ゴマカシと丸投げがお見事(初代 88話)

|2010/6/21(月曜日)-23:51| カテゴリー: 初代
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 銃を乱射して服役中の男の資料を見せる南部博士。

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 このあとの指令が滅茶苦茶。

あの男から訊きだしてほしいことがある。

あの男は一生無言を守るだろう。生まれながら、口がきけないからだ。

 当然、冷静な突っ込みが。今回はジュン。

ええっ、口もきけない人からどうやって聞き出すのですか。

 まあ当然の疑問だわな。
 ところが、

君達は科学忍者隊だろう、方法は任せる。

 南部博士にもどうやって聞き出すかという妙案は無かったらしく、見事な丸投げっぷり。いくら科学忍者隊でも、口のきけない人を治療するのは無理ですが……。筆談でもしてこいということなんですかね。
 難色を示している諸君を前に、

手がかりはある。あの男は、牢の中に入りたくてわざと罪を犯したのだ。

 手掛かりがあったって男が口きけるようにはならなないでしょうが。全く問題の解決になってないのに、諸君を説得する自信があるのか、もったいつけて机の方に歩いて行く南部博士。触角頭が跳ねてるところをみると、煙に巻く気充分ってところですかねぇ。

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 ベルクカッツェと書かれたギャラクターの女隊長の写真やら、その女性の女学生時代の焼け焦げた記録ファイルやらを次々と出してきて、諸君を驚かせます。

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 諸君が驚いているのをいいことに、

さて、はっきりしているのは、牢の中にいる男はこの記録と写真を持っていたがためにギャラクターに狙われた。カッツェの正体が女なのか、それとも別に秘密があるのか、どちらにせよ、ギャラクターが追い回しているところからみて、余程重要なものだろう。私があの男から聞き出せと行ったのは、そこだ。

 しれっとした顔↓で諸君に命令。

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 目の前の証拠に驚愕している諸君は、「口のきけない人からどうやって聞き出すか」という問題が棚上げになっていることも忘れてそのまま任務に出かけてしまいます。
 さすが年の功というべきか経験の差というべきか、自分に妙案がない時に相手に仕事を押しつけるごまかしっぷりがお見事でした。ジョーの「机に座って指図してるのと実戦とは違いますよ」って文句はむしろこの回で言うべきだったのかもしれません。

 とりあえず、南部博士が周囲をビックリさせるような証拠とか資料とかを出して仕事を頼んできた時は、何か肝心なことを忘れてないか、落ち着いて考えた方が良さそうです。この手を使われて、後ではっと気付いた時にはものすごく大変な仕事を振られていた人達って、南部博士の周辺に何人も居そうな気がします。南部博士の人使いの荒さが垣間見れた回でした。

※この記事は日記帳に書いていたものの再掲です。読みやすくするためこちらにまとめておきます。

 初代の頃から、ISOの予算で作った筈の三日月基地が南部基地と呼ばれていたり、各国代表をISOの会議場に軟禁したりと、上司であるアンダーソン長官を差し置いてやりたい放題やってた感のある南部博士ですが、IIでも相変わらずです。

 まず1話。科学者や軍人の行方不明事件が続き、ISO本部で対策が話し合われています。IIのISO本部の会議場は、参加者は移動する椅子&机のユニット(モニター付き)に座って、どこかの大講義室みたいに傾斜のある床に並んで座ります。座席は広い部屋の両側に雛段みたいに並んでいて、一番偉いアンダーソン長官が参加者全員から見えるように、会議場の真ん中の低い位置に居て、全員が見られる大型のモニター(情報を出したりする)が壁面に取り付けられている、という構造です。普通に発言するならば、傾斜のある座席に居たままでもできるにも関わらず、南部博士はわざわざ下に移動してきます。
 で、科学忍者隊は健在です、と言い出す直前のシーン。会議場の中央で、わざわざ全員の注目を集めた上で、「G」マークのメダルを指で上にはじき飛ばします。

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 落ちてくるメダルを……。

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 見事にキャッチ。

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 これで落っことしたら只の間抜けですが、そこは決めてくれます。なかなか運動神経もいい。しかし、全員にこれを見せる意味って一体何なんでしょうか。初代の時より悪目立ちしている気がします>南部博士。

