
 教会では、クリスマスの夜に、経済的に困っている人達や孤児たちに、食事を振る舞うといったことが行われていた。老婆の身なりからしても家はなく、援助に頼るしかないということなのだろう。
「この天気、峠は越えたはずだ。飛ばされないように気を付けて」
 南部は、カートの上にケーキを置いて、カートを押しながらユートランドへと向かった。

●PHASE 3 ユートランドシティ

 何度か風に煽られながら、南部は、老婆と一緒に橋を渡り、ユートランドシティに入った。ユートランドも大雪の影響で、電車やバスが止まった上、車は最徐行で運転し、それでもあちこちで交通事故が起きていた。
「さて、どっちに向かうか……」
「こっちよ。裏道だけど近いの」
 立ち止まった南部を置き去りにして、老婆がすたすたと歩き始めた。
「道が完全に凍っている。そんなに急ぐと危ない」
 南部はあわてて後を追った。とたんに足が滑って、カートに捕まってどうにか転ばずに踏みとどまった。
 突然、路地から勢いよく車が走り出してきた。老婆をかすめてスリップしながら方向を変え、走り去った。巻き込まれた老婆が道に転がった。
「おい、婆さん、大丈夫か!」
「何て酷い人達!許せないわ。後で警察に言ってやるから」
「その分なら大丈夫そうだな」
「ええ、巻き込まれそうになって除けようと思ったら転んじゃったのよ。でも、あの人達、ぶつかってたって確実にひき逃げしてたわね」
 雪のせいで、車の轍が鮮明に残っていた。
 老婆は、車が走り出してきた路地へ入っていった。
「そっちが近道なのか?」
「いいえ、でもあの無茶な人達の正体を突き止めなきゃ」
 仕方無く、南部は、カートを押しながら老婆の後についていった。轍は、角を二回右に曲がった路地のところで止まっていた。車に向かう足跡も残っている。老婆は、足跡が出てきたドアを開けた。
「おい、不法侵入になってしまうぞ」
「いいってことよ」
 堂々とした態度で老婆はドアの向こうに消えた。仕方無く、南部はカートを置いて、老婆の後を追った。
 そっとドアを開ける。人の気配は無かった。
「あら大変!」
 先に入っていた老婆の大声が聞こえた。南部は声のした部屋に入った。作業机があり、工具類が雑然と置かれていた。
 老婆は、机の上に置かれた紙を手にとって見ていた。
「誰か居たらどうするんだ!」
 南部は小声で、しかし強い調子で言った。
「それどころじゃないのよ、ちょっとこれを見て!」
 老婆が南部に紙を突き出した。
 侵入経路が赤で書かれた建物の見取り図と物品の配置、警備の陣容、用意するべき武器弾薬リスト等だった。
「どこかの襲撃計画に見えるが……」
「この建物、ユートランドの文化芸術会館よ」
 言われてみれば南部にも覚えがあった。
「銀行ならともかく、そんなところに金目の物なんかなさそうだが、一体どういうつもりなんだ?」
「多分、絵よ」
「何?」
「あちこちの美術館から絵を借りて、クリスマスのチャリティー展覧会をやってるのよ。子供達が大勢来ているはずだわ。美術館よりは警備が手薄だから、絵を盗むつもりなのよ」
「いつやる気なんだ」
 壁にかかったカレンダーを見て、南部は黙った。これ見よがしに、今日の日付つまり二十四日に印がつけられている。
「決行は今日なのか。警察に電話を」
「電話は隣の部屋よ」
 南部は、隣の部屋に行き、受話器を上げた。何も聞こえない。
「雪の重みであちこち電話線が切れたのかもしれない」
「そう、それなら直接行くしかなさそうね」
「行ってどうするつもりなのだ……」
 南部の問いかけを全く意に介さず、老婆はまたもや、すたすたと歩き出した。

● PHASE 4 ユートランドシティ・文化芸術会館

賑わっているはずの文化芸術会館の扉は閉ざされ、静まり返っていた。
「この大雪で、展覧会は中止になったのでは」
「そんな筈ないわよ。向こう側へ回ってみましょう」
「何も起きてなければ、そのまま教会へ直行、今度は寄り道は無しだ」
 南部は宣言した。早いところ、ケーキを持って帰って、健とジョーに渡したかった。
 会館正面の建物は、中にコンサートホールや室内音楽を演奏するための部屋がいくつもあった。絵の展示は、中庭を挟んだ反対側の三階建ての建物で行われていた。中庭にに植わっている木も、その間に置かれているオブジェも、雪が積もって白一色に凍り付いていた。
 一階は休憩スペースを兼ねたロビーになっており、中庭に貼り出している。それに接する形で三階建ての窓の少ない建物が、直射日光を避けなければならない絵の展示に使われていた。
 南部の期待は裏切られた。絵を見に来た子供達は一階に集められていた。ショットガンを持った男が、暖炉を背にして全員を威嚇していた。
「遅かったか……」
「放って置いたら、絵を奪った後、あいつらは子供達の何人かを人質にして逃げ出すつもりだわよ」
「しかし、うかつに近寄ったらこっちが危険だ。何とか注意を逸らして不意打ちするしかないが……」
 南部は建物の屋根を見た。暖炉の上あたりに、四角く太い煙突が突き出している。
「単なる飾りなら屋外の煙突は要らないはずだ。どうやら上までつながっているらしい。あとは、相手の気を逸らす方法だが……」
「ISOの天才でしょ、何か思いつかないの?」
「そのカートを見せて」
 南部は、老婆のカートの中を探った。水が半分ほど入ったペットボトルを見つけて手にとり、防寒着のポケットに入れた。次に、カートの上に載せていたクリスマスケーキの手提げ袋を開けた。ケーキは箱詰めされたあと、包装紙やラップで巻いてあり、紙の小袋に入ったドライアイスが箱の上と周りに詰め込まれていた。南部は、ドライアイスをほとんど抜き取り、防寒着の反対側のポケットに入れた。
「ケーキを預かっておいてもらえるかな」
「いいわよ」
 老婆がカートの中のがらくたを寄せて場所を作った。手提げ袋ごと、南部は、ケーキをその隙間にそっと入れた。ついでに、カートの中に転がっていたドライバーとガムテープを手に取った。軽く上に投げてキャッチし、ポケットに突っ込んだ。
「子供達を逃がすのを最優先にするが、他に仲間が居るはずだ。できたら警察に通報してくれ」

