初代92話「三日月基地の最後」。ガッチャマン105話の中でも屈指の名作で、感動的な回なんですが、見方を変えるとかなり楽しいことに。
 前回、基地を移動させましょうか、という職員に対して「もう遅い……」とつぶやいていた博士ですが、

ロケットエンジン点火、基地を移動させろ!

と、叫んでいました。
 魚雷が命中して浸水、サンゴ礁の切り離しにも失敗してまともに動けないまま基地が沈み始めたので、南部博士は全員に撤退命令を出します。

私は重要書類を始末する。ギャラクターの手に渡らぬようにな。急げ!言うことを聞かぬ者は殴ってでも潜航艇に放り込め!

 健とジュンを職員の救助に行かせます。
 無理とわかってからの判断の速さ、切り替えの速さが素敵です>南部博士。

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 その後、部屋に残って重要書類の処分を始めます。紙の書類って大変ですよね。この分量だとシュレッダーにかけたってかなり時間がかかります。

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 のんびり処理している時間的余裕が無いので、火をつけて燃やすことにしました。
 しかしこれ、実はあまりいい案ではないんです。この手の本やファイルって、火事で丸焼けでも中は焼け残ることがあります。中まで酸素が入って行きづらいから、燃えにくいんですね。ましてや限られた容積の基地の中、破壊されつつあっていつ空調が止まるかわからない状態ですから、酸素の供給を絶たれればそれ以上は燃えません。それ以前に、同じ部屋にいたら酸欠で危なくなるのは南部博士ご本人です。

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 火をつけようとした瞬間、攻撃をうけた基地が大揺れ。
 床に積み上げた機密ファイルの上に転んだところに、後ろから大型コンピューターが倒れてきます。

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 下敷き南部博士。すぐには起き上がれなかったようで、かなり痛そうです。

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 このサイズのものですから、まともに足を挟まれたら、完全に潰されて切断するしかなくなってたとしても不思議はありません。下半身を押しつぶされたらほとんど即死ですよ(大汗)。挟まれたのが脹脛から先の方だけで、斜めに引っかかっててくれて、抜け出せないもののプレスされなかったのは不幸中の幸いです。

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 ただ、南部博士ひとりの腕力でどうにかなる重量でもなかったみたいです。かなり頑張って隙間を広げようとしていたみたいですが、びくともしません。

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 その結果、ファイルは燃え続けています。南部博士は失神した様子。
 勢いよく燃えているので、酸素はそんなりにあったようですが……。
 このままだと、水が浸入して水死する前に、部屋の温度が上がって焼死するか、酸素の供給が止まった時点で酸欠で死ぬかの2択です。

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 諸君が戻ってきて、ジョーが南部博士の閉じ込められている部屋の扉を開けた時には、火は消えていました。
 自然に消えたのだとすると、足の怪我よりも酸欠の方がやばい状況……。
 基地は何度か大幅に揺れたため、隙間があいたのか、健は特に苦労もせずに博士を抱え上げていました。

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 助けだされた南部博士は意識を取り戻し、ゴッドフェニックスを反転させて沈みゆく三日月基地を超バードミサイルで爆破させます。機密保持のためです。確かに、救助された時には、機密ファイルがまだ燃え残っていました。

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 救助されてから破壊命令を出すまでの南部博士、作画が良いのでかっこいいです。普段よりさらにイケメンだし迫力もあります。ついつい見とれてしまいます^^;)。

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 今回、南部博士が危険な目に遭ったのって、機密情報を処理するために残ったからですよね。そのまま、健やジュンと一緒に行動して、ISOの潜水艇で逃げていれば無傷だったわけです。ただ、その場合、機密はまるごと残ってしまいます。南部博士としては、ゴッドフェニックスがもどってくることは全く想定していなかったので、自分の手で完全に処分するしか選択肢はないと考えていたのでしょう。

 そうなると、どうしても思い出してしまうのが34話のこれ↓です。

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 南部博士は、このスイッチについて、

このスイッチは、三日月珊瑚礁の秘密基地を、一瞬にして吹き飛ばす、自爆装置だ。
万一、ギャラクターの電気エネルギーで狂わされたら、爆発することも考えられるので、電源を切っておくのだ。

と言ってました。
 三日月基地の機密情報を守るにはうってつけの装置だったわけですが、結局出番がありませんでした。
 スイッチのあったところが先に攻撃されてたどり着けなかったのか、自爆装置もまともに機能しないほどにあちこち破壊されるのが早かったのか……。

 南部博士が猿の脳波(!)にされたときは、真っ先にこんなことになってまして

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健が全力で止めた後、ジョーにぶっ飛ばされて床に伸びるはめになる南部博士でした。
 自爆スイッチを入れるという行動が本能のレベルで刷り込まれてそうな南部博士だったんですが……。避難命令を出したり機密情報の処理を考えたりと、理性が残っているうちはその本能は発揮されないということなんでしょうか。

 攻撃ボタンのつもりでポチっとなボタンを用意したのに、そいつを押して毎回自爆するはめになるのがヤッターマンの三悪トリオ。最初から用意周到に自爆の準備をしておいたのに肝心の時に役立たないのがガッチャマン、ということでしょうか。