 そして8話。人工衛星の行方不明事件が相次いだため、アンダーソン長官は、南部博士を長官室に呼びます。
 対策を協議するはずが、南部博士は腰に手を当てたまま、長官の方はガン無視して、窓の外を見ています。初代の時も、アンダーソン長官の前での初登場シーンでは、円卓の会議場で腰に手をあてて立ち上がるポーズをとっていました。上司の部屋に呼び出されているのにこの態度というのは、初代に輪を掛けて失礼というべきでしょう。

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 アンダーソン長官の方は南部博士と打ち合わせするつもりで、ちゃんと南部博士の方を向いているというのに、南部博士ときたら、背中を向けたまんまです。

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 その上、めちゃくちゃ不機嫌な表情。深刻な事件の対策のために来たのだから、愛想笑いせよとまでは言いませんが、何だか、「既に対処してるのにわざわざ呼び出して報告なんかさせやがって要らん手間増やしやがってからにコノヤロー」という台詞が聞こえてきそうな雰囲気がひしひしと……。確かに、長官は衛星消失事件に困り果てていて、南部博士の方は忍者隊という実働部隊を抱えていて対処の実務を担っているんですけどね。それにしてもこれではアンダーソン長官が何だか気の毒になってきます。
 全長3キロ弱の巨大海底空母Gタウンの建設にしても、「有志を集めて」やっちゃった南部博士。忍者隊だって密かに手元に温存していました。どう見ても、ISOを影で牛耳って実権握ってる黒幕は南部博士で、アンダーソン長官はお飾りです。

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 9話では、舞台は再びISOの会議場へ。
 会議場の中央で、参加者全員に向かってアンダーソン長官が説明をしているのですが、その長官の目の前で、腕組みして目を閉じてる南部博士。長官の演説ではどうせ大したことは言わないだろうから私が真面目に聞く必要はない、とばかりに、露骨に聞き流している雰囲気が。もし内心でそう思っていたとしても、全員居る前なんだから、もうちょっと耳を傾けてあげないとアンダーソン長官の立場が無いと思うんですが、南部博士はそんなことはお構いなしです。
 あるいは、「どうせ具体的な説明も対策も私がやる羽目になるんだからどうでもいい演説なんかさっさと終わらせろ」とでも思っていたかもしれません。実際、この後、詳細の説明と忍者隊の活動状況を南部博士がプレゼンすることになります。

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 結局、南部博士が一応は真面目な態度でアンダーソン長官の相談に乗ったのは、11話になってからでした。脅迫されたからといってハイプルニウム600をギャラクターには渡せない、という相談を長官室でしているところです。
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 普通にお仕事中の表情です。

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アンダーソン「頼むぞ、南部博士」
南部「科学忍者隊にお任せを。」
とかやってるシーンです。
ってか、これが世間一般での、上司の前での態度だと思うんですが。

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 まあ、作戦が成功すれば態度については不問、というのが、ISOという組織が実力本位で動いていることのあらわれなのかもしれません。

 でもねぇ、アンダーソン長官にこんな態度をとってたから、Fになったとたん、今度は自分が長官に祭り上げられて動きにくくなるというという貧乏籤を引く羽目になったんじゃないのかね、南部君。ついでに、健やジョーの態度が悪くても、説教できた立場でもなさそうですねぇ。

【再掲】IIの27話が……

|2010/6/21(月曜日)-03:06| カテゴリー: II
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※この記事は日記帳に書いていたものの再掲です。読みやすくするためこちらにまとめておきます。

 IIの27話、「南部博士死す!」がいろんな意味でものすごいのでメモしておく。キャプ画像も多いので、表示が重くなりますからご注意ください。

 この回は前回からの続き。直前の回では、マントルエネルギー採取工場で爆発が起きて、南部博士が調査に行くことになる。同時に、南部博士の秘書のパンドラ博士が登場するんだけど、ジョーはギャラクターの回し者ではないかとパンドラ博士を疑っている。調査に向かった南部博士が撃たれたという連絡が入って……というところで「次回に続く」。そして今回の話です。

 まず、南部博士とパンドラ博士が調査に赴くシーンから。何も考えずに見ると、結構いい雰囲気で、南部君にもパートナーが出来たか、というシーンなんだけど、最後まで見ると最凶コンビ誕生のシーンだという……。

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 それはともかく、撃たれて病院に担ぎ込まれる南部博士。医者が説明のために出した図がこれ。「小口径の銃のようなもので頭を撃たれています。この側頭部に弾丸の通った後があります。脳には達していないのですが、どういうわけか、脳波はひどく乱れていて、そのため我々も慎重に対処しています」だそうだが、とりあえず傷の位置に注目しておいてください。頭の側面で、しかも後ろの方に傷があります。
 なお、前回と、今回の前半に登場する、南部博士が撃たれて倒れるシーンは、諸君の想像図みたいなもので、実際に起きたこととは違っています。