 南部は、ペットボトルの蓋を外し、ドライアイスをドライバーの柄で砕いて中に入れた。再び蓋を閉め、よく振り混ぜた。窓の片側にカーテンが寄せられていて、その部分だけは、中から外を見ることができない。南部は、ガムテープでペットボトルを窓硝子に貼り付けた。
 そっと建物の裏にまわり、ドアのノブに足をかけ屋根に飛びついた。積もった雪が崩れ落ちてくる。何とか屋根の上に這い上がり、立ち上がった。ある程度雪がある方が滑りにくい。ゆっくりと南部は煙突のところまで歩いていった。
 煙突の上に取り付けられている雨除けのカバーをドライバーで外し、南部は中を覗きこんだ。
 下の方はオレンジ色だが、特に暖かくはない。子供達が来るイベントなので、火を燃やさず、照明を設置することで雰囲気だけ出しているらしい。
 南部は煙突の中に入った。両足を突っ張って体重を支え、ゆっくりと下に降り、暖炉のすぐ上で待った。
 五分と経たないうちに、ぼんっ、という音がしてペットボトルが破裂した。同時にガラスの割れる音。南部は、暖炉の中に飛び込んだ。灰が舞い上がる。炎に擬したランプを設置してはいたが、暖炉として使っていた時の灰は雰囲気を出すためそのままになっていた。暖炉の前を塞いでいる柵を蹴り倒して、ショットガンを持ったまま窓の様子を窺う男のに向かって、後ろから飛びついた。床に倒し、両手を組んで、後頭部を思い切り殴りつけた。南部の方は、手首を痛めたかという衝撃を感じたが、男は呻き声を上げて動かなくなった。
「サンタクロースなの?」
 子供達から声があがった。
 この場合、サンタクロースというよりは、むしろ、ローストチキンの方だろうと南部は思った。火がついてなくて不幸中の幸いだ。
「ちがーう!みんな逃げるんだ!」
 南部は叫び、展示会場になっている奥の建物へと向かった。
——仲間はどこに居る?
 廊下に出て展示室を回る。絵のいくつかは既に外されていた。
——運び出すとしたら裏口か……。
 南部は、建物の見取り図を思い出し、従業員専用の出入り口へ向かった。廊下が濡れている。どうやら、最近ここを通って外から入ってきた者が居るらしい。
「何をしている?そのまま手を上げろ」
 後ろから怒鳴られて、南部は、ちら、と振り向いた。絵を片手に持った男が、拳銃を南部に向けていた。南部は、両手を挙げてゆっくりと振り返った。
「職員は全員片付けたはずだが」
「いや、私はここの職員じゃない」
 男の後ろから、老婆がカートを押しながら近付いてきた。カートの車輪がキイキイと小さな音を立てた。男に気付かせないために、南部は大声で怒鳴った。
「子供達はみんな逃げた。バカな真似はよせ。すぐに捕まるぞ!」
 男が銃の安全装置を外した。その後ろから、年寄りとも思えない勢いで、老婆がカートごと犯人に突っ込んだ。
 カートに足を掬われた男は、カートの上に尻餅をつく格好になった。絵を取り落とし、南部の方に近付いてくる。南部は駆けだし、すれ違いざまに顎に右ストレートを叩き込んだ。男はカートから転がり落ちて気絶した。
「助かった……」
 南部は、手首を押さえた。殴り合いには慣れていない。
「私も捨てたもんじゃないでしょ」
 老婆は、男が落した絵を拾った。
「モーツァルトの肖像画だな。良く見る物とは少しタッチが違うようだが」
「今売出し中の画家の作品よ。アマデウス……神様に愛された人、ね。天賦の才を持つ人をそう呼ぶわ。あなたと同じよ」
「私は別に……」
「生きている間に仕事をし続けて、若くして亡くなったわ。作品の方は人の歴史とともに残り続けるでしょうけれど」
 南部は眉をひそめた。同じ目には遭いたくない。
 老婆は、絵をそっと壁に立てかけた。
「さあ、行きましょう。教会はすぐそこの筈よ」

