手動なのか?(初代 82話)

|2010/6/13(日曜日)-23:25| カテゴリー: 初代
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 初代82話「三日月サンゴ礁を狙え!」。
 ギャラクター側の基地狙いが本格的になるにつれて、基地内の描写も増えてきています。
 ゴッドフェニックスが後をつけられて基地を発見されてしまいます。誤魔化そうにも間に合わない距離。

大至急移動だ。潜行しろ。ギャラクターが攻めてくる。

 南部博士が言いながらやってきたのがこの部屋。基地の移動用のロケットエンジンの制御室らしい。多分この回が初登場です。スタッフが詰めていることがわかります。

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 この回の描写と、92話で登場する大勢の技師達と、84話の会話を合わせるとまたいろいろ議論できそうなのですが、それはまた後日。

 三日月基地を移動させるために、基地下部のロケット噴射のレバーを操作する南部博士↓。
 潜行しろ、と言うわりには、ロケット噴射を下に向けて吹いているのはいかがなものかと思うのですが、それはさておき。

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 これ見て思わず「手動でやってるのか?」って仰け反りました。
 92話の崩壊シーンを見た限り、基地上部の三日月珊瑚礁ってかなり重量がありそうで、しかも水より重いです。擬装珊瑚礁がメガフロート構造ならば、一部分が破損しただけで一気に全体が水に沈むといったことは無いはずです。しかし、92話の描写では、ほとんど原型を保ったまま海中に沈んで、基地本体とぶつかっていますから、どうも自力で受ける構造ではないらしい。基地本体は、内部に空気を含んでいますから、浸水しなければ材料次第では浮いていられるかもしれません。ということで、そもそも、三日月基地の力学的に安定な姿勢とは、珊瑚礁の方を下にした姿勢ではないかと思われます。従って、珊瑚礁部分を上に出して、同じ場所に止めておくためには、常に制御している必要があります。基地本体の浮力で珊瑚礁部分を浮かせるのはおそらく無理でしょうし、バランスを崩したら上下逆になって、元に戻すのが至難の業になりそうです。こういう発散の強い系というのは、飛んでる航空機と同じで、推力を失わない限り制御が可能って世界になります。また、揺れがある程度大きくなったら、手動のみで安定させることは難しいでしょう。仮に、上の珊瑚礁が水よりかなり軽い(が、構造上何カ所か浸水すると沈んでしまうものだった)としても、制御をサボって浮かせっぱなしにすると、海の真ん中に浮いてる船と変わりませんから、波に揺さぶられることになり、職員の何人かはほぼ確実に「船酔い」する羽目になります。いずれにしても、地上とほとんど変わらない状態を維持するには、コンピューターでも使ってこまめに姿勢制御するしかないのが三日月基地です。
 ですから、南部博士が動かしている噴射レバーが、エンジン直結のような描写をされていたことに驚いたんですよ。それじゃ不安定になりますってば(汗)。

 このあと、焦りまくる南部博士という珍しいものを見ることができます。

博士、第一機関室に浸水です。このままでは潰されてしまいます!

と、担当技師から報告が。

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 その直後、モニターの向こうが水没。技師さんも流されたっぽい。

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 それをモニター越しに見ていた南部博士。

おい!

って叫んでますが、声、裏返ってますよ、博士……。

 その後も手動制御っぽいシーンが。
 

こっちのエンジンと同時にスタートしろ!

指示を出しておいて

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今だ!

掛け声と同時にエンジンのレバーを力一杯押し下げる南部博士。

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 掛け声と手動でタイミングを合わせてこんなデカブツの制御をするってかなり無茶です(汗)。
 おまけに、この直後にエンジン1つ魚雷で完全破壊されてますから、手動でやってたんじゃ推力バランスが狂って姿勢を崩しますよ、まったく……。
 また、上にくそ重い珊瑚礁を乗せた状態で、下から噴射したら、慣性というものがありますから、アームの部分に力がかかって上下方向に潰れそうです。
 こういうことを解決するには、戦闘機の制御と同じにするしかないです。つまり、行きたい方向と速度を指示し、それに応じて4基のメインエンジンと他のエンジンやらスタビライザーやらの状態を全部計算で決め、ほぼリアルタイムで制御して、指示通りの動きを実現する方式でないとダメです。もちろん、加速が急過ぎて本体が破壊しないように、リミッターも必須です。人間が移動の速度や加速度を感じ取ってフィードバックしていたのではとても間に合いません。
 まあ、南部博士だってそのへんは充分わかってて、敢えて人間が動かしてる感を残す実装にしたのかもしれませんが。

 今回は無事助かり、再浮上することができました。前の方に居る人達は、ユニフォームでも白衣でもない、スーツ族ですから、ISOの幹部級の人達が様子を見に来たってところでしょうか。左側はひょっとしてアンダーソン長官?

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 さすがに南部博士は浮かない顔です。

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 最悪の場合も覚悟しつつ、この先どうやって基地を守るのか、考え込んでいるご様子。触角頭もそれなりに跳ねてるので、気合い入れて先のことを熟考中のようです。
 ここで一度いろいろ考えていたから、基地の最後に際して、判断も決断も早かったのかもしれません。

 ついチャチャを入れたくなったので……。初代92話「三日月基地の最後」。
 魚雷で大破して崩壊する基地から救出された後の南部博士です。

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竜、ゴッドフェニックスを戻せ。三日月基地を爆破する。

超バードミサイルで基地を爆破するんだ。

と、血相変えて言い出します。

健、それからみんなも聞いてくれ。このあたりの海底は7000メートルだ。ギャラクターの科学力からして引き上げるのは簡単な作業だ。そうなれば、あの基地の中にある記録や資料が全てギャラクターの手に渡ることになる。科学忍者隊は感傷に溺れてはいけない。現実を厳しく見つめ、分析し、行動する。

 そりゃまあ、最大の問題は、忍者隊やISOの活動記録や資料が敵の手に渡るのを防がなくちゃならんということだというのはよーくわかるんですが……。

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 このイケメン南部博士を見ていたらどーしても聞いてみたくなったことが。
 博士、機密情報以外に他に何か隠してませんでしたか?
 いやその、博士も1年以上、三日月基地に住み着いていたわけで、プライベートにこっそりいろいろ持ち込んでいたんじゃないかと。マッドな方だと、例の砂漠で見つけた赤い砂とか、ギャラクターからかっぱらった蟻メカとか、ジゴキラーの苗とか、こっそりすり替えたヤマシナ博士の脳標本とかその他の人達の脳標本とか、表に出たらいろいろと倫理的に問題があったり危険だったりしそうな「南部コレクション」がありそうです。こういうのがもう一回ギャラクターの手に渡って兵器にされたんじゃ面倒なことになりそうです。でも、博士だって健康な男性ですから、それだけじゃ済まなくて例えば魔改造したフィギュアとかあったんじゃないかと疑ってます。無傷で引き上げられて全世界に晒されたら、地球の危機とは何の関係もないけれどもかなりイタいことになりそうで、そりゃ血相変えて超バードミサイルも撃ち込むだろうなあ、と思ってしまったわけですが。
 一度、膝詰め談判して「で、他に何持ってたんですか博士」と直撃インタビューしたくて仕方がないんですが、それをやったらその場で南部君に張り倒されそうな予感もします(汗)。

上司と部下(初代84、86話)

|2010/6/11(金曜日)-22:50| カテゴリー: 初代
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 ちょっと出張続きで忙しいので小ネタ。
 84話のアンダーソン長官。本部ビルの長官室(多分)から、南部博士に電話しているところ。