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 この回、南部博士の寝姿をたっぷり見れる回でもあるので、紹介しておきます。まず、運ばれていくシーン。

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 寝てる南部博士のアップ。眼鏡は無い。かわいい……。
 南部君って、黙って寝てると人畜無害なんですよね(爆)。いやまあ、黙って寝てても人畜有害な方が希だろうとは思うんですが。
 それにしても南部博士が寝てる時ってろくなことになってません。初代じゃ猿の脳波にされて自爆装置のスイッチを入れかけたし、今回は問答無用で脳波を止められ仮死状態に。Fでは洗脳装置による頭痛で、一度は眠ったものの装置に操られて暴れ回って破壊の限りを尽くすし。

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 心配して見守る諸君。
 それはともかく、上のX線撮影像を考えるに、どう見ても頭部にそれなりの怪我なわけで、包帯でも巻いてあげてほしいです。真面目に手当てする気があるのかこの病院は(汗)。

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 南部博士が指揮を執れないので、パンドラ博士の指令で、怪しい電波(?)が出ているところに向かう諸君。ところが、途中でISOから「南部博士死亡」の連絡が入ります。引き返そうという諸君に向かって、任務続行を命じる健。でも、さすがに「南部博士〜!」と、動揺は隠せません。その時の健のイメージがこれ。健、こういう博士を想像してたみたいです。

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 さて、このあたりから、絵的にも設定的にも暴走します。
 南部博士は実は仮死状態にされていただけで、南部博士が狙われていることを察知したパンドラ博士は、南部博士を病室から移動させます。その、移動させた先のベッドがこれ。どう見ても何かの儀式用の台で、サイドにはたいまつが立ってて炎が……。何ですかこのオカルトじみたベッドは(笑)。何で四隅にたいまつを立てて火を付ける必要があるんだか。インディジョーンズか何かで、これから生け贄にするか、はたまた復活の儀式をするか、って雰囲気になってます。ベッドというよりただの台です。

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 パンドラ博士の説明によると「これはシンレーダーといい、サイキックパワーの制御と探知の装置で、わかりやすく言えば、心霊現象や脳波を増幅してエネルギーに変えるマシーンなの」……っておい。
 メカが出てくるところはいいとしても、このあと、サイキックバトルが展開。やっぱり、IIは「ムー」路線を走ってるような。小隅先生にいろいろ聞いて科学を入れる方向で考えたはずなのにねぇ。
 後ろの方の南部博士のベッド、隠されてるけど全体が見えるわけですが、何でその形なんですか……。天蓋付きのベッドにしろとは言わないけど、全体を見ても何だかなぁ。しかも、どっかから光が差し込んで南部博士だけ照らしているあたりが余計怪しいし。火は消えてるみたいだけど。ご神体扱いですか?

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 上から見た図なんだけど、やっぱり何かの儀式用にしか見えません。階段で上がる台の上に、さらに固い材料でベッドを作って南部博士を寝かせている。エジプトの壁画で、ミイラを作ってる図があったんだけど、あれで使ってるベッドがちょうどこんな感じだったような……。怪我人の扱いとしてはどうなんだと。
 パジャマに着替えさせられて寝てる南部博士は珍しいけど。ところで眼鏡は何処へ?

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 パンドラ博士の装置のアップ。どう見ても、どこぞの宗教団体の怪しいヘッドギアにしか見えません。

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 パンドラ博士を疑って、一人駆けつけたジョーに交代してのサイキックバトル。「ガッチャマン」じゃなくて、「超人ロック」かよ!ってツッコミを入れたくなりました。
 それにしてもIIは「ムー」系のネタ炸裂です。6話でピラミッドパワー、14話でナスカの地上絵モドキと円盤、22話のストーンヘンジネタにUFOによるアブダクション、そして今回はサイキックバトル。小隅先生にSF考証を頼んで、科学を入れる方向で作ったって話だけど、一体どこが?と言いたくなります。

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 復活した南部博士。心配かけて済まなかった、と平然としています。
 IIを見直して気付いたんだけど、ピントがやたら甘いシーンがある。明らかにピンぼけだろうという……初代とFではあんまり目立たなかったんだけど、IIの製作で何かあったんでしょうかね。

