【関連コメント】
【シナリオデータ】
魔のメカランド 制作No.27 放映No.4/6
  企画・制作 竜の子プロダクション
  原作 竜の子プロ企画室
  脚本 中原 朗
- ギャラクター本部 司令室
 総裁Zの映像に向い、訴えかけるマーストラ。
 総裁Z「なに、エゴボスラーが目障りだと」
 マーストラ「はい。総裁Xに仕え、今また総裁Zに仕えるこの私に、あやつ、敬いの言葉一つかけませぬ。新参者とはいえ、目に余る振る舞い」
 声「敬うべきところがあってこそ、尊敬の思いも湧こうというもの」
 立っているエゴボスラー。立ち向かうマーストラ。
 マーストラ「古参の者を敬えぬものが、どうして総裁への忠誠を誓えようぞ」
 エゴボスラー「忠誠とは、目上に対しひたすら遜り、顔色を窺うことか」
 マーストラ「なに!」
 エゴボスラー「!実のある働らきもせぬ者から忠誠の講釈など聞きたくない!」
 屹度対峙する両者の気魄。
 総裁Z「やめい!」
 総裁Zの一喝が辺りに響く。
 はッと向き直るマーストラーとエゴボスラー。
 総裁Z「エゴボスラー、用件を述べよ」
 エゴボスラー「只今よりメカンドルに命じ、精鋭部隊による特殊作戦を展開致します」
 マーストラ「フフフ、精鋭部隊による特殊作戦とは……御大層な」
 エゴボスラー「(にらむ)」
 マーストラ「頭を下げる気持があれば、有効な助言をしないでもないが」
 エゴボスラー「(冷笑し)心配御無用。我がファミリーの中には、あなた以上の科学者が掃いて捨てる程いる! (総裁Zに)では」
 向きを変え、退室するエゴボスラー。
 マーストラ、拳が震えている。
 マーストラ「云わせておけば……!……(総裁Zに)あのような傲慢無礼な者が、永く忠誠を尽くすとお思いなのですか!」
 総裁Z「(呵々大笑)……よいのだ。奴の腹がどれ程黒かろうと、使える間は大いに使う。それが儂の主義だ……牙が我々に剝いた時に始末すればよい」
 マーストラ「……畏れ入りました。そこまで奴を見抜いていらしたとは」
- オールドヘブン市 飛行場
 N「その頃、ニューヨーグ市に近い、オールドヘブン市には、タンガニア国王が到着した——」
 タラップに姿を見せる黒い膚の国王、手を掲げて歓迎に応える。
 送迎デッキで出迎える市民たち。
 タラップ下で出迎える政府高官たち。南部の姿もある。
 南部と握手を交す国王、南部の陰にいるジョー、健に気付いて、
 国王「ひょっとして、この人たちは(南部に耳打ちする)科学忍者隊では?」
 南部「それは国債科学技術庁の最高機密に属すことでお教えできません」
 国王「(頷き)ようく判りました。頑張ってネ」
 と、健たちにウインク、スタスタ歩いていく。
 南部「(微笑)」
 気品の中にユーモアの漂う国王の表情。
 N「国王は愛と平和を力強く訴えかけ——」
- 遊園地
 より、行進し始める鼓笛隊。
 N「子供たちの熱い歓迎を受けた」
- 児童たちの歓迎パレード
 を見物する国王。
 特設された席には政府高官が居並ぶ。南部の顔もある。
 近付いてくる愛らしい児童たち——ブラスバンド、少年団の行進、バトンガール、鼓笛隊……。
 道路の両脇を埋めつくす市民たち。
 その中に潜むように立つメカンドル。
 鼓笛隊がスタンド正面に近付く。
 メカンドル「……驚くな……」
 メカンドル、手にした発信装置のスイッチを押す。
 鼓笛隊の動きが停った。
 うって変った鼓笛隊員の虚ろな表情。
 国王「どうしたのですか……」
 南部「(訝しい)」
 鼓笛隊員の眼が不気味に光り、いきなり野獣のように市民たち、警備陣に襲いかかる。
 国王「!?」
 南部、小型通信機をとり出し、
 南部「パレードに異常事態発生!」
- 人垣の外
 にいた健。
 健「ラジャー、すぐ駈けつけます」
 健、翔ぶように走る。
- 街路
 は騒然としている。
 顔をひきつらせて佇ち竦む市民。
 国王、高官たちを庇って立つ警備陣。
 子供たちは、数人がかりで紳士を襲う。
 笛を武器に幼児を打つ子供。
 花束を踏みくだく子供。
 太鼓を投げつける子供。
 駈けつけた科学忍者隊のメンバー、はッと立ち竦む。
 子供たち、次第に拡がり、獲物を狙うように進む。
 警備陣、武器を手にする。
 ジワジワと進む子供たち。
 警備陣、武器を構えている。
 国王「オーノー! なんということ……子供たちが! とても信じられない……」
 健「催眠ガスだ」
 健、ズボン脇のジッパーを開き、(催眠ガスの)弾筒を放り投げる。
 健「ジョー!」
 ジョー、ジッパーの中からとり出した羽根手裏剣で弾筒を射つ!