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 86話の南部博士。諸君を調査に向かわせて報告を待っているところ。

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 手を後ろに回して腰に当てる姿勢が似すぎていて笑った。
 長く一緒に仕事をしていると、上司と部下で仕草が似てくるものなのか……。

フルネーム判明の回(初代 81話)

|2010/6/6(日曜日)-23:42| カテゴリー: 初代
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 81話「ギャラクター島の決斗」。
 ジョーの物語&過去が判明する回、ということで名高い回ですが、そちらはジョーファンの方にお任せして、こちらでは南部博士に注目しておきます。
 まず、ジョーが居ないシーンから始まります。事情を知ってるらしい甚平に気付きますが、南部博士、妙に物わかりが
いいんですね。

そうかな?お前だけジョーのことを心配している風にも見えないんだがな

 と、さすがに鋭い観察力なのですが、その後、顎に手を当てて考え込むいつものポーズで

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そうか……みんな、そう甚平を責めるな。甚平はきっと、ジョーと、男の約束をしたんだろう

と発言。

私にはジョーの行き先がわかっている。

今日はジョーの両親の命日なのだ。

多分、墓参りに行ったんだろう。ジョーは君達にも言えぬ悲しみを胸にして、ギャラクターと戦ってきた。その苦しさを両親の墓にぶつけに行ったんだろう。

 南部博士には、大体予想がついていたようでした。
 それでも、なぜ今になって、と訝っています。

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それにしても、あれから10年経った今、なぜ急に墓参りなどに行く気になったのだろう。

 つまり、ジョーは、この10年間両親の墓参りはしていなかったということです。
 「なぜ急に」に対する回答はマリンサタン号での出来事で、健が南部博士に説明しました。
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そうか。そんなことがあったのか。

 南部博士によって語られた、ジョー救出の経緯は次の通り。

10年前、私は学会の帰りにBC島を訪れた。ギャラクターという組織があるのを知ったのはその時だ。そして、彼らに命を狙われたジョーを、密かに島から連れ出したのだ。

 ジョーの行き先がBC島ならそこは今でもギャラクターの巣窟ですから、危険極まりない。

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うん、この際ギャラクターの養成機関であるBC島を叩く必要があるな。よし、科学忍者隊出動!ゴッドフェニックス発進せよ!

と、またまたツンデレな出動命令素直に「ジョーを助けに行け」って言えないのかね南部君は……

 それはともかくとして、ジュゼッペ一族暗殺の結果を確認に来たカッツェと市長の会話はこんな具合でした。実はこれ、南部博士ファンにとっては重要なシーンなんです。

カッツェ「ジュゼッペの子供が死んだと報告してきたのは、確かお前だったな」
市長「はい、カッツェ様」
カッツェ「間違いあるまいな」
市長「間違いありません。ドクターが立ち会い、確かに死亡したという報告を受け取りました」
カッツェ「ドクターが?すると、その子供は病院で死んだというのか」
市長「はい。私達は、ギャラクターを裏切ったジュゼッペ浅倉とその家族を、一人残らず抹殺せよとのカッツェ様のご命令通り、あの海岸でジュゼッペ夫婦を射殺、その子供ジョージを爆弾で吹っ飛ばしました。ところが子供の方はまだ息がありまして。とどめの一発をぶち込もうとした時、騒ぎをききつけて市民が集まり始めました。そして医師の資格を持っているという旅の科学者がやってきて、ジョージを病院に連れて行きました」
カッツェ「診察はその男に?」
市長「はい、そして1週間後にジョージは死んだのです」
カッツェ「うーん、その旅の医師の身元はわかっているのか」
市長「えーと、10年前のことですから……待ってください、記録は残してありますから……ああ、ありました。そのドクターの名は南部」
カッツェ「なに」
市長「南部考三郎です。サインもあります」
カッツェ「な、南部が!馬鹿なヤツ、なぜそれを今まで隠していた!」
市長「は?このドクターの南部がどうかいたしましたか」
カッツェ「国際科学技術庁の南部だ。そして、裏で科学忍者隊を動かしているのも、その南部考三郎だ」

 南部博士のフルネームが呼ばれたのって、これが最初だったのではないかと。普段は「南部博士」「博士」「南部君」と呼ばれることはあっても、名まで呼ばれることは無いし、アニメのクレジットも「南部博士」しか出ていません。設定初期の「仙三郎」(設定画の記載)や、映画シナリオでの「千三郎」から変更されたことは、このシーンで確定です。ただ、この表記は有力説に基づいて書いただけであって、後に記すように、「考三郎」が確定したわけではありませんので、ご注意ください。

 ところで、今回の南部博士の説明をそのまま受け取ると矛盾が出ます。52話で語った内容は、

いや、諸君。健を責めないでくれ。むしろ私が責められるべきなのだ。ちょうどいい機会だ、君たちに話しておこう。もう14年前のことだ。ホントワール国がギャラクターと組んでV2計画の準備を進めていると知ったとき、私の研究所のテストパイロットをしていた一人の男に、ホントワール国に潜入し、その計画書を手に入れるように要請した。だが、悪の一大組織と一つの国家を相手のスパイ行為だ。万が一家族に危害があってはならないと、男はその時4歳の子供を私に預けた。そして、南の空で事故を起こし死んだと見せかけ、名を消し、姿を変え、ホントワール国に潜入した。そう、その男、レッドインパルスが健の父親だ。

というものでした。
 健とジョーの設定年齢は同じで、18歳です。健を南部のもとに残して鷲尾健太郎がホントワールに行ったのが14年前ですから、14年前には、南部博士はギャラクターの(地球上における)存在や活動状況をある程度は知っていたはずです。すると、今回の「 10年前、私は学会の帰りにBC島を訪れた。ギャラクターという組織があるのを知ったのはその時だ」をそのまま受け取ると矛盾が出ます。ニュースで1回見た、程度なら、前に見たけど忘れていたという説明も可能ですが、親友の息子を引き取り親友はスパイに出かけた原因がギャラクターですから、これを南部博士が忘れるはずがありません。今回の南部博士の説明は「(BC島にまで)ギャラクターという組織があるのを知ったのはその時だ」といった意味にとらないと、矛盾が生じてしまいます。

【お願い】
 もし、この回のシナリオあるいは録音台本を持っておられる方がいらっしゃいましたら、上のカッツェと市長の会話のシーンがどう書かれているか教えていただけないでしょうか。南部博士のフルネームの漢字表記が、どうなっているのか知りたいのです。この回のシナリオや録音台本での表記が、初代での南部博士の漢字フルネームの、最も公式な表記ということになるはずで、南部博士ファンにとってはかなり重要なことなんです。1級資料で確定するわけですから。他のフルネームの漢字表記はムック本などの2級資料のものばかりで、それぞれ違っていても優劣がつけられないのです。

性格が出てる描写(初代 80話)

|2010/6/5(土曜日)-23:03| カテゴリー: 初代
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 80話「よみがえれ!ブーメラン」
 アッシャム国を調査に行き、健だけが、車を運転したまま鉄獣の攻撃を受け、車が炎上した後、捕らえられてしまいます。回収できたのは、すすで汚れたブーメランだけ。

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 甚平は泣いてるし、他の3人は、すぐには信じられず実感も湧かない様子。
 南部博士はこの通りです。