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 実際に起きた銃撃シーンはこちらだった模様。
 パンドラ博士曰く「あの怪獣が博士の脳波を頼りに迫って来ることを知ったあたしは、一時的にでも南部博士の脳の働きを止めることを思いついたの。もちろん特殊な銃でね。しかも味方も欺いて。だって、あたしの予知したこのことは、誰にも信じてもらえないと思ったからなのよ」。怪物が襲ってくるのをパンドラ博士は「予知」して知ったと。そう言われてしまうとそれ以上追求のしようがないんだけど、「予知」って一体……。科学はどこへ行ったんだーっ!
 その上、誰も信じてくれそうにないから味方から欺いて南部博士の脳を止めたのがこの方法だ、というのは、どう考えてもぶっ飛び過ぎです>パンドラ博士。
 相手は普通の人じゃなくて南部博士ですよ。命は助かると考えていたのかもしれないけど、脳波が戻ってみたらパーになってました、って可能性は考えなかったのかしら。南部博士にバカになられちゃ、後々かなり困ったことになるわけですが。
 まあでも、さすがの南部博士もびっくりしたんじゃないかなぁ、採用したばっかりの秘書に事情も知らされないまま問答無用で撃たれたわけで……。「ええーっ、何で?」と思ってそう。
 ところで問題は傷の位置が謎だということです。上の方のX線撮影の図だと、横から撃たれないとああはならないわけで。「特殊な銃」だと説明してますが、脳波を一時的に止めるから特殊なんだという説明は納得するとしても、正面のこの位置から狙って、頭部側面しかも後ろの方に傷ができるというのは、別の意味で特殊過ぎる気がいたします。

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 南部博士だってこれまでさんざん「敵を欺くには味方」ってな作戦をやってきてるわけで、同じコトをやった秘書をさらに信頼したふうではあっても、苦情を言った様子はありません。問答無用で頭を撃って脳波を止めるという乱暴な作戦に出ても、結果オーライで認めているご様子。まあ、今更文句を言っても自業自得というか。
 南部博士の偉いところは、自分に対しても他人に対しても評価の基準が一貫しているところではないかと。
 しかし、客観的に考えると、この二人が揃うと、双方天才の上、平気で味方を欺き、目的のためには強引な方法でも平気で採用するコンビ、ということで、もはや止める方法がないというか、止める人がどこにも居ない、最凶最悪のコンビじゃないのかと。ISOと南部博士が考慮の末に秘書を選んで、とんでもないのを連れてきちゃったみたいですね。まあ、パンドラ博士位の人でないと、南部博士の秘書は務まらないのもわかるんだけど。どう見てもGタウンもマントル計画室も、今後は「南部博士×2」のパワーで運営されそう。
 「私が選んだ秘書に間違いは無い!」と言いたげな視線で胸を張ってる南部博士が素敵です。いや、確かに間違ってはいないしお似合いだとも思うんだけどさぁ……。

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 そして最後になって、「いいのよジョー、あなたこそ南部博士を救ってくれたのよ。そのサイボーグの脳が無かったら今頃は……」と、感謝の言葉に紛れこませて、ジョーがサイボーグであることをあっさりバラしてしまうパンドラ博士。
 驚愕する諸君にはかまわず、「そうだ、普通の人間ならとてもあのパワーには耐えられなかっただろう。おかげで、マントル採取工場の調査に戻れる。ありがとう」と、ジョーがサイボーグになってたという事実にはちっともこだわらず、あっさりスルーした上、マントル採取工場の方ばっかり気にしているらしい南部博士。ジョーはサイボーグでもまあいいや、というかむしろラッキー、と思ってるのが丸わかり。遠くを見つめた目は、既に事故への対処方法に考えを巡らせているあらわれでしょうか。本当にこの二人はいいコンビです。
 南部博士一人でも大変だったのに、それが2倍になって、周囲はたまらんだろうけど(爆)。
 いやね、この分だと、もし、ジョーから告白してたとしてもですよ、
ジョー「博士、実は俺の体はサイボーグで……」
南部「あっそう」(昭和の帝の口調で)
ってな光景が頭に浮かぶわけですが。ボスがこれで秘書がこれだと、ジョー、一人で悩んでいたのがアホみたいです……。まあ、こういうボスと秘書だから、サイボーグでも違和感なくお仕事できる職場になる、という面があるのでしょうけれど。

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