 催眠弾、子供たちの頭上で炸裂! 降下する催眠ガス。
 子供たち、一人、また一人と倒れ伏す。
 国王「……!」
 国王、安堵の余り、ヘナヘナと崩折れる。
 支えている南部。
 物蔭から様子を窺うメカンドル。
 メカンドル「フフフ……」
- ホテル 一室
 国王に向い立つ南部、深々と頭を下げる。
 国王「長官の気持、よオく判りました。幸い一人の怪我人もなく、ほっとしています。さ、頭を挙げて下さい」
 南部「は」
 と、緊張した顔を挙げる。
 国王「子供たち、どうしています?」
 南部「現在原因を究明しておりますが、まだなにも……」
 国王「なに、子供に悪人はおりません。明日のパレードを楽しみにしています」
 南部「そう云って頂けると、気持が安まります」
 国王「私、世界の国々をまわる間、色んなことに出会いました。怖ろしい眼にも一杯会いました。心配ありません、兵器です。世界を愛と平和で満たせ!この気持決して変りません」
 ノックの音がして扉が開く。
 顔を覗かせる健。
 国王「子供たちを傷つけなかったことにお礼をいいます。ありがとう」
 国王、健に近づき、掌を握る。
 健「みんな、すっかり元気になっています。御安心下さい」
 南部「では」
 と、会釈し、健と共に退室する。
- 病院 病室
 ベッドに起き上っている子供たち、子供らしい表情に戻っている。
 ジョー「いいかい、ようく思い出して、もう一度答えてくれ」
 男児「一体、何ン度訊いたら気が済むんだい? スタンドの正面まで来たら、急に頭がボンヤリして、気がついたら、このベッドの上だったんだ(と絵本を読み出す)」
 ジョー、隣のベッドに向う。
 ジョー「訊きたいことがあるんだ」
 別の男児「いいヨ」
- 同 応接室
 南部と科学忍者隊メンバーが集っている。
 南部「すると、誰一人、何も覚えていない、そうなんだね」
 頷くジョー、ジュン、竜、甚平。
 ジュン「これじゃ、まるでお手あげだワ」
 と、肩を聳やかす。
 甚平「子供たちに聞けば判ると思っていたんだけど」
 竜「原因不明のままじゃ、同じようなことが明日も起こるかも知れんぞ」
 ジョー「歓迎パレードの中止を申し入れるか」
 健「国王は残念がるだろうが、街の安全のためにはそれが一番だ」
 鳴る電話。
 受話器をとる南部。
 南部「え!? 駅前通りで群衆が騒いでいる?」
 はッとなる健たち。
 健「行くぞ!」
 「ラジャー!」
 駈け出している一同。
- 駅前通り(夕景)
 不気味な眼の光、憑かれたような表情の児童(のみならず老若男女が交って)が暴れている。
 石を投げる子供たち。
 ガラス窓を叩き割る青年。
 自動車を覆えす人たち。
 煽動者もなく、リーダーもいないが、群衆は規則正しく、器械のように周辺を破壊し終えると、次の街区に向い隊列を整え行進を始める。
 何かに操られた人々、手に手に松明を持ち、投げようとする。
 周辺のビルの屋上に立つ科学忍者隊の面々。健が、ジュンが、竜が、ジッパーの中から弾筒を投げる。ジョーの羽根手裏剣、甚平のスワロートップが弾筒を射つ!