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 そこへ、カッツェからの通信が入り、車ごと、鉄球やらドリルやらで健を殺す映像が流されます。
 このあとの南部博士、こんな様子でした。

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 まだ、カッツェからの健処刑映像が続いているのに、画面から目を背け、背を向けてしまうんです。
 指揮官なら部下の最期は見届けろ、と思うのが普通ですが、親子のような関係で過ごした時間がそれなりに長かったせいか、非情な指揮官にはなりきれなかったんだなぁ、ということがわかるシーンでした。

 健死亡確定、と思った後の南部博士が痛々しいです。
 諸君なら、お互い抱き合って「健〜〜」と泣くこともできるでしょうが、南部博士は指揮官という立場である上、V2計画阻止の時は健の親父を犠牲にし、今また健まで戦死させたとあっては、諸君と一緒に泣くこともできません。
 なので、一人で、三日月基地の窓に向かってしょんぼりするしかありません。実はこの部屋の手前側に4人が居るはずです。窓の外の魚はいつも通り元気です。

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 表情も暗く、落ち込みまくりです。

レッドインパルスよ。私は何と言って君に詫びればいいのだ。

 と、鷲尾健太郎氏の面影を思い出してめげる南部博士。

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 考えてみたら、こういう時に南部博士の愚痴の聞き役とか、慰め役になれる人って、回りに誰もいないんですよね。ISO公認(?)の目玉プロジェクトであるマントル計画でコケたんなら、アンダーソン長官あたりが愚痴聞いてくれそうですが、極秘プロジェクトの戦闘指揮官から「手塩にかけて育てた部下が戦死しました」て愚痴られても何ともし難いわけで。また、攻撃があったらアンダーソン長官は南部博士に向かって忍者隊を出動させろと命令しなければならない立場ですから、やっぱり南部博士が何か言える関係ではなさそうです。
 ところがこんな状況でも仕事は待っててくれません。「鉄獣が暴れ回って大被害なのでどーにかしてくれ」の電話が……。

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 めげてるヒマなぞありゃしないのですが、悲しんでる諸君に命令を出さなければならないのは南部博士です。そんなわけでやっぱりしょぼーん。

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 健処刑映像を流されてから、諸君も博士も部屋を移動していません。全体の位置はこんな感じでした。抱き合って泣いてるジュンと甚平の奥に見えるのが、南部博士が立ってた窓です。ジョーと竜も手前側に居ます。机一つ隔てて、向こう側とこちら側の立場の違いが際立っています。それが、余計に、孤独に耐えなければならない南部博士の姿を強調する演出になっています。

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 受話器を置いてから、諸君の方に向き直るのですが、その間、目を瞬かせていました。絵では描かれてませんでしたが、涙が滲んでるのを誤魔化しているような感じでした。

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 なんと切り出そうか一瞬躊躇った後、出撃命令を出す間も目を閉じています。目を開けたら涙が出そうだという感じです。

気持ちはわかる。しかし諸君達は科学忍者隊なんだ。命令に背くわけにはいかん

 という台詞からわかるように、今回の出撃命令は博士が先に決めたものでは無かったようです。南部博士にこう言わせることができ、忍者隊の出動命令をかけられるとしたら、アンダーソン長官しか居ません。長官直々の出動依頼だったのでしょう。
 科学力の差など理由で出撃したら全滅必至の場合であれば長官命令でも拒否する南部博士ですが、今回は、健を欠いた状態でも出動を拒否していません。錯乱光線の情報は甚平が持って帰ってきているし、4人でも何とかなるという判断はしていたのでしょう。
 被害状況の報告だけが来たとしても、南部博士のことですから、結局は、出動命令を出したのでしょうけど。

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 こうやって目を閉じててもイケメンで、しかも痛々しい様子の南部博士に萌えました……。
 ジョーが、「来るんだ、出動じゃない、健の仇をうちにいくんだよ」と、全員を鼓舞して出て行ったので、南部博士も少しは気持ちが楽になったかもしれません。すぱっと仇討ちに気持ちを切り替えることができたのは、やはり、両親を殺されたジョーの恨みがそれなりに深かったからでしょう。泣いたってギャラクターの危機が去るわけじゃない上に、落ち込んでるままの4人を戦いに行かせたのでは、逆に危険です。仇討ちということで気合いを入れて出て行ったのなら、勝って戻ってくる可能性はそれなりに高まります。
 結局、健はうまく逃げていて無事でした。ほっとして喜ぶ南部博士の姿が目に浮かびますが、やっぱり指揮官なのではしゃぐわけにはいかず、基地の窓向いて微笑んでたりしそうです。

 国際科学技術庁本部のシーンから始まるんですが。
 中盤までに出てきた本部ビルと形が違う上に、

N「アメリス国が誇る巨大都市アメガポリス。その都市のほぼ中央に、国際科学技術庁の本部がある」

ですから、一体どうなってるのかが謎です。

 それはともかく、国際科学技術庁本部の廊下で、南部博士はボロンボ博士とすれ違います。

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南部「ボロンボ博士、相変わらず仕事熱心ですな。いかが……」

 折角呼びかけたのに、ボロンボ博士は無視してさっさと立ち去ろうとします。まあ、この時には既にギャラクターに娘を人質にとられて、秘密データを盗み出すように脅されていたので仕方ありませんが。

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 よびかけたのに挨拶もしてもらえない南部博士。

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 ボロンボ博士はさっさと立ち去ります。
 取り残されっぷりが見事な、置き去り南部君……。あまりに見事に無視されて、一瞬絶句して固まってる後ろ姿が、なんだか寂しげでかわいいです。ISOでマントル計画室長をやってる自分が、「仕事熱心」って持ち上げた相手から、ここまで無視されるとは思ってもみなかったのかも。

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「博士、ボロンボ博士!」

 放っておけばいいのに、大声上げてわざわざ呼び止める南部博士。あからさまに無視されたのが気に障ったんでしょうか。

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 南部博士だって、仕事ぶりからいうと、普通の人の2倍も3倍も働いていることは確かです。その南部博士に「相変わらず仕事熱心」と言わせるボロンボ博士の普段の仕事ぶりは、多分相当なものであっただろうと推察されます。が、いくら多忙でも限度というものがあるわけで……。
 上の空だったボロンボ博士も、さすがに気付きますが、「本当に嫌な雨ですなあ」とだけ言ってさっさと廊下の向こうに消えます。やっぱり上の空。ところが本日の本部周辺は快晴。
 不審に思った南部博士が後をつけると、ボロンボ博士は、立ち入り禁止のコンピュータールームのドアを、ペン型のレーザーで焼き切ろうとしていました。
 階段の途中で立ち止まり、見ぃ〜ちゃった状態の南部博士。

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 普通ならここで、「一体何をやっているんだ」と声をかけたり、止めたりするでしょう。ところが、南部博士はそのまま階段を駆け上がります。南部博士が目撃したということを、ボロンボ博士に気取られないように、さっさと姿を消すわけです。そのまま警備室へ向かう。

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 警備室のモニターで、ボロンボ博士の挙動を監視します。

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 さすがに険しい表情です。
 監視しただけではなく、きっちり記録もしたようで、この後、三日月基地の巨大ディスプレィに、ボロンボ博士がコンピューターに怪しい装置をとりつけているところを諸君に見せています。
 仕事熱心で知られている(そして南部博士もそのこ認めている)ボロンボ博士が、スパイのような行動をとるというのは、南部博士にとっても驚きだったと思うのですが、とっさに「止めさせるよりも泳がせる」という判断をするあたりは、実に南部博士らしいです。これまでも、敵を欺くには味方から、というパターンで散々作戦をやってきているわけで、そうでもしないと秘密が保てない状況である以上、怪しいのを見つけたら背後関係まで探って関係者全員引っ張り出さないと、対策したことにはならないということなんでしょう。
 諸君への説明で、南部博士は