● PHASE 5 ユートランドシティ・某教会

 普段なら徒歩十五分で済むはずの道なのに、三十分かかった。雪は小降りになり、風もほとんど止んでいた。しかし、除雪は間に合わなかった。二人は、人の踏み後を辿り、雪をかきわけながら歩くことになった。
「教会には連れてきてもらえるし、子供達は助かったし、ステキなホワイトクリスマスになったわね」
 老婆が笑うと、顔の皺が倍増したように見えた。
「天災レベルの大寒波を、ホワイトクリスマスとは言わないと思うのだが……」
 今日、三度目になる愚痴を、南部は呟いた。どうして誰もかれも、たまたまイブの日に雪が降っただけで、ホワイトクリスマスと言いたがるのだろう。
「それに、私にとっては妙に忙しいクリスマスイブになった」
「あら、それは仕方がないわよ。あなた以外にちゃんとできる人なんか居ないのだから」
 南部は深い溜息をついた。
「さっきの話をまとめると、神様に愛された場合、才能を授けられて嫌というほどこき使われるか、早々に天に召されるか、どっちかだということになるな」
「モーツァルトはその両方だったわよ」
「神を信じてありがたがる人の気が知れないな。どう見ても愛されると災難でしかない。いっそ、神には無視してもらった方が幸せな人生を送れそうだ」
 ビルの谷間から、教会の塔と十字架が見えた。
「ここでいいわ。後は一人で行けるから」
「そうか、じゃあケーキを返してくれ」
 南部は、老婆のカートの中から、手提げ袋に入ったケーキを引っ張り出した。カートに入れられたまま、傾いたり衝撃を受けたりしているはずである。南部は、ケーキの無事を祈った。
「南部博士、あなたに神のご加護を。メリークリスマス」
 老婆にそう言われても、神に愛されると酷い目に遭う話をされた後では、釈然としない。
 老婆が教会に向かったのを見て、南部は、別荘に向かって歩き出した。南部一人なら、急いで歩けば一時間はかからない。
「博士!南部博士!」
 聞き覚えのある声に呼び止められて、南部は立ち止まった。防寒服に身を包んだ健とジョーが、歩道の反対側に立っていた。吐く息が白い。
「どうしたんだね、二人とも。別荘で留守番してたんじゃなかったのか」
「そのつもりだったんだけど、ちょっとそこの教会に立ち寄ってたんだ。そのあと……」
「健、もういいだろ。帰ろうよ」
「どっちにしてもここで会えて良かった。戻って、君達二人が居なかったら、探し回るところだったよ」

● PHASE 6 ユートランドシティ・南部の別荘

 健とジョーにケーキを渡して冷蔵庫に入れるように言った後、南部は念入りに上着とズボンの埃を払った。暖炉の灰の中に飛び込んでしまったため、全身灰塗れで、髪にも髭にも眼鏡にも白い灰がくっついていた。とても、そのままで子供達とケーキを食べる気分にはならなかった。
 埃を落すためにシャワーを浴びた。シャワーを持つ手首がはれぼったい。どうやら、暴れ回ってあちこち傷めてしまったらしい。シャワーを終えた南部は、違和感を覚えた個所に湿布薬を張り付けた。小一時間で作業を終え、リビングに行った。
 夕食は、雇った家政婦に頼んであった。詰め物入りのローストチキン、パエリア、ガーリックトーストといったイタリア風の料理一式が、暖めたらすぐに食べられる状態で準備されていた。
 健とジョーが勢いよく食べるのを、南部は眺めていた。動き回りすぎて少々バテたのか、南部の方は食欲は今一つで、赤ワインを飲むことにした。アルコールの刺激で食欲が戻れば、と思ったが、酔いが心地よいだけで、食事をしようという気分にはならなかった。
 二人の食事が終わったのを見て、南部は、ケーキを取り出した。
「いろいろあったからな。無事ならいいんだが……」
 不安を覚えつつ、南部は箱のラッピングを外して蓋をとった。
 最大サイズのブッシュ・ド・ノエルはまったく無傷で、売っていた姿のままだった。
 奇跡だ、と口に出しかけて南部は黙った。ケーキが無事なのを神の奇跡のせいにしたら、さすがに神だってそのチープさに怒るだろう。
 ケーキを切り分け、健とジョーが喜んで食べるのを見ながら、南部はソファに移動してワインを飲み続け、そのまま眠ってしまった。

「博士、起きてよ!」
 健とジョーに揺り起こされた。テーブルの上には空になったワインのボトルがあった。起きようとしたら体の節々が痛んだ。両手首は捻挫、足は肉離れ、その他軽い打撲に全身の筋肉痛に、南部は呻き声を上げた。
「朝っぱらからどうしたのかね、二人とも」
「今朝の新聞見てよ。マリア像見つかったって!」
 南部は、健が差し出した新聞を手に取った。テーブルの上に広げる。
「あの教会のマリア像が見当たらなくなって、昨日は、近くの子供達がみんなで探してたんだ。僕達も、探すのを手伝ってたんだよ」
「聞いてないぞ」
「だって、博士、昨日はすごく疲れてるみたいだったから……」
 南部は、記事を目で追った。
——クリスマスイブの五日前に、教会でボヤが起きた。暖房器具が倒れたためで、一緒に倒れたマリア像の一部が焦げた。そのおかげで、火傷をせずに済んだ子供がいて、マリア様のおかげだと感謝していた。修復のため、マリア像は教会の奥にしまわれたが、そのまま行方がわからなくなっていた……。
 戻ってきたマリア像の写真が載っていた。写真を見た南部は、そのまま凍り付いた。マリア像の傷は、昨日一緒に居た老婆の頬の火傷と腕の傷と、まったく同じ傷だった。
「そんな、まさか……」
「どうしたの、博士」
 健とジョーが揃って南部を見た。
「……いや、偶然だろう。いくら何でも……」
 南部は頭を振って、新聞を置いた。
「直すのにお金がかかるって言ってた。ねえ博士、僕達も寄付していいかな?」
「そうだな、君にその気があるなら、私も協力しよう」
 ジョーの顔が明るくなった。ジョーにとっては、教会は身近な存在である。
「散々こき使っておいてご加護の方はケーキの分だけだったがな……」
 喜んで窓の方へ歩いて行く健とジョーを見ながら、南部は苦笑した。
 ケーキの無事しか祈らなかったことは、完全に忘れていた。

——完——

●あとがき

 またもや、クリスマスイブに突入してからクリスマスフィクを書き始めるというドロナワをやっちまいました。来年はもうちょっとゆとりのあるスケジュールで書きたいです。

 というわけで、家に着くまで南部博士を夜通し走り回らせてやろうかという計画もあったのですが、プロットを詰める時間がなくて、陳腐な展開にしました。コミケ用の方はしっかり作ったので、クリスマスフィクはこんなもんで勘弁してください。