 催眠ガスが辺りを蔽っていく。
 人々、意識朦朧として、膝をつき、うっ伏す。地面に落ち炎を弱める松明。
 × × ×
 催眠ガスは消えている。
 嘘のように睡りこけている人々。
 佇む科学忍者隊メンバー。
 健「……鼓笛隊の子供たちに限ったことじゃない……と、すると」
 ジュン「パレードを中止しても安全は保証できないかも」
 竜「こんなことが続けば、街がパニックになるぞ」
 甚平「急いで原因を探らなきゃ……」
 健「……ああ……(つぶやく)しかし……どうすれば」
 ジョー、女児を抱き起している。
 ジョー、女児の頬を打つ。
 ゆっくり眼を開く女児。
 女児「……ここ、どこ?」
 ジョー「(つぶやく)やはり何も覚えていないのか」
 健「(唇を噛む)」
- 病院 応接室
 健と話している南部。
 健「まるで集団で催眠術にかかったような動きでした」
 南部「催眠術?!……! そうかも知れん」
 南部、颯と立つ。
 健「……」
 南部「科学力を使って集団催眠を行えるのは」
 健「!ギャラクターとエゴボスラー一味」
 南部「(頷く)恐らくまちがいない。私は一旦ニューヨーク市に戻る」
 健「我々はここに留まって警戒します」
 南部「頼む」
- 同 病室
 ベッドに睡っている児童たち。
 見守るように立つジュン、甚平、竜。
 通信装置より発信音。
 ジョーの声「皆ンな屋上に来てくれ! 急いで」
 顔見合わす隊員たち、駈け出す。
- 同 屋上 夜
 ジョー、健、屹と見降している。
 駈けつけるジュン、竜、甚平。
 ジュン「どうしたの?」
 と、見降し、はッとなる。
 × × ×
 街路のあちこちを、なにものかに導かれるように歩く人、人、人……。
 一つの街路だけではない。夢遊病者のような人影が、あちこちに点在する。
 × × ×
 ジョー「どこか一方向に向っている」
 人影は、次第に列となり、群れとなって行く。
 甚平「あ! あの子たちも?!」
 × × ×
 病院の階下から、一人、また一人と、怪しい表情に変貌した児童たちが、魂を失ったかのように歩き出る。
 児童たち、吸い寄せられるように、人の流れに接近していく。
 × × ×
 ジュン、竜、催眠ガスの弾筒を投げようと構える。
 健「(制して)待て! 后を尾けるんだ」
 「ラジャー!」
 ひらりと舞い降りる健。従って降りるジョーたち、その颯爽とした身のこなし——。
- 遊園地 入口
 に吸い込まれるように入っていく人々。
 来るガッチャマンたち。
 健「……遊園地……?」
 ジョー「あの子、遊園地に来たといっていた」
 竜「パレードの出発地点はここだった」
 ジュン「この中に集団催眠の秘密があるんだワ」
 大きく頷く健。
- ギャラクター本部 エゴボスラーの室
 スクリーンにガッチャマン達の姿が映っている。
 エゴボスラー「さすがガッチャマン、その通りだ! その中に集団催眠装置が潜んでいるのだ」
 脇に立つマーストラ。
 マーストラ「遊園地を訪れた大人子供に超電磁催眠波を浴びせ、街中に混乱を惹き起こす……」
 エゴボスラー「お察しの通りだ」
 マーストラ「そこまではよくできた、と賞めておこう。だが、こうも易々と根拠地を探られるようでは、ハッハッハ、ファミリーの力とやらも知れたもの」
 哄笑するエゴボスラー。
 マーストラ「……?」