あのコンピュータールームは、シークレット回線と呼ばれる極秘事項を収納した、いわば国際科学技術庁の心臓部だ。そして、極秘作戦の1つである、君達科学忍者隊の組織や秘密が、もれなく組み込まれているところでもあるのだ。

 と言ってますから、忍者隊結成も、一応はISOがらみのプロジェクトだったと考えるべきでしょう。南部博士の私兵として作られたのかと思っていましたが、それなら、忍者隊の組織や秘密をISOのコンピューターに入れる必要はありません。とはいえ、アンダーソン長官でさえ忍者隊の秘密を知りませんでしたから、南部博士の権限で行った極秘プロジェクトだったのでしょう。
 笑えたのが南部博士の自問自答。

いや、事態はもっと深刻なのだ。あれほど厳重な警備装置を置き、万全の態勢をとっているにも関わらず、今度のような事件が起きたとなれば、今後の警備態勢ももう一度考え直さねばならない。

と言っておきながら、魚を眺めてちょっと考えただけで、

そうだ。ちょっとした特殊プラスチックでも使用したら、赤外線などは苦もなく騙される。

あっさり警備の抜け穴に気付いてます。博士気付くの早すぎ。というか、こういう事態が起きるまで真面目に考えてなかったのではないかと疑ってしまいます。

 それはそれとして、南部博士が警備室に行ったとき、警備室に誰も居ない様子だったのはいかがなものかと。ボロンボ博士が許可なく立ち入れない部屋にドアを壊して入って変な装置を取り付けていれば、真っ先に怪しんで様子を見に行くのは警備員だし、南部博士が来た時にはその話をするはずですが、そんな様子はありませんでした。一応、警備員が居るシーンもありましたので、警備室担当の方々はパトロールにでも出かけていたのでしょうか。だとしたら、むしろ、警備の穴はそっちではないかと。警備室の監視が無い時間帯を狙えばやりたい放題ってことですから、立派なザルです。南部博士は、赤外線のゴマカシ方を問題にする前に、警備員のシフトの方を問題にすべきではないでしょうか。

 78話「死斗!海底1万メートル」
 ジョーの両親がギャラクターのメンバーで、抜けようとして殺されたことが明らかになる回ですが、そちらはジョーファンの方にお任せするとして……。
 今回は珍しく、ギャラクターとは関係無しに出動することになります。ギャラクターも後からやっては来るのですが、ギャラクター側も運任せの部分があったような。
 仕事のきっかけは、断層地震が頻発中のマリアン海溝にある国際科学技術庁の海底研究所から1週間連絡がないので調査が必要になった、というものです。この調査のために、南部博士は、健とジョーを潜航艇マリンサタン号に乗せて派遣します。ジョーは体調悪そうなんですが、南部博士はジョーに仕事を依頼します。

いや、万一の事故を防ぐためには計画通り実行したい。

よし、念のため言っておくが、もし潜行途中でマリサタン号に事故が起きた場合、たとえどんな状態にあろうとも、任務を放棄し、帰還するように。いいな。なお私達は水中レーダーでマリンサタン号を監視している。では、成功を祈る。

 二人が出発した時点では、海底研究所のトラブルとギャラクターを結びつける証拠は何もありませんでした。南部博士も、ギャラクターとは関係無いと考えて送り出したようで、事故の可能性しか考えていません。
 南部博士も、調査船に出向いてそのまま滞在し、マリンサタン号の監視やら何やら仕事をしています。ジュンは、博士のアシスタント役をこなしています。

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 研究所に向かうのは健とジョーだけです。状況次第では、救助した技術者達を潜航艇に乗せて戻らなければいけない状況なので、最初に大人数で行くわけにもいかなかったのでしょう。ギャラクターを相手にする時は単独行動を戒める南部博士も、今回は2人だけで別行動をとらせています。このことからも、南部博士が、研究所のトラブルとギャラクターとはさしあたり関係がないと考えていたことがわかります。

いや、それもおかしい。ギャラクターははっきりと利益があると見ない限り、手を出さない。海底研究所が今までに集めたデータを整理しても、有益な資源があるとも思われないのだ。

 これが南部博士の考えでした。研究所の業務自体はマントルプランの一環だったかもしれませんが、資源の確保にも結びつかず、さほど重要な位置づけでは無かったことも、ギャラクターがわざわざ手間暇かけて狙うはずはないだろうということの根拠になっていたようです。
 ところが、ギャラクターの海底空母がやってきて、マリンサタン号を追い抜いて海底に向かいます。マリンサタン号よりも先に基地に到着したギャラクターの隊長と兵士達は、研究所に誰もいないことを不思議がっていました。カッツェは、忍者隊が出てくると予想していた口ぶりで命令を出していましたが、研究所からの連絡途絶の調査に忍者隊が出てくることを予想していたというよりは、研究所を襲えば確実に研究所まで忍者隊をおびき寄せることができる、というつもりだったのではないでしょうか。ただ、ギャラクターが到着した時には、既に研究技師達は全員居なくて、ギャラクター側も空振りになってしまいました。
 こんな状態なので、南部博士も不審がります。

おかしい。現在、マリンサタン号以上の高性能な潜航艇を所持している国は無いぞ。やはりギャラクターか……

 考え込んでこんなご様子↓。

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 ほとんど同じコマに見えるんですが、南部博士が頭をかきながら考えるシーンって珍しいです。顎に手を当てて考えるポーズは頻出してるんですが。で、このとき、髪の跳ね具合が微妙に変わるのが何ともかわいい……。

 ところでこの回、ギャラクター潜水艦内の会話がカッツェに筒抜けであったことがわかります。南部博士もゴッドフェニックス内の会話をモニターしていた節があるわけで、南部博士とカッツェって、実は妙なところで似たもの同士なんでしょうか。

 ところで突っ込みポイントを1つ。
 ISOの海底研究所はこんな形です。

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 円筒型の部分の下が出入り口で、潜航艇が入るようになっています。研究所内部から見ると出入り口はこうなっています。

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 この海水面ですが、直接外の海とつながっています。ということは、基地内部が海底1万メートルの水圧と釣り合うだけの気圧になっているということなんですが、居住環境としてはまずいですね。もしやるのなら、2重にハッチを設けて、潜水艇が入った後で外側ハッチを閉めて内側ハッチを開ける、といった形で、研究所自体は密閉された構造にして内部を1気圧程度に保っておかないといけません。この構造だと、1万メートルの水圧と同じ気圧が内部の人間にかかっちゃいます。が、そういう描写は無かったような……(汗)。

 結局この回は、ギャラクターが変装した所員を救助したため、マリンサタン号がハイジャックされる結果になり、ギャラクターの海底空母に連れて行かれるのだけど、健が大暴れして無事脱出、という展開になります。
 行方不明だった研究技師達は、潜航艇で調査に出たまま幽霊水にのまれて動けなくなって殉職、という結果でした。行方不明の原因は、ギャラクターとは何の関係もありませんでした。

