初代61話「幻のレッドインパルス」。
 偵察帰りのホントワール上空で、健はレッドインパルスの3機編隊に遭遇します。隊長機には鷲尾健太郎(実はカッツェの変装)の姿が。親父が生きていた、という健からの連絡に、南部博士は、

馬鹿な、そんなんことがあるはずがない。もし彼が生きていたらまず私のところに報告があるはずだ。

と一言。
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 南部博士と鷲尾健太郎氏とのつながりの深さが表れている発言をしています。というか博士、鷲尾氏の行動については自分が自信を持って判断できると思っているみたいです。
 健が興奮しているのに対し、南部博士は冷静です。

レッドインパルスが生きている……まさかそんなことが。

と疑い、残りの諸君に、事情を確かめるように指示します。
 一方、健は、レッドインパルスの基地と称する所に案内され、隊長からギャラクター基地の資料を受け取ります。南部博士のところに持っていくように言われ、健は持って帰ります。
 資料を検討する南部博士ですが、それでも信じません。
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うむ。しかしどう考えても信じられん。まさかレッドインパルスの隊長が生きていたとは。

 V2計画を食い止めるのに必要だったミサイルの爆発を喰らって生きていられる人間などいない、ということは、V2計画の中身を完全に理解していた南部博士だからこそ、余計に実感を持ってそう考えていたのではないでしょうか。
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 こんな顔↑して、資料だけでは証拠にならないと言い放ちます。

それだけでは、レッドインパルスの隊長が生きているという証拠にはならん。そんなものはエンピツと紙さえあれば書けるからな。

 それでも、

それは私だって信じたい。しかし事が事だけに。それより他の連中はどうしたんだ。君を捜しに行ったはずだが。

 との発言。博士だって、本音の部分では信じたいという気持ちはあったのでしょう。それでも、指揮官としての立場を忘れず、残る4人がどうしているかに気を配っています。ストイックだなぁ南部君は。
 この後、健は、真実を確かめるために、もう一度レッドインパルスの基地に向かい、捕らえられてしまいます。残る4人は先に捕らえられていました。閉じ込められた後、諸君は、カッツェから、健が三日月基地に持ち帰った資料のケースに発信器が取り付けられていることを知らされます。
 健は、おかえしに、格子のスキマからカッツェに発信器をくっつけます。
 妨害電波のため、健達は基地とは連絡がとれません。さらに目の前に時限爆弾を仕掛けられてピンチに陥ります。ジョーがドリルで格子に穴をあけ、健がマキビシ型爆弾で吹き飛ばして全員で脱出、無線で、南部博士に、ケースが発信器であることを連絡します。

わかった、すぐ処分しよう。

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 ケースを焼却炉に投げ込んで、ケースが完全に燃えて無くなるまで、南部博士はじっとそれを見つめています。

 結局、三日月基地からの発進が消失し、かわりに健がカッツェにとりつけた発信器がギャラクター基地に落っこちて発信を続けたため、ギャラクター基地とジガバチメカで魚雷を撃ち合って双方自滅、という結末になります。

 この回、博士はずっと冷静でした。見た目は……。しかし、実は相当に怒り狂っていたのではないかと思うんですよ。
 レッドインパルス隊長が亡くなった時、ISOの各国代表の前で思わず涙し、「私の良き友達の犠牲によって」とまで言い、アンダーソン長官の呼びかけにも答えず立ち去った博士です。レッドインパルス隊長の生存を、どれほど信じたかったでしょう。それでも、生前の鷲尾氏とのつながり=生きているのに南部に連絡が無いということなど有り得ない、ということと、南部博士自身の指揮官であり科学者である部分が、情に流されることを止めたようです。ケースに発信器ということがわかった時点で、レッドインパルスの生存が騙られたものであり、やはり生きている可能性は無いのだという事実が改めて博士に突きつけられたわけです。焼却炉の中で灰になっていくケースをじっと見つめている南部博士、間違い無く焼却処分して基地を守らねばならないとか、今から即座に焼却したところで基地発見を食い止めるのに間に合うのかといった心配以外にも、いろいろ考えるところがあったのではないでしょうか。

 さて、健からの「お返し」は、カッツェを殴りまくったり、その場でカッツェに発信器をくっつけるという、ある意味単純なものでした。
 しかし、南部博士にこういうやり方でちょっかいを出してしまうと、そんな単純なお返しでは済む筈がありません。もっと手が込んでいて大がかりなお返しが待っています。
 優等生の健がキレると怖いのは確かですが、冷静でマッドな南部博士がキレるともっと怖い。

 それがわかるのが、この次の回、62話「雪魔王ブリザーダー」。
 諸君そっくりのバードスタイルのロボットが登場し、本物と遜色ない敏捷さと戦闘能力を見せます。南部博士曰く

いや、科学忍者隊全員の身代わりロボットを使う作戦だ。ロボットとはいえ姿形は全く同じ、電子頭脳で自分の意思通り行動するという、国際科学技術庁の科学力を結集したスーパーロボットだ。ギャラクターの秘密基地がわかるし、科学忍者地の生命も守れるという一石二鳥作戦だ。