 エゴボスラー「ドラマはまだ終ってはおらん! 批評はあとにして頂こう」
 コニャックの匂を嗅ぎ、悠然たる嗤いを浮べるエゴボスラー。
- 遊園地 広場
 来たガッチャマンたち、立ち停まる。
 辺りは静まり却って人影はない。
 声「よく来たな、ガッチャマン!」
 ガッチャマン、見挙げると観覧車の頂きに立つメカンドル。
 メカンドル「さ、我々の言う通りに行動して貰おう」
 降り注ぐライトが健たちを浮び上らせる。
 屹と身構える健たち。
 そのとき、規則正しい脚音と共に、姿を現座す不気味な表情の児童、大人たち、手に手に銃を握っている。
 メカンドル「さ、無駄な抵抗はやめるんだ!」
 竜「なにを!」
 一同、催眠用の弾筒を装てんした銃を構えている。
 メカンドル「銃を捨てなければ、子供らを一斉に射ち殺す!」
 健たち、見ると、ギャラクターの兵士たちが、ヌッと出る。
 メリーゴーランドの陰、コーヒーカップの中、ジェットコースターのレール上……兵士らの銃口は、児童たちを性格に狙っている。
 健「……」
 健、銃を手離す。
 倣うメンバーたち。
 メカンドル「(つぶやくように)よし、それでいいのだ」
 メカンドル、発信装置のスイッチを押す。
 と、観覧車が廻り始める。
 奇怪な電磁波が発生して健たちを直撃する。
 健たち、体を動かそうとするが、動かない。
 悶え苦しむかのように、電磁波のシャワーを浴びる健たち……その手が空を把もうとする……。
 次第に、眼光は鈍り、虚ろな表情と化していく科学忍者隊メンバー。
 眼を綴じたメンバーたち、彫像のように立ち、動かない。× × (C・M) × × 
- エゴボスラーの室
 スクリーンに石のような健たち。
 マーストラ「(つぶやくように)見事だ……こうすれば奴らを殺すことなど、赤子の手をひねるよりたやすい」
 エゴボスラー「いや、殺さぬ!」
 マーストラ「な、何だと?!」
 エゴボスラー「フフフ、ガッチャマンは今より、我が配下の者、思い通りに動かせる可愛い奴、ファッハッハ……生かして使うことこそ悪の道ではないか」
 マーストラ、エゴボスラーの哄笑を脅えるように見る。
- 遊園地 中
 催眠状態が解け、歩き出す健たち。
 N「——催眠から覚めた健たちは、遊園地に脚を踏み入れた后の出来事を、忘れ去っていた」
 辺りを見廻して、怪訝な健たち。
 夜間照明の中、楽し気で平和な遊園地の風景なのである。
 ジョー、笑い出す。
 ジョー「俺たち、少々敏感になりすぎていたようだぜ」
 ジュン「遊園地に集ってきた人を追ってきたのね」
 メリーゴーランドに乗っている男児、女児たち、手を振っている。全く普通の子供らに戻っている。
 甚平「あんなに楽しそうにしてるんじゃ、病院脱け出したこと、責める訳にゃいかないな」
 竜「そうとも(健に)な」
 健「(微笑)ああ」
 ジュン「でも残念だワ。集団催眠の謎が解けるかと思ったのに」
 健「南部長官の連絡を待つんだ」
- ISO本部 一室(資料室)
 係官、コンピューターで選び出された情報カードを取り出し、読む。
 南部「——」
 係官「長官、科学力による集団催眠は、論理的に可能です。特殊な超電磁波を大脳皮質に投射し、記憶の皺に一旦貯えれば、一定の電波で遠隔操作も不可能ではありません。恐ろしいことです………」
 南部「生きた人間を気付かれずにロボットにし、思いのままに操る、奴らの考えそうなことだ。超電磁波を妨害することは?」