 今回の調査は、国際科学技術庁の業務の1つでしょう。南部博士が担当しているマントル計画の一部であったかもしれません。資源探査については目ぼしい成果は無かったようですが。ギャラクターとやり合う羽目になってなければ、今回のような仕事が、南部博士の日常になったと思われます。基地に籠もって戦闘の指揮を執るよりも、あちこち出向いて、時には調査船に乗り込んでマントルプランの現場のトラブルシュートをやる、という姿の方が、南部博士には似合っている気がします。特に、諸君のような優秀な若い人達をスカウトできれば、大変頼りになるチームが出来上がります。諸君にしても、事が戦闘でなければ、単独行動が過ぎるとか命令違反は許さん、などと叱りとばされることも無かったでしょう。今回のような仕事を楽しく一緒にやっていくというのが、ギャラクターが来なかった場合に、彼等にとって有り得たもう1つの姿のように思えました。

ぷちっ……(汗)(初代 65話)

|2010/5/30(日曜日)-23:21| カテゴリー: 初代
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 65話「合成鉄獣スーパーベム」より。
 盗まれた脳を、ギャラクターなら生き返らせることができる、と、諸君に説明している南部博士。すると、背後のモニター脇のランプが点滅して呼び出し音が。

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ん?

と振り向いた南部博士、通信装置のスイッチを入れます。

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 画面に現れたのは、アンダーソン長官。

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 こんな会話が交わされます。

アンダーソン「南部博士、今度開かれる国際科学技術庁の発表会に、亡くなられたヤマシナ博士が作ったと言われている幻のロボットが展示されることが決まった」
南部「え、本当ですか……長官、どうも悪い予感がしますが」
アンダーソン「うん。亡くなってちょうど十周忌にあたるので企画されたのじゃ。ついては、脳を盗まれるという事件が起きたばかりじゃ。科学忍者隊の諸君に警備にあたってもらいたいんじゃ」
南部「承知しました」
アンダーソン「頼んだよ、南部博士」

 この後、南部博士は、通信装置の電源をさっさとぷちっ……。普通は長官が切るまで待つのが礼儀だと思うんですが、せっかちなのか何なのか、博士はそんなことおかまいなしでした。本編を見ればわかりますが、長官の台詞が終わってからスイッチを切るまでの時間がとても短いんですよ。何かもうこれ以上長官に余計なことを言われる前に切りました、って雰囲気がひしひしと。諸君と打ち合わせの最中に割り込まれて、実は機嫌が悪かったとか?

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 その後、何事も無かったように諸君の方を向いて厳かに指令。

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いいか諸君。聞いての通りだ。しっかり見張ってくれたまえ。出動!

 よくよく考えると通信装置の仕様があんまりな件。アンダーソン長官はさすがにトップだから南部博士に呼び出しをかけられるけど、南部博士が装置のスイッチを入れないと画面に出てこれないんですね。で、通信が終わったら、南部博士の側からさっさと切ってしまう、と……。
 南部博士は、忍者隊のゴッドフェニックスの通信装置に呼ばれても居ないのに一方的に出現できるのと比べたら、この基地の通信装置の仕様って一体……。長官の命令はきっちり実行する一方で、微妙に態度がでかい南部博士に見えます(これがIIになるともっとすごい態度で、それは既に書いたのですがそのうちこっちに再録する予定です)。

 この回、南部博士は、諸君に見張りを命じただけではなく、自分も展示会場にやってきます。
 ヤマシナ博士のロボットを見つめてこんな表情してます。

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これはすばらしい……。

いや、これは」植え付けられる首の作用によって、どんな目的にでも変化するという万能ロボットだ。

実際に見るのは初めてだが、やはり噂の通り、ロボットとしては最高だ

 台詞の方もロボットを絶賛中です。

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 長官を相手にした時は用が済んだらさっさと通信機を切ってしまう冷淡な態度をとるくせに、ロボットや未確認生物が相手だとわざわざ出てきて目の色を変えて熱中する南部博士、性格も趣味もわかりやすすぎます。

筒抜け(初代10、20、73、75話)

|2010/5/28(金曜日)-23:28| カテゴリー: 初代
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 諸君の行動が逐一南部博士に筒抜けになっている模様。

 10話「地底怪獣大戦争」。小型の蟻ロボットの大群が原子力発電所を襲います。このあたりは、まだ、バードミサイルの使用にいちいち南部博士の許可が必要でした。
 ゴッドフェニックス内の会話はこんな感じです。

ジョー「洪水を起こして押し流せばいいだろ」
甚平「どうやって?」
ジョー「ほら、発電所の先に川が流れてるじゃないか。」
健「そうか、あれをバードミサイルで壊すんだ。博士、バードミサイルで蟻を退治します。発射を許可してください」
南部「ようし」

 ようし、って博士……。蟻退治のために近くの川の堤防を壊すなどという作戦、報告がなければわからないでしょうに。原子力発電所の蟻退治ですから、うかつに使えば被害拡大は確実です。どう使うか知ってからでないとおいそれと許可なんか出せるはずがありません。なのに、確認もせずにいきなり許可しているあたり、実はこっそり諸君の会話を聞いていたんじゃないですか、博士。ゴッドフェニックス内に南部博士専用の盗聴器が仕掛けてあるのではないかという疑いが出てきました。

 20話「科学忍者隊危機一発」。子犬を助けたジョーが爆弾の破片を頭に受けてしまう回です。南部博士は、ジョーを遠心分離装置にかけますが、破片は抜けません。博士が目を離した隙にジョーは逃げ出してゴッドフェニックスに合流します。
 南部博士、

いや、たった一つだけ方法がある。

と言ってジョーを遠心分離機にかけても破片は抜けず。それでも、

ジョーは必ず助けてみせる。

と強気に出て、諸君を送り出しますが、あっさりジョーに逃げ出される。
 その上、爆発の衝撃で振り回されたゴッドフェニックスの中で、簡単にジョーの頭の破片はとれてしまいます。

ジョー「俺が助けた子犬は……」

 と、ジョーが言った瞬間、勝手にゴッドフェニックスの通信装置の画面に現れる南部博士。

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子犬は元気だ。破片さえ抜ければ、後は私が助けてみせる。科学忍者隊は5人揃ってこそ、全力を発揮するのだ。今の気持ちを忘れないでくれ。

 10話はまだ、南部博士が迂闊にも許可を出したという解釈もできますが、20話のこれはタイミングが良すぎます。ゴッドフェニックス内の会話を全部聞いていたのでなければ、ジョーの台詞に合わせて登場するなんてできないでしょう。どうやら、ゴッドフェニックス内の会話は、通信していないときでも南部博士に筒抜けと考えるしかなさそうです。
 破片が抜けた直後だと、南部博士の破片除去案が大口叩いておいて効果無しだった以上、「ゴッドフェニックスで振り回されただけで出ちゃいました」じゃあ、南部博士の立場はありません。出るに出られずタイミングを見計らっていたであろう南部博士の姿が思いやられてきます。話が子犬のことになったのですかさず登場。「後は私が助けてみせる」と、あくまでも自分で何とかしようとしてますが、問題の大部分は解決済みですよ、博士。その後のとってつけたような台詞、いかにもばつが悪いのを誤魔化しているようで、普段は厳しい南部博士が何だかかわいく見えてきます。

 73話「カッツェを追撃せよ!」。鉄獣メカを撃破した直後に、ゴッドフェニックスの通信装置に出てくる南部博士。本人は、別荘か三日月基地に居るのでしょう。

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今の戦闘シーンをビデオテープで再生するから、よく見るんだ。いいか、君たちは見落としたが、脱出用ロケットで、ベルクカッツェは北北西へマッハ2.5で逃げている。