 南部博士のフルネームの漢字表記に諸説あるという話をこれまでもしてきたわけですよ。

やっぱりわからん……
デアゴの調査でもはっきりしなかった南部博士の名前

 ところが、ちょっと有力な資料を見つけました。
 ガッチャマンIIのシナリオ「恐怖の合成植物ミュータント作戦」(製作No.9、放映No.7)の最初の、登場キャラクター一覧のページに「南部耕三郎」と書かれていました
 IIの他の回は、私が持っているシナリオの最初のキャラクター一覧は全て「南部博士」となっています。
 今回判明したのは、久保田圭司脚本の回です。しかし、別の久保田さん脚本の回では、「南部博士」となっています。なぜか、この回だけ、キャラクター一覧に南部博士のフルネームが書かれています。不思議です。
 Fの方は、手持ちのシナリオでは「南部長官」「南部博士」となっていて、フルネームが書かれているものはまだ見つけていません。

 ということで、他に有力な資料がなければ、IIでは「耕三郎」確定でいいのかな、と。まあ、これからもじっくり資料蒐集を続けてみます。



工作3題

|2010/11/23(火曜日)-23:43| カテゴリー: F, 蒐集
| 4 個のコメント

 しょうちゃんの「ガッチャマンFぬりえ こうさくつき」を3種類入手しました。うち1種類は、ゆかりさんから分けていただきました。ゆかりさん、あ・り・が・とー!

 ぬりえは、表紙も内容も違っていて、付録の工作も全部違っています。

 エゴボスラーやギャラクターのコマンドは出てきますが、3冊集めても南部長官は1回も出てきません(哀)。あんなに酷い目に遭いながらがんばって、最後は拷問されて射殺されるというのに、人気が無かったんでしょうか……。
 気を取り直して、こうさくの紹介に行ってみましょう。

 これ

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の工作は、ガッチャマンヘルメット。

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 これ

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の工作は、鉛筆立て。

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 これ

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の工作は、ガッチャスパルタンでした。

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 こうさくページは、厚紙で、ぬりえと一緒に綴じ込まれています。
 今となってはレア物なので、本物を切って使うのは勿体ないから、こうさくページだけ、近くのコンビニでカラーコピーしてきました。紙は薄っぺらだけど、一応切り貼り可能です。

 ガッチャマンヘルメットはこうなりました。

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 お面の要領で、切れ込みのあるところが顔になるようにして、両側の紙テープ部分を頭の後ろに回してセロテープで留めて装着します。さすがに、私の頭では入りそうにない上、適当な大きさのモデル人形も無かったので、広げた状態での撮影となりました。

 ガッチャマンえんぴつ立てはこうでした。

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 撮影用に組んだだけなので、エンピツ立てたら破れます(爆)。カラーコピーの紙を厚紙に貼ってから作れば、実用的な強度のものができると思います。

 最後が、ガッチャスパルタン。

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 アニメの通り、ガッチャ1号だけ分離可能です。芸が細かい。

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「科学忍法、ハイパーシュート!」と叫んで遊べます。

 工作の難易度的には、スパルタンが面倒かな、と思いました。折る回数が多い、途中まで切り込みとか面倒、保護者の方と一緒に作りましょう、の世界です。

 なお、初代のぬりえはこうさくつきではありません。初代のゴッドフェニックスを紙で作るというのは、どう考えても子供の手には余ります。

 というか、大人向けに、ペーパークラフトゴッドフェニックスを出してほしいなあ、と思ったり……EX合金高いんだもの。



気温の問題(初代101話、F39話)

|2010/10/18(月曜日)-22:29| カテゴリー: F, 初代
| 2 個のコメント

 ゆかりさんのところでコスプレ特集しているので、便乗してみます。あと、ゆかりさんのところからキャプ画像2枚お借りしました。ジゴ承諾でお願いします……。

 まず、初代101話「狙撃集団ヘビーコブラ」。
 沼を引きずり回される健↓

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を助けに来る、エスキモースタイルのジョー↓。ゆかりさんのところで紹介されているように、このシーンは、バードスーツの上にエスキモーっぽい上着、というコスプレです。

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 沼地の水は凍っておらず液体のまま、ジョーが立っているところは普通の土の地面で、草も生えています。多少寒かったとしても気温は余裕で0℃以上です。
 この気温で、本物のイヌイットのフード付き外套なんか着たら、暑くてどうにもなりません。あの外套の保温力は半端じゃないんですよ。ということで、ジョーのこのシーンは、単なるコスプレでしょう。着ている外套は本物ではないと思われます。

 一方、こちらはF39話「失脚!エゴボスラー伯爵」。
 北磁極(北極点からは1000kmほど離れているらしい)近くにテントを設営し、臨時天文台を建設して宇宙パルスを観測しようというミッションのために、南部長官自らが出向きます。案の定、観測の最中に、エゴボスラーとケンペラーの両方に襲われて、命からがら逃げ出すシーンがこれ。

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 南部長官と鴨技師長は、見渡すかぎり凍りついている海の上を犬ぞりで逃げまわる羽目に。南部君、あんたはアムンセンかそれとも植村直己かと突っ込み入れましたわ。
 観測ミッションの方はというと、氷の上にでかい電波天文の設備を建てています。おまけに吹雪いてました。
 こんなことができる気温って、氷点下40℃くらいじゃないと無理でしょう。気温が高かったら氷が割れて危ないので、建造物なんか置けません。下が陸地の南極と違って、北極は海ですから、氷の厚み以外に下を支えるものは何もないのですよ。
 アップの映像が無いのではっきりしませんが、南部長官も、普段のスーツの上から上着+オーバーズボン+ブーツの三点セットを着ているようです。

