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ACT.10

このロボットを平和の守り神として有効的に仕様するにはフリード星人一人一人の平和や正義といったものに対する意識が今より数段高いレベルに達し、宇宙の一星民としてよりたくましく成長した時でなくてはならないのではないか?------と。そして、フリード大王はゴッド・グリフォンの製造計画に中止命令を下し、新たに改良を加え、戦闘能力をセーブした万能ロボット、つまりグレンダイザーの開発を科学陣に命じたのだった。しかし、製造中止命令が下されたと言っても、解体命令が出た訳ではなかった。いかに戦闘能力が優れすぎているとは言っても、この超兵器の集合体とも言えるゴッド・グリフォンはフリード星のあらゆる科学が生んだ結晶、科学の芸術である。

「このロボットを製造する事は有意義な事である。しかし、今はその時ではない。」

フリード大王はそう言い、ゴッド・グリフォンを製造途中のまま封印する事を決定した。かくして、フリード星の科学の生んだスーパーロボット、ゴッド・グリフォンは操縦機能に関して未完成(つまり、今ペガサスの乗っている”かたつむり”)のまま秘密裏にこの大地の地下深く埋められたのだった。そしてフリード歴3011年、ベガ星の侵略による最終戦争により、平和の守り神として完成したグレンダイザーはその威力を発揮する事なくフリード星は全滅となった。だが、わずかに生き残ったフリード星人の中にゴッド・グリフォン、グレンダイザーを設計した科学陣のリーダー、ガイン・アクリオン老博士がいた。ガイン・アクリオン老博士はわずかに生き残ったフリード星人達を守る為ゴッド・グリフォンを作動可能にする事を決意した。もしもグレンダイザーがベガ星に奪われたのだとしたら、これに対抗しうるのはゴッド・グリフォンしかないと考えたからである。そして、孫のペガサスと二人きりでこの5年間、密かに操縦装置である”かたつむり”の制作を続けて来たのだった。この事を知る者は誰一人としていない。しかし、ほとんどないと言ってもよい程の物資と設備の中、制作は容易ではなかった。案の定、一つのコンピューターの小型化に無理が生じ、”かたつむり”に搭載する事が不可能となった。つまり、このコンピューターが今、王宮地下倉庫でガイン老人が相手にしているコンソール・ボックスなのである。グリフォンの頭部に”かたつむり”が合体すれば手足は動かせる。