 そのビデオ、誰がどこで撮影してたんですか、博士……。
 追跡機が飛んでる様子はありません。ということは、南部博士が、ゴッドフェニックスに搭載したカメラで戦闘の様子を全部録画し、リアルタイムで受信して、何か不審なことはないかチェックしているという結論になります。ゴッドフェニックス内の会話の盗聴疑惑といい、どうやら、南部博士は、心配性なのか完璧主義者なのか、諸君の活動の全てを把握しないと気が済まないみたいです。

 75話「海魔王ジャンボシャコラ」。竜の親父が遭難したために、竜がポカをやらかしまくる回です。
 最初に竜が遅れた時は、

もういい。済んだことをとやかく言っても始まらん。これからは気を付けてくれたまえ。

と鷹揚な態度を見せる南部博士ですが、うっかりしててタンカーと合流し損なったためにタンカーが撃沈されたときは、かなり怒っています。

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健、タンカーがギャラクターに襲われているという報告が入ったぞ。お前達は何をしているんだ!早く現場へ急行しろ、馬鹿者。

 「馬鹿者」発言は、博士にしては珍しいです。諸君が戻ってきてからも、全員を集めて叱りとばします。

馬鹿者。失敗しましたで済むと思っているのか。君らのやったことをよく考えてみろ。力の限り戦って失敗したのなら何も言わん。それが何だ、ぼんやりして到着が遅れましたじゃ話にもならん。何があったか知らんが、プライベートな問題で任務をおろそかにすることは許さん。それが科学忍者隊の宿命なんだ。世界の安全を任された私の立場にもなってみたまえ。

 確かに、戦ってしくじったり、力及ばなかったことについて、南部博士が責めたことはありませんでした。「命令を無視するな」という説教はしていましたが……。「私の立場になってみたまえ」は今回が初めてです。まあ、ぼんやりが原因なら言われても仕方がない状況ではあります。
 それでも、何が本当の原因か把握していないことに気付いたのか、南部博士は諸君の様子を立ち聞き。

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 原因が竜の親父の行方不明にあるとわかって、命令違反して出て行く健をそのまま行かせ、後から、事実上の竜の親父の救助命令を出します。

今、アマナ諸島の近くで漁船が遭難したらしいという報告が入った、諸君は直ちに救助に向かってくれ。今の君達じゃあギャラクターには勝てん。遭難した人達を救助する任務くらいが一番似合っているだろう。そのかわり、今度失敗したら承知しないぞ。いいな。

 健は、博士が話を聞いていたことに感づきますが、それはそれとして南部博士ってば何と言うツンデレ……。「べっ、別に竜の親父を救出しろなんて言ってないんだからねっ!上の空のお前らじゃ戦闘なんかできっこなくて、もう救助くらいにしか使えない役立たずってことなんだからねっ!」と頭の中で翻訳され、萌えまくりました。
 この後が、「こちら南部だ。実はギャラクターがウラン貯蔵庫を狙って行動を開始したという情報が入った」「頼むぞ……」の呟きの合わせ技。南部博士って一体どんだけ萌えキャラなんだと……。可愛すぎます南部博士。

 ツンの方は眉に皺寄せて命令するいつもの姿だとして、デレの方が諸君のやってることを全部把握しようとする方に向かうのが、何とも南部博士らしくて、見ていて堪りません。

 さらに、68話「粒子鉄獣ミクロサターン」。
 謎の核爆発が起きた後の島に諸君を派遣する南部博士。

 国連軍の飛行機が入っただけで燃えてしまって爆発するような放射能の渦を突っ切らせるにあたって、

いや、ゴッドフェニックスならできる。

とあっさり断言します。放射能はなぜか帯の部分だけだということについても、

データーは信じてほしい。集められた全ての資料を分析したのは、私だ。

と自信満々です。こんな↓ご様子。

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 博士何だかかっこいい……。こういう時は頼りになるなぁホントに。
 この作戦は、問題は火の鳥をやった結果燃料が足りなくなることだけだ、と、補給用の調査船(空母)を待機させます。
 一方、三日月基地の場所を突き止めるために、カッツェが南部博士に扮するわけですが……。これがまた親切な指揮官を演じたために逆効果もいいところ(爆)。

ニセ南部「死の街へ君たちを送り込んだのだ。心配になって私もやってきたんだ。君たちの元気な顔を見て安心したよ。さあ、基地に帰ろう」

 準備万端整えて作戦開始した南部博士が、わざわざ出てきてこんな優しい言葉をかけるはずがありません。今回は、諸君のことを(他の作戦に比べて)特に心配もしてないでしょう。自信満々の時の南部君ってのはそういうヤツです。

ニセ南部「うん?う、いやぁ、あの島の調査方法を変えてみなくてはいかんのだ。一度基地へ戻って検討したいんだよ」
ニセ南部「いやぁ、我々だけでなく国際科学技術庁の協力も必要だ。さあ、ゴッドフェニックスで基地に戻ろう」

 「集められた全ての資料を分析したのは、私だ」と言い切って作戦開始した南部博士が、舌の根も乾かないうちにこんなことを平然と言うはずがありません。こういうことを言う羽目になったとしたら、何か相当ひどいしっぺ返しを喰らった後で、プライド傷つきまくりになってるはずです。もし言うならば、眉間に深い縦皺を刻んで拳震わせながら言うはずです。読み切ったと思った予想が外れた時の南部博士って、そりゃもうめちゃくちゃ不機嫌ですよ。南部博士がリベンジの方法を思いつくまでは近くに寄らない方が身のためって感じですから。でもそういうわかりやすいところがかわいい……。
 さすがに、健も、このニセ南部博士の態度を何となく不審がってましたけど。
 カッツェの演じた南部博士、親切過ぎる上に、本物ならば当然こだわるべきところにちっともこだわってないんですよね。ただ、普通の人の基準で見ると、付き合いやすいのはニセ南部博士の方だというのが何とも……(汗)。

何で南部博士だけ……(泣)

|2010/5/23(日曜日)-20:26| カテゴリー: 初代, 蒐集
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 68話「粒子鉄獣ミクロサターン」。
 突然、平和な島で起きた核実験の謎を探るために諸君達が出動しますが、島の周囲に放射能帯があるだけで、島には核実験の痕跡がありません。鉛でできたらしいミニ鉄獣ミクロサターンが、壊れた街の表面を覆って、放射能を防ぐとともに、無傷なように見せかけていたからです。
 放射能帯を突っ切るには科学忍法火の鳥しかなく、往復で火の鳥をやると燃料が足りなくなるので、南部博士は島の近くに補給のための調査船を待機させます。鉄獣に襲われて火の鳥で逃げ出し、衝撃で墜落……と思ったら無事に着艦していて、南部博士も来ています。ところがこの南部博士はカッツェが変装した偽者で、早く基地に戻ろうなどと言って、三日月基地の場所を突き止めようとします。無くなったはずの燃料が残っていたことから、健が気付いてブーメランでニセ南部博士を攻撃します。
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 何とか直撃を避けるニセ南部博士。

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 しかし、右頬に縦に傷が入ってしまいます。

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健「ジョー、ジュン、甚平、博士の顔をよく見ろ」
ジュン「血が流れてない」
健「鈍いぞベルクカッツェ。自分の仮面に傷つけられて気が付かぬとは、いかにもお前らしい」

