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ACT.4

「じ…じいさん…」

男はうろたえていた。老人が再び朽ちを開く。

「ペガサス!あれ程言っておいたのに勝手なまねをしおって!」

小柄な痩せた老人だったが確かな威圧感の漂う老人だった。唐人は群衆の中央にできた道をゆっくりと歩きだし、デュークに近づいて来る。彼はこの老人の威圧感に生つばを呑んだ。

「どうやら王子にも何か言いたい事があるようじゃ。それを聞いてから王子と姫の処分を決めても遅くはなかろう。な、ペガサス。」

この老人の言葉には誰一人として反対する者はなく、さっきまで群衆を先導していた若い男------ペガサスも口をつぐんでしまった。どうやら今までこのフリード星人達を統治して来たのはこの老人らしい。とにかく、デュークにとっては、この誤解の意図をほぐす糸口を発見できたようであった。

「ありがとうございます‥‥おじいさん。みんな、聞いてくれ!僕等は決してフリード星を裏切ってはいない。確かに僕はベガ大王の娘、ルビーナと婚約した。だが、それはベガ大王の陰謀だった。僕とルビーナを婚約させ、二星間友好協定を結びベガ星とフリード星で力を合わせて宇宙の平和を維持していこうと僕の父を油断させておいて大連合軍による奇襲をかけたのだ。ルビーナは本当に僕を慕ってくれていた。‥‥しかし、そのルビーナも実はベガ大王に騙されていたのだ。ベガ大王の狙いはフリード星を全滅させ、グレンダイザーを奪う事だった。フリード星の科学力を結集して造られた平和の象徴、グレンダイザーを奴は侵略兵器にしようとしたのだ。ベガ星連合軍の総攻撃が始まった時、父は一早くベガ大王の企みを悟り、僕にこう言った。------グレンダイザーで宇宙へ逃げろ。ベガ大王の手に渡してはならん------と。僕はフリード星を離れる事をためらった。しかし、他にどうする事もできずに父の遺言通り宇宙へ逃げた。フリード星を離れるグレンダイザーの中で、僕は父を騙したベガ大王と王子であるにもかかわらずフリード星を守る事ができなかった自分を呪った。そして僕はあてもなく宇宙をさ迷い、銀河系、太陽系の第三惑星、地球という星に不時着した。フリード星によく似た星だった。僕はその星の人に助けられ、もう全てを忘れて地球人として暮らして行こうと思った。地球の人々は優しく、僕を救ってくれた人もその事を分かってくれた。だが、ベガ大王の魔手は地球にまでも伸びて来たのだ。僕はその時、もうグレンダイザーには乗りたくなかった。あんなものがあったから、フリード星は滅ぼされてしまったのだと思った。しかしベガ星人の侵略は容赦なく、円盤獣が次々と地球を襲った。そして、地球人類はベガ星人の侵略を防ぐ術を持たなかったのだ。僕は決心した。フリード星の悲劇をくり返えさせない為に戦おうと。それから戦いは始まり、僕は地球の勇気ある人々と協力し、永い戦いの末、べが星連合軍を殲滅しベガ大王を打ち倒したのだ。みんな、ベガ星は全滅したんだ。もうフリード星を襲う者はいなくなったんだ!」

彼の永く辛い戦いの物語は終わった。彼は事実を忠実に証言したつもりだった。もうこれ以上、彼にできる事はない。彼が話している間、口をはさむ者は誰一人いなかった。しかし、群衆の中にはまだ彼に疑わしい視線を向けている者が多い。特にペガサス、彼の目には異常なまでの挑戦的な輝きがあった。デュークは思った。

(------何故だ?こうまで彼等を警戒させるものは一体何なのだ?)

老人が口を開いた。

「‥‥して王子、あなたは何故にこの星へ帰って来なされた?」