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 気温から考えて、南部長官の方は本物を着てないと即凍傷、時間が経てば凍死確実です。コスプレじゃ済みません。
 むしろ、この気温で、短時間でもバードスーツのままで外に居られる諸君の方が驚異的です。バードスーツの防寒性能って一体……。そういえば、IIで吹雪に見舞われた健(II23話)も凍死はまぬがれていましたし、北壁ロッククライミングをやった諸君(II29話)もバードスーツだけで何とか寒さを防いでいました。

 これを見るとますます、101話のジョーはコスプレだったんだなあ、と。だって、バードスーツで0℃以上の気温なら、防寒装備全く必要無いじゃないですか……。



 しるふさんのところでチャットをしていたら、鰻重とかつ丼の話が出まして。話をするうちに、「あの角を曲がって」というしるふさんのちょっと前のフィクのネタだとわかり、食欲の秋なので(謎)、「あの角を曲がって」というタイトルで各自お気に入りのキャラ+メニューでフィクを書いて提出、ということになりました。その宿題として書いたものです。
 フィクのタイトルは、「あの角を曲がって」の後に、メニューを並べて書いたものとする、ということになりました。メニューを何にするかもチャットの流れで決まりました。食堂の設定はしるふさんが最初に書かれたものに合わせています。
 既にしるふさんの掲示板に投稿したのですが、向こうはパスワード制なので、こちらでも同じものを出しておきます。
 私が書くので、主人公は当然のことながら南部博士です。

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あの角を曲がって ロースかつ膳+美少年

 打ち合わせは一段落したが、問題は解決していなかった。

 ギャラクターの動向を探るために探査機を十機以上打ち上げて地球全域をくまなく24時間監視できるシステムを作る、という計画がISOで進められていた。ISO長官の南部考三郎がこのプロジェクトを進めると決定したのは半年前だった。普通に作れば、打ち上げの方も大型のロケットが新しく必要になる。しかし、探査機の方に新素材をいくつか使えば、軽量にしたまま強度を維持できるので既にISOで打ち上げ実績のあるロケットを使えることがわかり、製作が進められた。ところが、一週間前、完成した探査機の試験の最中に問題が発生した。
 使った新素材の中に、熱の伝わる速さが極端に違うものがあった。その二つを組み合わせて使うと、想定したよりも大きな温度の違いが生じ、歪みがかかって壊れやすくなる。温度変化に対する耐久試験の最中にそのことがわかった。現場のチームは大慌てで対策を考えることになり、南部もその対策会議に出ていた。ある程度遡って設計からやりなおす、打ち上げの失敗を前提にしてこれまで通りの作り方で手早く探査機を余分に作っておきロケットの方はまだ信頼性に疑問のある大型のものを使う、という2つの案が出た。それぞれにかかる人的物的コストと、完成までに要する時間を見積もるために、この三日間、南部は釘付けになっていた。事前に書類を配って話し合えば済む種類の会議ではない。疑問が出て、データが足りないとわかる度に、実験室で測定し、手描きのグラフやらメモ書きの数値やらのコピーを回しての検討になった。
 さすがに、飲み物と軽食くらいは運び込んでいたし、休憩時間に他のメンバーは食事を摂っていた。しかし、長官の南部にその時間は無かった。空き時間を全部使って長官決裁の要る書類を処理しないとISOの他の業務が止まってしまうからである。
 六日目の夕方になって、これ以上続けても疲労によるミスが増えるだけだし効率も上がらない、という判断で、南部は会議を打ち切った。対策方法それぞれについて必要な時間と人員の見積もりは見えてきたが、方針を決定するまでには至っていなかった。「次の招集は明朝から、それまでは全員休養をとるように」と宣言した後、南部は長官室には戻らず、白亜のISO本部ビルの通用口からそっと外に出た。

 南部は、余計な情報をシャットアウトした上で、どう結論を出すか考えたかった。本部ビルに居る限り、誰かが仕事を突っ込んでくるので、落ち着いて何かを考えるのは無理である。かといって、人通りの多いところをISO長官が一人で歩けば、それだけで目立つ。自然と、南部の足は静かな路地へと向かっていた。

「お食事ですか?」
 いきなり声をかけられて、南部は我に返った。路地の突き当たりの日本家屋の入り口の扉を開けて、男性が微笑んでいた。騒々しい店なら入るのを止めようと思って扉の内部を伺ったが、混雑している気配は無かった。南部は軽く頷いて、紺色の暖簾をくぐり、中に入った。他の客の姿は見えなかった。南部は、カウンターの真ん中の席に座った。本日のメニューです、と渡されたのは、手書きの紙切れ一枚だった。ここ数日、まともなものを食べていなかった南部は、麺類と丼物をまず除外した。その結果、天ぷら定食、刺身定食、ロースかつ膳の三択になった。
「何にいたしましょう?」
 カウンターの向こうから男が声をかけた。
「定食から選びたいのだが……」
「それでしたら、かつ膳はいかがでしょう?豚肉のいいのが入ってますよ、今日は」
「ではそれにしてくれ」
「お飲み物は?」
「何かお薦めのものがあるのかね?」
「じゃあこれで」
 男が持ち上げた一升瓶のラベルには「美少年」とあった。
 一合入る透明なガラスの杯に満たされた清酒を半分まで飲み、南部は杯を持ち上げた。透明な液体が揺れている。目で見ただけで酒と水を区別する方法があるかと訊かれたら一体どう答えるべきだろう、と、ふと思った。

 身に付いたスーツにネクタイ姿、髭に眼鏡の男性がグラスを目の高さに掲げたままで固まっている、というのは、誰が見ても挙動不審であったが、それを見ても店主は特に話しかけたりしなかった。