 さて、こちらは、タツミムックの「検証70年代アニメーション 誰だっ!!科学忍者隊ガッチャマン」の表紙です。株式会社竜の子プロダクション監修、 2000年5月1日発行、第一刷、ISBN4-88641-501-6、定価は1500円です。現在でも、アマゾンマーケットプレイスやヤフオクに出品されていますので、入手は容易と思われます。
 出版された頃に書店で見つけて即買いしてました。その時もあれっと思ったのですが、なかなかLDを買える経済状態ではなかったり、いろいろばたばたしていて、じっくり確認するのが今頃になってしまいました。

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 キャプ画像と色合いが違ってますが、南部博士の顔に注目。
 右頬に縦に傷がありますorz。
 表紙の諸君は全員本物なのに、南部博士だけカッツェが変装した偽者です(爆)。いやもうホントにあんた誰?
 確かにこの回の南部博士はカッツェの変装なのに作画が良いからイケメンでした。しかし、よりによって表紙に偽者を選んでこなくたって……。南部博士の扱いって一体……。南部博士ファンとしては、第二刷を出すときに博士の絵を差し替えろと言いたいです。そのまま絶版になってしまったらしいので、今更クレームの出しようがありませんが。
 とりあえず、この表紙の絵を選んだ奴ちょっと来い(怒)ヽ(#`Д´)ノ

 ってか竜の子プロダクションが監修してて、表紙がニセ南部博士でいいんですかホントに。こういう、南部博士ファンを悲しませることをやっちゃったんだから、タツノコプロは責任とって、ちゃんともう一度ガッチャマンをリメイクして、今度こそ(OVA版の意味不明な格好の南部博士じゃなくて)TV版の南部博士を出してもらいたいです。

 ガッチャマンIIのオモチャで、当時ポピーが出していた「バードソーサー」というのがあります。すでにゆかりさんのところで紹介されているのですが、あまりにアレな注意書きはともかく、写真のソーサーに半分隠れるようにして、小さな冊子がついています。運良く未開封品を入手することができ、パッケージの端っこの糊をそっと剥がして、引っ張り出すことに成功しました。この冊子の中身を紹介します。

 まず、表紙と裏表紙。真ん中をホチキスで留めて二つ折りにしただけの冊子です。

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 順次、ページをめくっていきます。

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 黒い四角の中にガッチャマンのロゴマークが描かれていますが、こういう組みあわせで使われているのを見たのは初めてです。何だかワッペンのデザインみたいです。

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 やっぱり、「はくちょう」になってるし^^;)。

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 髪と髭が黒色になってる、ちょっと人相の悪い南部博士(汗)。

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 いかにも、余分なページができちゃったからとりあえず作ってみたという雰囲気の「科学忍者メモ」。

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 見開き印刷にした結果、健の顔が真ん中で別ページに分かれて、左右で色合いが違ってしまっています。残念。

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 ということで、謎だった付録本の中身が判明しました。

リアクションが楽しい(F30 話)

|2010/5/19(水曜日)-23:21| カテゴリー: F
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 F30話「忍び寄るエイリアン」。
 今回の敵は、火星出身のアメーバ状生物で、人間にくっついて窒息死させたり、人間が触ると病気を引き起こしたりする。刺激を与えると縮んでしまい、水のあるところを好んで移動する、というもの。
 謎のアメーバを退治するのが今回の作戦ということになるのだけど、南部博士のリアクションが大変に楽しい回です。

 まず、原因不明で人が死ぬという報告があり、続いて、謎の生物が原因だという報告が上がってきます。そうなると、単なるメカを相手にしているのとは、南部博士の表情も目の輝きも違うんですよ。

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 相手が未確認生物だとこんな顔です。矢継ぎ早に対策を打ち出さなければならない状況なんですが、どう見ても南部博士、わくわくしています。凛々しいなぁ。気合い入りまくりですよまったく。

 はびこった謎のアメーバは、上水の配管を通って、とうとうISO本部にまで出現します。悲鳴を聞いて健とジョーが駆けつけ、問題の生物を発見。ジョーが羽根手裏剣で退治しようとすると、「ジョー、待て!」と、南部博士が血相変えて走り込んできます。

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 で、何のためらいもなくいきなり踏みっ!!は、博士……。いいんですかそんなことして(大汗)。

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 街ではこいつが原因で死人続出、訳の分からない病気の原因にもなっているのに、南部博士、そんなことは全く気にせず踏みつけます。勇気があるんだか思い切りがいいんだか。しかも、ジョーを押しのけて走ってくるスピードの速いこと。踏みつける動作も大変敏捷です。
 この慣れた動きを考えると、絶対に、普段から、南部博士はISO本部に出たゴキブリを踏んで退治してるはずです。まあ、既に長官ですから、ゴキブリを踏みまくる南部博士に苦情を言う人なんかISOには居ないと思いますが。

 踏んで小さくなったところを捕獲します。それを見守る南部博士の表情が実にいい。目一杯真面目、だけど、欲しかった謎の生物を手に入れて満足そうだし、得意そうでもあります。「ふん、どうだっ!」て感じです。

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 ところが、手に入れた生物を使って治療法を調べたところ、対処のしようがないことがわかります。さっきの満足そうな様子とはうって変わって、しょんぼりな南部博士。何だか泣き出しそうな表情になってます。

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 この後、健たちが上空で巨大化したアメーバを攻撃して、破片がISO本部ビルにも降り注ぎます。アメーバの一部は、窓の隙間から長官室に入ってきます。
 本を読んでいた南部博士、その場に本を落っことして顔を引きつらせて立ち上がりますが、そのまま動けずに固まってしまいます。どうやら本気でびびっていたらしい。もう足元のアメーバを正視できすにこんな状態。

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 ところが暫く何も起きなかったので、今度は指の隙間からおそるおそるチラ見
 思い切り踏みつけておいてこのヘタレな反応は一体何なんだと。南部博士ってかわいい……。

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 諸君達の攻撃でアメーバをコントロールしていた核が破壊され、アメーバの姿は消えていました。南部博士、ほっとすると同時に大喜び。

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 諸君達に対しては、押さえた感情しか見せてくれなかったり、非情になりきれないにしてもむしろ事務的で素っ気ない態度をとることの方が多かったのに、アメーバ相手だとこんなにも感情表現豊かだというのが、南部博士らしいです。というか、南部博士ってこういう人だというのがよくわかる回です。ということで、この回も、南部博士ファンにとっては必見の回でしょう。
 ある意味わかりやすい博士に萌えまくりです。

 南部長官をプレイヤーキャラにして、ゴキブリを踏みまくって点数を稼ぐコンピューターゲーム、ISOが絶対開発してる気がする。しかも南部長官には内緒で……。

65話の敵と南部博士の台詞(初代65話)

|2010/5/17(月曜日)-23:00| カテゴリー: 初代
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 初代65話「合成鉄獣スーパー・ベム」。
 ヤマシナ博士の脳が未確認生物に奪われ、忍者隊がおいかけるが滝壺付近で見失います。攻撃してきた未確認生物の触手を持ち帰って南部博士に見せます。

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 巨大な電子顕微鏡に見える(さすがに70年代だから共焦点顕微鏡ではないだろう)で、未確認生物の試料を確認しています。
 このあと、南部博士は、顕微鏡から目を離し

