パーソナルツール

05

Act.1-Act.2 Text data for autotranslation.

再びあの猛スピードで飛び去ってしまったのである。そして、やがて星の海の中へとけこんで見えなくなってしまった。

「兄さん、今のは…!?」

マリアがそう訊いたが彼は絶句していた。

(------今のはいったい‥‥?まさかまだベガ星の奴等が‥‥)

ふと、そんな考えが彼の頭を過ぎった。

 

Act.2 荒涼たる大地

デュークとマリアはフリード星の大地に足を降ろし、そして息を呑んで立ちすくんだ。そこは瓦礫の山の廃墟だった。フリード星特有の曲線を主体とした建造物が幾重にも折り重なって倒れ、見渡す限りの無秩序を造りあげていた。空は暗く、灰色の厚い雲が天を埋め尽くし手の届きそうな高さに迫っていた。そしてこの空の下、倒れた建造物の隙間を風が砂を巻き上げて吹き抜けて行く。大地は幾度となく音をたてて震動し、その度に不安定に重なった瓦礫を崩し、そこに上った砂煙を突風がさらって行く。だがその震動は蘇るフリード星の頼もしい、荒い息づかいのようにも聞こえていた。

「これが‥‥これがあの平和だったフリード星か‥‥!」

デュークはそう言って唇を噛んだ。このフリード星最終戦争の悲惨さを物語る光景は、ある程度の予想はしていたものだった。しかし、やはりこの光景を目前にして、ベガ大王に対する怒りと死んでいった多くのフリード星人達への悲しみを押し殺す事はできなかった。彼の感情を表わすかのように一段と強い風が大地を駆け抜ける。マリアもこの光景かなりショックだったのだろう、目前の廃墟に絶句し、涙すらためた立ちすくんでいた。そんなマリアに気づいたデュークは優しく声をかけた。

「マリア‥‥もうベガ大王はいない。それに、フリード星は甦えったんだ。生き残った人は必ずいるはずだ。早くその人達を見つけ出し、力を合わせてフリード星国家を再建するんだ。」

この言葉はマリアを勇気づけるのに充分だった。マリアは軽く涙をぬぐい、笑顔をつくってうなずいた。まだ15才の幼いマリアにとって、力強く頼もしい兄だった。