「こちらがソースです。ゴマを潰して入れてください」
 平たい器に入った褐色のソースと、小さなすり鉢に入った白ごまが、白木のテーブルの上に置かれた。南部はグラスを置き、一緒に出されたすりこぎでゴマを潰しながら苦笑した。ここ数日の会議の途中の実験では、測定のために試料を粉にする必要があって、乳鉢を使って全く同じ作業をしていたのだった。その時間が唯一、南部が何も考えずにいられる時間でもあった。

「もうそれくらいでいいですよ。随分楽しんでらっしゃるようですが」
 気が付くと、既にゴマは粉々を通り越してペースト状になっていた。
「ふむ」
 南部はすりこぎを置き、ゴマをソースの中に箸で入れた。
——つい熱中しすぎたようだが、他人の目から見ると私の姿は楽しそうに見えていたのか……。
 それはともかく、もうそろそろだろう、と、南部はカウンター越しに厨房を見た。ちょうど、分厚いカツを油から引き上げ、まな板に載せるところだった。ざく、ざく、と、勢いよく衣ごと切る音が響いた。そのまま包丁に載せて皿に盛りつけ、流れるような動作で南部の前に差し出された。
 丸い皿の上にステンレスの網があり、その上に丁度良い大きさにカットされたとんかつが並んでいた。付け合わせのキャベツもたっぷりあった。南部は切断された面を見て、眉をひそめた。ぶ厚い肉の真ん中のあたりがまだ少し赤っぽい。充分に火が通っていないのでは……。
「ごはんと味噌汁、直ぐに出しますよ」
 言いながら男は、カウンターの上に、大きめの椀を2つ置いた。
「今日はキノコの味噌汁ですよ。秋ですからねぇ」
 それはいいんだが火の通り具合が、と言おうとして皿に目をやった南部は、再び固まった。赤っぽかった部分は完全に色が変わっており、ちょうど食べ頃になっていた。
「おぉ、これは……」
 南部は一切れ取って口に運んだ。カリっとした衣と分厚くて軟らかい肉が美味い。何の抵抗もなく食べ終えていた。自覚はしていなかったが、体の方は相当に飢えていたらしい。次の一切れをソースの小皿に入れながら、この厚さと形状のカツを作るシミュレーションをしろ、と命じたらISOの技術者連中はどうするだろう、と考えた。外側のパン粉や衣の部分と肉とでは熱の伝わり方が違う。しかも、火が通ったところと生のところでもやはり違う。それが時間とともに変わっていくのだから、さぞかし難航するだろう。
 熱い油から取り出した後も、熱は伝わる。ここの店主は、真ん中に火が通る直前で上げて、ご飯と味噌汁を出すまでの時間差で、余熱を使って加熱を完了させた。経験がなせる技とはいえ、衛星の熱伝導計算でこけたISOの連中に爪の垢でも煎じて飲ませたい……。
 そんなことを考えているうちに、南部は、ロースかつ膳を平らげてしまっていた。杯の方も空になっている。とりあえず杯を差し出し、お代わりをもらって、一気に流しこんだ。
「美味かった。油から上げるタイミングが絶妙だったな」
「わかりますか」
 店主は満足そうに笑った。
「真ん中に火が通るまで油の中に入れておくと、揚げすぎになるんですよ」
「そうらしいな……それだ!」
 南部は勢いよく立ち上がった。
 ここ数日の打ち合わせの結論が固まりつつあった。充分長い時間一部を暖めてしまう前に、姿勢を変えて反対側を暖めればいい。要は、とんかつを作るのと同じ要領だ。そのためには探査機を適当に回しておく必要があるが、今の設計のままでもやれなくはない。設計をやり直すとか、数打ちゃ当たるなどということをせずに、運用でカバー、でいこう。探査機の寿命が少し短くはなるが、それは仕方がないだろう……。
「今日はロースかつ膳を選んで良かった」
 分厚いとんかつがきっかけで解決策を見つけた南部の本心だった。店主が想像した理由とは違っていたが。
「ありがとうございます。またいい肉を用意しておきますよ」
 支払いを済ませて南部は外に出た。すっかり日が暮れていた。酒のせいか、耐え難い眠気に襲われつつあった。南部はISO本部に戻り、ベッドルームに潜り込んだ。横になってからのことは覚えていなかった。

 数週間後。
 探査機打ち上げのカウントダウンが始まっていた。南部は司令室で、モニター画面の中に立ち並ぶロケットを見守っていた。時間差でリフトオフし、まっすぐに上昇していくロケットを見ていると、ふと、例のとんかつを打ち上げている気分に襲われた。南部は首を左右に振ったあと眼鏡を外し、ポケットのハンカチで拭いてからかけ直した。
「長官、どうなさったんですか」
 横に立った係官が訊いた。
「……いや、何でもない」
「でも、一時はどうなることかと思いましたよ。スケジュールが大幅に遅れるか、予算超過になるか……それが南部長官のアイデアで解決したんですから」
「私のアイデア、か……」
 南部は呟いた。
「ところで君、とんかつの揚げ方を知ってるかね?」
「はぁ?」
「……いや、いいんだ。さて、もう私がここに居なくても大丈夫だろう」
 怪訝な顔をした係官をその場に残して、南部は司令室を出た。