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これは、地球上に住んでいる生物じゃない。ベムだ。

と言います。さらに、

宇宙人でも下等な種類、つまり乱暴な種類の宇宙人に属している。

と続けます。

 私が引っ掛かったのは、なぜ博士の台詞が「これは、ベムという地球外生物の一種だ」ではなかったのか、ということです。南部博士であれば、問題の生物の固有名詞がわかっていて同定できていれば、そのことがわかるようにはっきり言うのではないでしょうか。

 敵メカの名前を何故か正義側も知っている(伝えられてもいないのに一体どうやって?)が子供番組のお約束でしたが、今回の敵は、ギャラクターが作り出したものではありません。元々宇宙に居た生物です。ということは、宇宙生物についての知識がある程度地球人側と共通のものであった場合、ギャラクターが勝手に名前をつけるということは無いでしょう。X1号と合成したあと、盗んだ脳でコントロールしているものについては、ギャラクターの作品ですからギャラクターが勝手に名付けてもいいんでしょうけど。にもかかわらず、ギャラクター側でもこの生物を「ベム」と呼んでいます。だから、この生物の種としての名前が「ベム」であることが既にわかっている、と思いたくなりますが、ちょっと待ってください。あくまでも南部博士の台詞の方にこだわって考えてみます。
 南部博士の台詞をそのまま受け取れば、仮にISOあたりで宇宙生物の分類学の研究が進んでいるとしても、今回の敵の種類を、南部博士は同定していない。というか同定できていないことになります。未知の生物を見た時にそれが下等かどうかを判定する基準はある程度わかっているけれど、宇宙生物分類図鑑を持っている状態ではないということのようです。
 もともと、「ベム」というのは、SF用語で、宇宙から来た未知の生物を指します。ウルトラマンの怪獣だって、宇宙由来のものは全て「ベム」ということになります。であるならば、この65話の「ベム」は、固有名詞ではなくて一般名詞だと考えた方が、筋が通ります。
 最初の南部博士の台詞は、地球外生命体のことを改めて「ベム」と言い直しただけだということになります。それは、広くそう呼ばれていた(というかむしろ常識になっていた)からでしょう。ギャラクターも、隊長や兵士などの構成員は地球人ですので、地球人の文化を共有していますから、まだ固有名詞が無い宇宙生物を仮に「ベム」と呼んだのでしょう。

 この回を解説したムック本の記述を引用してみます。
 「ガッチャマン全集」では、

医学センターに保存されていたヤマシナ博士の脳を宇宙生物ベムが奪い去った。

 「誰だっ!!科学忍者隊ガッチャマン」では、

竜巻ファイターで吹き飛ばすとベムが姿を現し、滝に逃げた。現場で入手した触手を南部博士に見せると、乱暴な宇宙生物と判明。

 「科学忍者隊ガッチャマンマテリアル」では

下等で乱暴な宇宙人・ベムと、故ヤマシナ博士が開発した高性能ロボ・X1号が合体した姿。

 「僕たちの好きな科学忍者隊ガッチャマン」では

幾本もの長い触手を持つ地球外生命体ベムが、医学センターからロボット工学の権威・山科博士の脳を強奪。

 コロムビアのDVDライナーノーツでは

ベム
ギャラクターが宇宙から連れてきた、下等な部類に属する宇宙人。

 デアゴスティーニでは

ギャラクターが宇宙から連れてきた地球外生命体ベムに、山科博士が作った万能ロボットX1号を合体させ(以下略)

 同人では定評のあるGLO&ガッチャマン対策本部さんの「科学忍者隊ガッチャマン鑑賞の手引き《改訂版》」では

ギャラクターは下等な宇宙生物ベムを地球に連れてきて、(以下略)
健がブーメランで切り取ったベムの触手を南部が分析すると、それは下等な種類の宇宙人ベムであることが判明した。

 といった具合で、ことごとく、「ベム」を固有名詞として扱っています。

 というわけで、南部博士の台詞の「ベム」は一般名詞だろうという私の説は、相当に旗色が悪いのでした^^;)。
 南部博士の台詞も微妙といえば微妙ですし、SF用語に地球外の未知の生命体をあらわす「ベム」というよく知られた用語が既にあったからといって、登場する地球外生命体が「ベム」という固有名詞を持ってはいけないという理由はありません。
 それでも、敢えてここで、あの触手生物はまだ名無しで「ベム」は一般名詞であり、名前が無いので敵味方ともとりあえず一般名詞で呼んでいた、という説を出しておきたいと思います。

 南部博士萌えの真っ最中なので、やはり、博士の台詞は大事にしたいんですよ。
 まあ、南部博士だったら曖昧な言い方はしないに違いない、という願望も多分に含まれてはいるんですけどね。

 あと、小隅センセがチェックしてたんなら、既に意味の決まっているSF用語を固有名詞にはしないんじゃないか、と思う部分もあったり。

小道具(初代63、F 42話)

|2010/5/16(日曜日)-17:48| カテゴリー: F, 初代
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 63話は、南部博士の登場シーンが多いので、博士ファンにとっては見所のある回です。
 小道具の扱いをに注目してみることにしました。

 まず、既にナイターが始まってしまって今更避難命令も出せない状態だ、というシーン。
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 南部博士の腕時計のデザインがわかるシーンです。皮バンドに青い文字盤、黒い針と時刻のメモリ、本体はシルバーでしょうか。普通のビジネスマン向けという感じのデザインです。
 これが、Fになると、現在位置を教える発信器になっていたり。
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 Fの42話に登場したものです。時計機能くらいはあっても良さそうですが、本編中では語られませんでした。スイッチを押すと、小さなパネルが点滅して、忍者隊に現在位置を知らせる仕組みです。筐体もバンドも金属製のようです。

 次に、63話より。
 健からの連絡を、三日月基地で受けるシーンです。

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 通信機の形と大きさに注目してください。
 通信機のサイズは、昔の黒電話の受話器よりややいかついくらいの大きさです。90度曲げた部分にマイクがあって、そのまま机の上に立てられる形をしています。

 横から見るとこんな感じです。

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 どう見ても、折りたためる構造ではありません。通信機の平らな部分を、普段は机の上とかで立てておけるようにしたデザインになっています。
 この回、南部博士は最後までこの通信機を使って忍者隊と連絡をとっています。

 このシーンは、ゴラクエン球場地下の水爆の爆発を止めることに成功したという報告を受けた時のものです。南部博士は、三日月基地から移動し、ゴラクエン球場近くの警察署か警察本部の一室にやって来ています。警察に、水爆の起爆装置捜索の依頼に来て、そのままそこにとどまったのでしょう。

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 これで事件解決なので、後は撤収するだけです。通信機は三日月基地から持って来たのでしょうから、持って帰らなければいけません。

 で、南部博士はどうしたか。
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 上着の右側持ち上げてる……。

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 中に突っ込んで……。

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 右内ポケットに収納。……っておいちょっと待てや( ゚д゚)。いくら何でも無理ありまくりだろーっ!!

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 平べったいものや、折りたためる構造のものならともかく、その通信機、マイク部分が90度曲がってて厚みがかなりあります。ぴっちり身に付いたスーツの内側に納まる代物じゃありません。
 そのサイズと形状のものを収納できるスーツの内ポケットって一体……(汗)。南部君の上着、いつから四次元ポケット完備になったんだ、と思わず突っ込んでしまいました。
 F10話での、スーツの下に拳銃2丁だった博士にも驚きましたが、今回の通信機収納もそれに匹敵すると思います。
 上着を脱がせて中がどうなってるか、ぜひ拝見したいものです、博士。