78話「死斗!海底1万メートル」
 ジョーの両親がギャラクターのメンバーで、抜けようとして殺されたことが明らかになる回ですが、そちらはジョーファンの方にお任せするとして……。
 今回は珍しく、ギャラクターとは関係無しに出動することになります。ギャラクターも後からやっては来るのですが、ギャラクター側も運任せの部分があったような。
 仕事のきっかけは、断層地震が頻発中のマリアン海溝にある国際科学技術庁の海底研究所から1週間連絡がないので調査が必要になった、というものです。この調査のために、南部博士は、健とジョーを潜航艇マリンサタン号に乗せて派遣します。ジョーは体調悪そうなんですが、南部博士はジョーに仕事を依頼します。

いや、万一の事故を防ぐためには計画通り実行したい。

よし、念のため言っておくが、もし潜行途中でマリサタン号に事故が起きた場合、たとえどんな状態にあろうとも、任務を放棄し、帰還するように。いいな。なお私達は水中レーダーでマリンサタン号を監視している。では、成功を祈る。

 二人が出発した時点では、海底研究所のトラブルとギャラクターを結びつける証拠は何もありませんでした。南部博士も、ギャラクターとは関係無いと考えて送り出したようで、事故の可能性しか考えていません。
 南部博士も、調査船に出向いてそのまま滞在し、マリンサタン号の監視やら何やら仕事をしています。ジュンは、博士のアシスタント役をこなしています。

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 研究所に向かうのは健とジョーだけです。状況次第では、救助した技術者達を潜航艇に乗せて戻らなければいけない状況なので、最初に大人数で行くわけにもいかなかったのでしょう。ギャラクターを相手にする時は単独行動を戒める南部博士も、今回は2人だけで別行動をとらせています。このことからも、南部博士が、研究所のトラブルとギャラクターとはさしあたり関係がないと考えていたことがわかります。

いや、それもおかしい。ギャラクターははっきりと利益があると見ない限り、手を出さない。海底研究所が今までに集めたデータを整理しても、有益な資源があるとも思われないのだ。

 これが南部博士の考えでした。研究所の業務自体はマントルプランの一環だったかもしれませんが、資源の確保にも結びつかず、さほど重要な位置づけでは無かったことも、ギャラクターがわざわざ手間暇かけて狙うはずはないだろうということの根拠になっていたようです。
 ところが、ギャラクターの海底空母がやってきて、マリンサタン号を追い抜いて海底に向かいます。マリンサタン号よりも先に基地に到着したギャラクターの隊長と兵士達は、研究所に誰もいないことを不思議がっていました。カッツェは、忍者隊が出てくると予想していた口ぶりで命令を出していましたが、研究所からの連絡途絶の調査に忍者隊が出てくることを予想していたというよりは、研究所を襲えば確実に研究所まで忍者隊をおびき寄せることができる、というつもりだったのではないでしょうか。ただ、ギャラクターが到着した時には、既に研究技師達は全員居なくて、ギャラクター側も空振りになってしまいました。
 こんな状態なので、南部博士も不審がります。

おかしい。現在、マリンサタン号以上の高性能な潜航艇を所持している国は無いぞ。やはりギャラクターか……

 考え込んでこんなご様子↓。

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 ほとんど同じコマに見えるんですが、南部博士が頭をかきながら考えるシーンって珍しいです。顎に手を当てて考えるポーズは頻出してるんですが。で、このとき、髪の跳ね具合が微妙に変わるのが何ともかわいい……。

 ところでこの回、ギャラクター潜水艦内の会話がカッツェに筒抜けであったことがわかります。南部博士もゴッドフェニックス内の会話をモニターしていた節があるわけで、南部博士とカッツェって、実は妙なところで似たもの同士なんでしょうか。

 ところで突っ込みポイントを1つ。
 ISOの海底研究所はこんな形です。

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 円筒型の部分の下が出入り口で、潜航艇が入るようになっています。研究所内部から見ると出入り口はこうなっています。

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 この海水面ですが、直接外の海とつながっています。ということは、基地内部が海底1万メートルの水圧と釣り合うだけの気圧になっているということなんですが、居住環境としてはまずいですね。もしやるのなら、2重にハッチを設けて、潜水艇が入った後で外側ハッチを閉めて内側ハッチを開ける、といった形で、研究所自体は密閉された構造にして内部を1気圧程度に保っておかないといけません。この構造だと、1万メートルの水圧と同じ気圧が内部の人間にかかっちゃいます。が、そういう描写は無かったような……(汗)。

 結局この回は、ギャラクターが変装した所員を救助したため、マリンサタン号がハイジャックされる結果になり、ギャラクターの海底空母に連れて行かれるのだけど、健が大暴れして無事脱出、という展開になります。
 行方不明だった研究技師達は、潜航艇で調査に出たまま幽霊水にのまれて動けなくなって殉職、という結果でした。行方不明の原因は、ギャラクターとは何の関係もありませんでした。

 今回の調査は、国際科学技術庁の業務の1つでしょう。南部博士が担当しているマントル計画の一部であったかもしれません。資源探査については目ぼしい成果は無かったようですが。ギャラクターとやり合う羽目になってなければ、今回のような仕事が、南部博士の日常になったと思われます。基地に籠もって戦闘の指揮を執るよりも、あちこち出向いて、時には調査船に乗り込んでマントルプランの現場のトラブルシュートをやる、という姿の方が、南部博士には似合っている気がします。特に、諸君のような優秀な若い人達をスカウトできれば、大変頼りになるチームが出来上がります。諸君にしても、事が戦闘でなければ、単独行動が過ぎるとか命令違反は許さん、などと叱りとばされることも無かったでしょう。今回のような仕事を楽しく一緒にやっていくというのが、ギャラクターが来なかった場合に、彼等にとって有り得たもう1つの姿のように思えました。