争奪戦(F 34話)

|2010/10/7(木曜日)-00:32| カテゴリー: F
| 4 個のコメント

 F34話「エゴボスラーの策略」。
 宇宙パルスのレポートをISOに送ってきたダニエル・シュバール氏に、長官自ら変装して会いに行く回です。しかしエゴボスラーに変装を見抜かれ、先回りしたケンペラーにシュバール氏は殺されてしまいます。そうとは知らない南部長官は、エゴボスラーが変装したシュバール氏と会い、薬で眠らされてとらわれてしまいます。こっそり(のつもりで客観的にはかなり怪しい)格好で5人まとまって長官の護衛のために後をつけてきた諸君は、シュバール氏が殺されていることに気づき、南部長官を救出に向かいます。長官は無事救出されましたが、宇宙パルスのレポートのほとんどはエゴボスラーに持ち去られ、長官の手元には最後の1枚が残っただけでした。
 既によねさんが1つ前のエントリーでコメントしているように、ISOには情報部もあるのになぜ長官自ら変装して出かけるのかとか、密かに護衛の筈の諸君が目立ちすぎとか……。それ以外にも、いったいいつの間にシュバール邸の前の巨大な像に鉄獣仕込んだのかとか、どこからどう突っ込んだらいいのか、何とも言いがたい回です。

 むしろこういう回こそ、腐女子の視点を通して解釈しなおすと新たな楽しみを見いだすことができるんですよ。さあ皆さん、準備はいいですか、総員腐女子フィルターON!

 ある日、ISOの南部長官の元に、分厚い手紙の束(宇宙パルス研究レポート)が届きます。口説きの基本は相手が欲しがる話題を出すことですから、これはまさに、南部長官宛のラブレター。差出人は宇宙物理学者のダニエル・シュバール氏、若い眼鏡っ子↓です。

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 さっそくラブレターに目を通す南部長官。一撃で一目惚れ

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 立場と身分を考えたら、ISO情報部を派遣するとか、諸君に迎えに行かせるとかして、ISO本部にシュバール氏を呼びつけるのが普通でしょう。ところがシュバール氏の「密かにお会いしたい」の一言で、仮にもISO長官が、世界の南部孝三郎博士ともあろう者が、おめかしして↓、たった一人で航空機を乗り継いでお忍びの旅。これはもう、身分の垣根を越えた人目を忍ぶ恋そのものです。

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 ここで横恋慕したのがエゴボスラー伯爵。普段から南部長官の動向を探っていたあたり、どこから見ても立派なストーカーでした。
 南部長官とシュバール氏を会わせてなるものか、と、先回りして、シュバール氏を殺してしまいます。それだけではおさまらず、シュバール博士に変装して南部長官を待っているあたり、偏執狂的な変態趣味が伺えます。
 そんなことはつゆ知らず、南部長官はシュバール氏に会います。が、光の加減で変装だということに気づいたところを、エゴボスラー伯爵にガスで眠らされてとらわれてしまいます。
 一方こちらはガッチャマン基地。長官単独のお忍びの旅に仰天する諸君。しかし健ちゃんは、「俺が長官の立場にいたら、同じ行動をとったと思う」と長官の恋の道行に同情的です。が、そうも言っておれず、みんなで護衛に出発します。健ちゃん、典型的な尽くすタイプです。他所の男の処に通うような浮気性なヤツであっても心配して面倒見にいくという……。

 こちらは、恋敵のシュバール氏を出し抜いて南部長官をゲットして大満足のエゴボスラー伯爵。ストーカー男がターゲットを無理やり家に連れ込んだ、といったところでしょうか。南部長官、いきなり貞操の危機です(爆)。

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 こんな怪しいストーカー野郎に南部長官を連れ去られて黙っている健ちゃんではありません。
 南部長官は俺のものだっ!と、南部長官が囚われている鉄獣の中に乗り込みます。壮絶な南部長官争奪戦が展開されます。

 南部は俺のもの、とエゴボスラー伯爵。

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 お前なんかに南部長官は渡さないぞ、と実力で奪い返す健。
 「ウチの人を返しなさい。ここに居るのはわかってるのよ!」と、台詞まで響いてきそうです。

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 南部長官、二人に言い寄られて大人気というかモテモテです

 ストーカー男にいじめられてダメージを受けてる南部長官を支えて連れ出す健。

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 それはもう大事に抱きかかえています。

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 そんな健ちゃんの心を知ってか知らずか、南部長官はシュバール氏の遺品をずっと握りしめたまま。
 その上、「ダニエル・シュバール。私は生きている君と会いたかった」とつぶやきます。

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 南部長官は亡くなったシュバール氏のことを片想いしたまま。こんなに尽くしたのに、健ちゃん、結局南部長官に振り向いてはもらえませんでした。故人がライバルでは、時が解決する以外にほとんど勝ち目はありません。なんて切ない……。

 とまあ、こんな具合に読み替えると、昼メロの世界が見えてくるんですよ。いや〜腐女子フィルターは偉大だわ。



とうとう南部博士まで(F 34話)

|2010/10/5(火曜日)-01:47| カテゴリー: F
| 2 個のコメント

 ゆかりさんのところで、諸君の変装について取り上げられていましたが、Fになると、南部博士まで変装してくれます。
 F34話「エゴボスラーの策略」。
 宇宙パルスのレポートをISOに送ってきたダニエル・シュバール氏に、長官自ら会いに行くところです。

 変装前。

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 変装後。

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 南部博士としてはばっちり変装したつもりだったのですが、変装の技術においては、名人級のカッツェ以来、ギャラクターの方が圧倒的に優れていたようです。変装を見抜く技についてもやはりギャラクターの方が上でした。南部博士のせっかくの変装も、エゴボスラーに即見破られてしまいます。

 それはともかく、長官自らこの格好でお忍びで出かけられては、護衛しないわけにはいかず、諸君も変装して後を追うことになります。その結果、普段とは違う姿からバードゴーすることに。

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 一方、エゴボスラーの方もダニエル・シュバール氏に扮して待ち受けていました。それを見ても南部博士は見抜けなかったわけで、やはり変装技術はギャラクターの方が圧倒的に上ですね。
 この回は、正義側も敵側も全員が変装して顔合わせという回になってます。まさに「誰だ、誰だ、誰だ〜」な状態ですね。