 係官「敵の場に対抗できるだけの電磁場をつくり出すことができれば」
 南部「判った、電波車の用意を」
 係官「はい!」
 と、退室。
- ギャラクター本部 エゴボスラーの室
 スクリーンに映るメカンドル。
 メカンドル「準備は全て整いました」
 エゴボスラー「御苦労! そろそろ最后の仕上げに入れ!」
 マーストラ「? 最后の仕上げ……」
 エゴボスラー「あなたなら、思いのままに操れるガッチャマンに何をさせた!かね」
 マーストラ「!……国王……」
 思わずエゴボスラーを窺い見るマーストラ。
 エゴボスラー「さよう! 愛と平和の使者タンガニア国王をガッチャマンに暗殺させ、科学忍者隊が我がファミリーの部下だと全世界に公言する!」
 不気味に嗤うエゴボスラー。
 表情を凍りつかせたマーストラ。
 マーストラの声「怖るべき奴、こやつは必ず私の敵となる。早い内に始末をつけねば……」
 スクリーンには、ホテルの前を通る健たちの姿が映っている。
- 街路
 来る健たち。
- 観覧車 頂き
 双眼鏡で見降しているメカンドル、発信装置を押す。
 メカンドル「……行け……我らのために働らくのだ……!」
- ホテル 付近
 黒い影が走り、ヌッと建物の蔭から顔を出す健たち。科学忍者隊のユニフォーム姿である。だが、その表情は不気味で眼は怪しい光を放っている。
 健たち、屹と向きを変え、ホテルの中に入っていく。
 いかめしい警備陣も健たちには眼もくれない。
- ホテル 内
 憑かれたような表情で進んでくる健たち、エレベーターに乗り込む。
- 同 エレベーター 内
 メンバーの発信装置から漏れ聞える南部の声。
 「ガッチャマン! 科学忍者隊! 応答せよ!」
 微動だにしないメンバーたち、その不気味な表情。
- 走る電波車
- 同 内
 通信装置のスイッチを切る南部。
 南部「おかしい……誰一人応答しないとは……?」
 係官「 」
 南部「……もし、ガッチャマンが集団催眠にかかっていたとしたら……! 急いでくれ給え!」
 係官、頷き、アクセルを踏む。
- ホテル ××階
 エレベーターの扉が開き、長い廊下を進む健たち。
 向い側から警備の係官たちが歩いてくる。
 健たち、ずんずん突き進む。
 不審気に見る係官たち。
 健、ジョーの眼がギラリと光ったと思うや、当て身を喰わしている。
 ガクリと崩折れる係官たち。
 更に進んでいく健たち。
- ホテルの前
 電波車が到着し、降りる南部、警備の一人に、
 南部「ガッチャマンは来ていないか」
 「はい、先程」
 南部「(車内の係官に)君はここで電磁波をつくり出せ。私は中に」
 ホテルに駈け込む南部。
 × × ×
 車内。
 係官、懸命に電磁波発生装置のダイアルを調整する。
 電波車のボディに備えられた電磁波発生装置が作動している。
- ××階の廊下
 進む健たち、その動きが一瞬停る。
- 観覧車 頂き
 双眼鏡で健の動きを捉えたメカンドル。
 メカンドル「?どうした……」
 兵士「(かかえた計器の目盛を見て)何ものかが新たに別の電磁場を!」
 メカンドル、ホテル前の電波車を見て、
 メカンドル「ふん。我れらの科学力を見せてやれ!」
 兵士、頷く。
- 深夜の遊園地
 観覧車がぐるぐる廻り出し、勢いを増す。
 強力に中央から発生する一条のビーム!
