3日連続で、マジンガーシリーズの指揮官役の個性が目立った回を紹介してきたのだが、今日はグレンダイザーでいってみよー!
既に、「42話の博士はなかなか味がある」で、コンピューターの立ち上げシーンを細かくネタにしたのだが、今回はそれ以外の部分。
まず、この回は、研究所に荷物が運ばれてくるシーンで始まる。研究所の周囲もバリア発生装置の設置作業中。
甲児「所長、制御装置のメインコンピュータが来ました。すぐに、降ろします」
宇門「来たか。よし、行こう」
宇門「とうとう来たか、メインコンピュータが」
まあ、手配するものは手配して、やることはやってるわけですよ。ところが、
甲児「そうさ、この研究所もだいぶ知られちゃったからね。だけどこれさえあればへっちゃらさ、ねえ、所長」
宇門「う……うん」
甲児「あれ、自信無いんだなあ。大丈夫、心配しなくたってベガ星連合軍なんていくら来たって、ダブルスペイザーやグレンダイザーがある限り、研究所に指一本触れさせませんよ」宇門「よし、みんな。敵はいつ来るかわからない。急いでやろう」
甲児君が楽観的なのはいつものことだけど、宇門博士の方は、何だか釈然としないというか、考え込んでるばっかり。
作業が終わって夜になって、宇門博士は一人で地下のとある部屋に向かう。装置の起動レバーに手をかけたまま、宇宙空間のイメージ(この日記帳の上の方の画像みたいな明るいヤツ)を思い浮かべてそのまま(‘・ω・`)ショボーン。所長室に戻ると大介がやってくる。
大介「父さん」
宇門「いやあ、大介か」
大介「ねえ、父さん。どうしたんです?何か心配事でもあるんですか?」
宇門「う……うん。別に心配事というわけではないんだが……」
大介「父さん、べが星連合軍の攻撃を心配してるんですか?」
宇門「ああ……違うんだ。そんなことじゃないんだよ。いずれ、この研究所が攻撃されることは間違いない。だが、今の防備だけでは到底防ぎきることは出来まい。グレンダイザーとダブルスペイザーが必ず守れるとは限らないのだ。もっと、根本からこの研究所をなおさなくては、だめだ。大介、みんなには言わなかったが、実は、この研究所を……」
戦闘チームにも言わずに研究所をしっかり魔改造してました、というオチ。さすがに所員は知ってたんだろうなぁ。ただ、あれだけしょっちゅう研究所に出入りしている戦闘チームに気付かれずにやり遂げたことの方が凄い。この工事って、別荘で兜十蔵がひそかにマジンガーZを作ってたのより難易度高くないか?
大介「すると、父さんはここを……」
宇門「そうだ、私はずっと前から少しずつこの計画を実行してきた。そして、ついに完成したのだ。残るはメインコンピュータのセッティングだけだ」
大介「なぜ、すぐにやらないんですか?」
宇門「うむ……私が悩んでいるのはそれなんだよ。私だってそうしたいんだが」
宇門「大介、お前も知ってるだろう。私の夢はね、あの広大な宇宙の謎を少しでも解き明かすことだったんだよ。無限の広がりを持つ宇宙、知れば知るほど奥深さを増す宇宙。宇宙空間はいつでも私に新しい驚きと感動を味合わせてくれる。私はそんな宇宙が与えてくれる感動が欲しくてこの研究所を作った。だが、あの忌まわしいベガ星連合軍がやってきて、都市を攻撃し、人々を殺した。そして、今やこの研究所は戦いの道具になろうとしているんだ。できることなら、この研究所を戦いの道具にしたくない。だから、私にはどうしてもコンピュータのセッティングができないんだ」
自分の研究と地球防衛を秤にかけて悩むあたりがなぁ……。いや、判断が早い宇門博士には珍しくぐだぐだと悩んでるシーンなんですわ。
でもね、こういう場合って、弓教授だったら多分、「光子力の平和利用が……」とか「世界の平和が……」とか、とにかく何らかの使命感で悩むはず。兜剣造博士なら、とっくに覚悟を決めてるから、そもそもそんな理由で悩みもしない。ところが宇門博士は自分の研究の方針とずれているという理由で悩む。それに、対策をたてたとして、普通なら「これで対策は十分だろうか」と少しは心配するはずのところを、「別に心配事というわけではない」とあっさり否定。ちっとも心配してない。
宇門「大介……大介、どうした。お前が気にすることはないんだよ。ベガ星連合軍との戦いは誰かがやらなきゃならないことなんだ。私には覚悟はできていた。このときが来るのがわかっていたからこそ、研究所を改造したんだ。ただ、私の長年の夢を断ち切ることは難しい。それだけなんだよ。だが、それも、いずれ、やらざるを得ないだろう」
つまりは、改造後の研究所の性能には十分自信があるけど、それは趣味に反するから気が進まないだけ、ということらしい。
研究所の外観は、何回か前にヘリポートを壊されたまま修理は進んでいない。多分、内側の改造にかかりきりだったんだろうなぁ。
案の定円盤獣が攻めてきて、近くで研究所を守れという指示もきかずに甲児君は突っ込んで行くし、デューク&ひかるは罠にかかって湖の底で動けない。そこへ、大型円盤が研究所を攻撃しにやってくる。この展開が、
宇門「うーん、おかしい。あれだけの攻撃をかけてきたのに、そんなに弱い円盤獣が来るなんて。何かありそうだ」
と、怪しむべきところはきっちり怪しんでいる。
林「来ました。超大型円盤です」
宇門「ついに来たか」
何だかこれも予想してたっぽい。
宇門「バリア発生装置作動開始!」
宇門「このバリアが果たしてどれくらい保ってくれるだろうか……」
大井「所長、バリア発生装置が許容温度を超えました」
宇門「やっぱりダメか。観測ドーム降下開始!」
準備はするけど、さほど効果をアテにもせず、失敗しても半分以上は予想の範囲、という感じが……。最初からバリアの性能はそんなに高く評価してなかったみたい。
そうこうするうち、甲児君からの連絡が入る。この時の応答がなかか秀逸。
宇門「甲児君、遅かった。我々は地下へ潜る。君は逃げろ。研究所がどうなっても、君は無事でいてくれ」
これだけ言って、宇門博士の側から一方的に通信カット。甲児君は涙目であせりまくり。
あれこれ説明する余裕の無い状況だったのはわかるけど、ちゃんと確認するとマジで必要なことしか言ってない。
・甲児君、遅かった。←端的すぎる事実の指摘、勝手に突っ走った甲児に対してはホント身も蓋もない
・我々は地下へ潜る。←これからすることをそのまんま連絡
・君は逃げろ。←指示
・研究所がどうなっても、君は無事でいてくれ←下に新しいのがあって壊された場合は出す予定だから、古い方を守るために無茶して怪我でもされたら逆に予定が狂う
・スイッチOFF←忙しいんだよこっちはこれからすぐに地下に行って新研究所の立ち上げ始めないと間に合わないし
……徹頭徹尾所長はマイペースのまま突っ走っている。
これ、弓教授だったらもうちょっと感情のこもったウェットなシーンになるはずだし、甲児君もそのつもりで涙目になってたんだろうけど、マイペース宇門博士としては最低限必要なことは伝えたからこれでまあいいや、ってつもりでいたんだろうなぁ。
弓教授と付き合うつもりで宇門博士と付き合ったら、「え、えぇっ……?」と思うことの連続になりそう。