もしも……

|2010/10/3(日曜日)-23:26| カテゴリー: 雑記
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 もしガッチャマンの指揮官&マントル計画室長が南部博士ではなくて岸和田博士だったら……。

◯博士が眉にしわ寄せるシーンは無し。
◯白衣の下は裸がデフォ。
◯初代ゴッドフェニックスが改造したプテラノドン。
◯Gタウンの形は轟天号、しかも先端部分はくいだおれ太郎のヘッド。
◯ハイパーシュートのあとはGスーツが黒コゲになる。
◯諸君が名乗りを上げるときに、なぜか腰に手を当てている。
◯ギャラクターの撃退は楽勝だが、ISOが原因で人類が滅びる。癌細胞は全部殺しましたが患者も死にました、みたいなノリで。



放映38周年なんですね

|2010/10/1(金曜日)-01:46| カテゴリー: 初代, 雑記
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 南部響子さんのサイトを見て気づいたのですが、ガッチャマンの放映38周年なんですね。認識してなかったぬるいファンの私(汗)。

 記念すべき1話についてのコメントは既に「カラー大図鑑と1話」に1つ書いてます。
 南部博士ファンの立場で見ると、やっぱり、「準備期間はたっぷりあったはずなのに、火の鳥のテスト無しのままゴッドフェニックス出したのかよ、博士!」に尽きます。

 リアルタイムでは1話は見そこねていて、コロムビアのDVDが出た時に買って1話を見て、最初の雨のシーンに驚愕しました。つくづく、初代は神作品過ぎます。
 昨年秋にReeさんに嵌められて、なぜか南部博士に転んでからいっそう楽しく見ています。英語版も買ったので、ヒアリングの練習替わりに続けて見ておかなくちゃ。 



ガッチャマンのトランプ

|2010/9/28(火曜日)-01:25| カテゴリー: 蒐集
| 7 個のコメント

 スキャナで取り込んだ時の画像フォーマットがtiffになってたせいか、ブラウザで見えないというコメントが(汗)。pngに変えてアップしなおしました。

 ガッチャマンのトランプです。
 ポーズをとっているガッチャマンとゴッドフェニックス、という、子供の期待を裏切らない絵になっています。

card01.png

 しかし、どうして健ちゃんの股間が赤丸で隠されているのか、とっても気になります。全裸ならともかく、バードスーツなのに……。

 まあ、「カード中央を赤く塗りつぶして内側にこの書体で大文字アルファベットを印刷する」というのと「ガッチャマンとゴッドフェニックスをかっこよく見せたい絵」が合体した結果、アレな図柄になったんでしょうけれど。

 こんな具合に、普通にグッズを作っただけでなぜか微妙な結果になるというのが、ガッチャマングッズには多く見受けられるので、コレクターとしては楽しい限りです。

 ジョーカーはカッツェ様でした。

card02.png



 52話「レッドインパルスの秘密」。

 この回には、レッドインパルスの使っている銃のアップが出ています。

052-01.png

 トリガーの前の弾倉が特徴なのですが、実際に何をモデルにして作画されたのかがよくわかりません。
 トリガーの前に弾倉で有名なのはモーゼルC96なんですが、全体のプロポーションがまるで違います。
 で、ひょっとして原型はこれか?というエアガンを見つけたので衝動買いしてしまいました。

AirGun.png

 APS競技用のものです。撃つのは普通のBB弾です。比較のために、14.5インチのMacBook Proの上に置いて写真をとりました。
 無意味にゴツいし、でかいです。
 これのモデルになった競技用の実銃がドイツで作られた、という話はあるようで、そっちがレッドインパルスの銃のモデルかもしれないんですが、まだ特定できていません。

 それはともかく、撃つとBB弾がくっつくターゲットという便利なものがあったので、買ってきて試しに撃ってみました。
 ところが、気分はレッドインパルス……のつもりが、颯爽とはいかなかった(笑)。
 これ、全体の重量が1.3kgあります。片手で狙いをつけて止めようとしても、しばらくすると腕が震えてしまって、狙いが定まらないんですよ。両手で持てばかなり安定して、狙ったところに命中という感じなんですけど。
 こうなると、そんなに頑張って撃たなくても、これを片手で握ってきっちり構える練習をすれば、腕の筋肉を鍛えるトレーニングになりそうです(爆)。ということで、天気が悪くても室内でできる筋トレの道具と化しました。気が向いたら射的。

 レッドインパルスの銃、実物がもしあったとしたら、重量の点ではこのエアガンといい勝負かもしれませんね。実銃のモーゼルC96が1.1kg、デザートイーグルで1.6kg超ですから。

 あとは、Fで南部博士が使ってたのが、形状からみて多分M16なので、適当なエアガンを物色中です。一度実際に構えてみたいなあ、と。

 ジョーファンだったら、コンパクトな形状のS&W買ってくれば済むのに(モデルはいくつかあるが実銃でも1kgは超えなさそう、600g前後?)、おっさんキャラのファンになると、関係ないところで苦労しますねぇ……(違)。



迷宮にて (2) 完結

|2010/9/19(日曜日)-04:34| カテゴリー: ファンフィクなど
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 既に公開済みのフィクですが、blogに出した方が読んでもらいやすいというアドバイスをいただいたので、連載形式で出してみます。
 初めての方は先に、



迷宮にて (1)

|2010/9/19(日曜日)-04:28| カテゴリー: ファンフィクなど
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 既に公開済みのフィクですが、blogに出した方が読んでもらいやすいというアドバイスをいただいたので、連載形式で出してみます。今年のバレンタインフィクとして作ったものです。
 とはいえ、南部博士のバレンタインですので、ロマンスは皆無の上、事件になっちゃってます。

続きを読む……