- 電波車
 の電磁波装置の廻転が制御され、小刻みに震え始め、灼けただれる。
 車内の汁器は目盛りの針が乱れている。
 係官「だめだ! とても敵わない!」
- ホテル 廊下
 健たちの鈍い動きが止み、再びぐんぐん突き進むように歩き出す。
- ホテル 国王の居室
 ドアをこじあける健、凄い力だ。
 健たち、更に扉をあける。国王の寝室である。
 国王、手元のスイッチを入れると、室内が明るむ。
 国王「……!? 何の用かね、こんな時間に……」
 不気味な表情の健たち、つかつかと接近し、無言で襲いかかる。
 国王、身を躱して、駈け出す。
 国王「バカな、科学忍者隊が私を襲うなんて!……信じられん!」
- 廊下
 逃げる国王。
 追う健たち。
 健、ヒラリと舞って国王の行く手を阻む。
 国王「!」
 健、銃を構えジワジワ寄って来る。
 駈けつけた南部、国王を庇って立ち塞がる。
 国王「南部長官! これは一体?!」
 南部「悪の科学がガッチャマンを操っているのです!」
 国王「な、なんと!」
 健、狙いを定め、銃爪に指をかける。
 南部の声「!やめろ、やめるんだ、健! 集団催眠などに負けるな!」
 だが、健の表情は悪魔のように歪んでいる。
 南部、とり出した銃に弾筒を備えつけ射つ! 充満する催眠ガス。
 南部、国王、手で口元を蔽っている。
- 観覧車
 メカンドル「……殺れ! ひと思いに、それ、殺せ!……」
 メカンドル、発信装置のパワーダイヤルをひねる。
- 廊下
 健たち、不気味な表情は変らず、かッと瞠き、銃爪を引く指に力がこもる。
 額に汗の南部、はッとなる。
 南部の声「そうだ、ジョーはサイボーグだった!」
 南部、ジョーの肩を射つ!
 !と我に却るジョー、眼前の事態を察して、手刀、廻し蹴りで、健、ジュン、甚平、竜を倒す!
 吹っ飛ぶ銃!
 壁に、床に打ちつけられた健たち!
 ふッと健の表情が普段のそれに戻る。
 各メンバー、通常に戻っている。
 額の汗を拭う南部。
 南部「……よかった」
 国王「……! ありがとう……!」
- 観覧車 頂き
 発信装置を荒々しく操作するメカンドル。
 メカンドル「く、糞ッ」
 と、装置を叩きつける!
 メカンドル「出撃だ!」
 と、観覧車は、見る見るひとかたまりとなり、ジェットコースターなどと結合して、鉄獣と化す。
 鉄獣、辺りを踏みしだき進む!
- ホテル屋上
 G1〜5メカ、発信する。
- 鉄獣メカ
 観覧車部分は巨大なガトリング砲のように辺り構わず射ち続ける!
 砕けるビル、照明塔!
 咆哮し、猛り狂うメカ、その口から躍り出す兵士たち、ずんずん進んで来る!!
 その肩にバスノカミサイル!
 発射ズン線、G1のバルカン砲が命中!
 次々と倒れ伏す兵士たち。
- G・S合体!
 ガッチャマンフェンサーを構えた健が鉄獣の腹部中央に突っ込んでいく。
 健「ガッチャマンフェンサー! トゥアーッ!!」
 爆発四散する鉄獣メカ、無念の叫び!
 一瞬早く飛び出す観覧車部の一台、翼を整え、見る見る遠ざかる!
- エゴボスラーの室
 耐えようとしてもほとばしる憤怒の感情、ワナワナと指先を震わせるエゴボスラー。
 退室しようとしたマーストラ。
 マーストラ「……どうやらドラマは終ったようですな、フフフフ……」
 灼き尽さん許りの視線を投げ返すエゴボスラー!
- 見挙げる南部 早暁 滑走路
 帰ってくるG1〜5メカ。
 降りて来るジョー、そして健ら。
 南部「ジョー!」
 と駈け寄る。
 ジョー無言(信頼の表情)で頷くと肩の傷を手で抑える。
 待機している救急車に乗り込むジョーと南部。
 南部「大至急、国債科学技術庁に運んでくれ!」
 と救急車の運転手に命じる。サイレンを響かせて走る救急車。
 N「南部長官と科学忍者隊の斗かいにより、エゴボスラーの企みは失敗に終った。体内の点検を受けるジョーにとって傷の痛みは苦痛ではなかった——」
 ——つづく——
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Recently:
- 合掌
- 超金属の元ネタはこれか(初代7話)
- 実写版ガッチャマン
- チャット復活しました
- 業務連絡
- 別の意味でもジョーすごいかも(初代 101話)
- 元ネタはMJ?
- 実写映画化ですと
- 小学2年生2月号
- 小学1年生12月号
 カテゴリー:
 カテゴリー:  