 どうやら、南部博士は、国際科学技術庁の科学者技術者に動員をかけてロボットの開発をやったようです。
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 この光景↑ですが、手前側がロボットをテストする部屋になっています。窓の向こうに、働いている人達が大勢います。
 諸君への作戦の説明は、

そうじゃない、健。君たちにも大事な任務があるんだ。あのロボットをギャラクターにわざと捕らえさせ、秘密基地の位置と情報を電子頭脳で送らせ、ベルクカッツェを捕らえる計画を練る。その上で、君たち本物の科学忍者隊に行動を起こしてもらうのだ。

 というものです。
 前回、発信器付きのギャラクター基地資料を三日月基地まで持ち帰らされたので、今度はまるきり同じ方法で報復するつもりなのが丸わかり。
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よし、早速ロボットを出動させて囮作戦開始だ。

 作戦開始を告げる博士、何だか表情にも気合いが入っています。親友であるレッドインパルス隊長の生存を騙ってわずかでも期待を持たせたあと踏みにじる、などということをされたので、最低でも怒り倍増と思われます。いや、3倍返しくらいいくかな……(汗)。
 南部博士は、国際科学技術庁内部に動員をかけるだけでは気が済まなかったようで、国際警察連盟がガッチャマンの功績をたたえて表彰式をおこなう、というイベントまで企画したようです。
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 事前に宣伝しまくった結果、ど派手なパレードの後、表彰式が行われることになったスタジアムの観客は8万人。来賓まで呼んじゃって、その中にしっかり座ってる南部博士。「科学忍者隊の生みの親である南部博士」と、アナウンサーにまで言わせています。目立ってギャラクターをおびき出そうという作戦ですから、スタジアムが襲撃されることくらいは当然予想していたはずで、この人混みなら被害者多数になることもわかりきっていた筈ですが、南部博士、今回は平然と作戦続行です。前回のギャラクターのやり口に、よほどブチ切れていたとしか思えません。
 ロボット忍者隊と握手しに出て行ったあたりで、案の定ギャラクターのマンモスブリザーダー登場。南部博士は本物の方の忍者隊に連絡しますが、命令は「待機」。
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 とりあえず走って退避しながら忍者隊に連絡中。
 スタジアムはこの↓ありさま。
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 目の前が鉄獣だったり、そこらじゅうが攻撃で凍り付きつつあるのに命令は「待機」。
 そのあと首尾良く逃げ出した南部博士、動員をかけた技術陣に、発信器の行き先を突き止めさせます。
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 部屋を歩き回って、「まだギャラクターの基地は突き止められんのか。もう一度計算をやりなおしてみろ」と苛ついてみたり、わかったらわかったで「緯度90、北極点か。あの発信装置が壊れていなければ、ぶ厚い氷の下にギャラクターの大規模な秘密基地が隠されているのか」。とにかくこれでやっと本物の忍者隊の方に出撃命令が出るわけです。
 今回、健は、南部博士の命令を無視して、ロボットに混じってギャラクターに連れ去られます。ジュンが途中で気付いて、急ぎ出撃しようとするのですが、「健が……」と口ごもるジュンを見た南部博士、

健がどうしたんだ。間もなくロボットによってギャラクターの秘密基地の場所が正確にわかる。出動はそれからでも遅くはない。

と、
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こんな顔してあっさりスルーします。普段だったら、「健がどうしたんだ。はっきり言いたまえ!」と問い詰めるはずですが……。囮作戦遂行の優先順位は、南部博士にとっては相当高かったようです。

 基地に戻ったら、健は、入れ替わったことを博士に正直に話して謝ろうと考えていたようです(ナレーションによれば)。囮作戦が成功して、基地を叩けたので、南部博士の機嫌は一応はいいはずですので、正直に伝えても大丈夫でしょう。
 何せ、南部博士は、普段なら考えるはずのスタジアムの犠牲者のことやら、ジュンの不審な態度やらを全部無視し、あちこちに動員をかけまくって、前回と同じ方法でギャラクターに報復することに向かって、脇目もふらず一直線に突き進んでいたのですから。それが成功した余韻に浸っているうちは、健が命令を無視したことを白状しても、多分そんなに健を叱ることはないでしょう。それにしても、南部博士は、レッドインパルス隊長を騙しのネタにされ感情の部分を逆撫でされて、よっぽど根暗く深く怒っていたんでしょうねぇ。動員した人数と、かかったであろう予算からみた「仕返し」作戦の規模が、南部博士の怒りの程度を物語っている気がいたします。

 全てが終わって、鷲尾健太郎氏の墓前に花やら酒やらを持って報告に行く南部博士の姿が目に浮かびます。ついでに、その報告を聞いた鷲尾健太郎氏が草葉の陰で「南部、お前なぁ……」と頭を抱えて溜息をついている姿も。