コロムビアのガッチャマンDVDvol.3のライナーノーツ。鳥海尽三氏のインタビュー記事より。

——当時、超合金とかで巨大ロボット物の企画が増加しましたが、竜の子は、安易にロボット物に走りませんでしたね。
 僕は、巨大なロボットが簡単に動いたり、自由自在にアクションが出来るものか、と思ってます。しかも、第1話で子供が巨大なロボットを簡単に操縦するなんて、そんな馬鹿なことはありませんよ。もしやるならば、ストーリーの中で段々と解っていくようにやらなければならないわけです。

 ……何だかダイナミッカーに正面から喧嘩売ってる発言。初代ガッチャマンと人気を二分してた操縦型巨大ロボットで、超合金大ヒットの原因を作ったのって、マジンガーZだろう。ガッチャマンが1972/10/1〜1974/9/29の放映、マジンガーZは1972/12/3〜1974/9/1の放映だから、きっちりかぶっている。
 しかし、Zの最初の方は、操縦ができなくて甲児君は困ってたし、グレートの鉄也は最初から戦闘のプロとして訓練されていたことが語られたし、グレンのデュークは元々王族で操縦者だし。ちゃんと最初から見てたのか、と突っ込みたくなった。

 でもまあ、こういう喧嘩はアニメファンとしては歓迎。別の方向にこだわってくれたおかげで、いろんな種類の作品が楽しめる。

よく考えると、南部博士だってとんでもない男だよね。子供達を集めて、宇宙から来たとんでもない野郎と戦わせる訳だから。だから、『ガッチャマンF』の途中で殺してやったんです。
——ばちがあたんたんですね。
そうです。

 ……南部博士殺したのってそういう理由だったんかいorz。

Z14話:いい加減に白衣を脱げ

|2009/11/2(月曜日)-02:10| カテゴリー: マジンガーZ
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 Z14話、兜邸でシローの誕生会をしているシーン。一応証拠写真な。

Z14-01.png

 弓教授がこんな席でまで白衣のままである件。
 いやまあ、トレードマークと化してるのはわかるんだけどさ、白衣ってつまりは「作業着」だぞ。パーティーの席に着てくるものではないわな。
 化学薬品扱ってたりすると、冗談抜きで、白衣は洗濯せずに汚れたら処分する、って使い方をする事もある。重金属とかいろいろややこしいものがくっついてるのを、普段の衣類を洗う洗濯機で洗いたくないでしょ、やっぱり。
 いくら光子力研究所長で、汚れ仕事はしてないとしても、お祝いの席に白衣はちょっとねぇ。いや、新品の白衣に着替えてきた、と弓教授が胸はって言い張りそうな気もするけど、そもそもそういう問題でもないし。
 ダンディ弓教授にしては場違いだなあ、と。

 namiさんの「恋人は二次元キャラ?」で質問が出たので答えてみる。

[1]宇門博士たちが指令を出す部屋(光子力研究所でいうところのコントロールタワー)はなんと言いますか?

 タワー、というか、上にパラボラがくっついた丸い部分(紅白に塗ってある)全体は、設定画では「観測用ドーム」。宇門博士の台詞に「ドーム降下」とあったりするので、単に「ドーム」と呼んでいる場合もある。また、「観測ドーム」と呼んでいた回もあったような……。メインスクリーンのある、宇門博士が指示を出している部屋は「観測室」。

[2]ドリルスペイザーのドリルミサイルは、爆発しますか?それともただのドリルですか?

 既に誰かが答えているが、「両方の描写がある」が正解。
 ドリルスペイザー初陣の時の敵であるベガ星アリは、頭以外は攻撃で貫かれても平気なので例外として、対円盤獣のシーンを探した。たとえば49話で、爆発せずに円盤獣を貫くシーンがある。
episode49-01.png

 一方、65話。爆発が2つあって、右側がマリンミサイル命中、左側がドリルミサイル命中。こちらでは、命中と同時にドリルミサイルは爆発している。
episode65-01.png

[3]宇門博士は、ひかるとマリアのことをどう呼びますか?
「くん」?「さん」?呼び捨て?

 38話後半、ひかるがデュークバギーに乗って、研究所の門の前あたりで奇襲部隊と戦っているシーンで宇門博士からの呼びかけの台詞。

宇門「ひかる君、それ以上は危険だ。早く研究所の中へ逃げ込むんだ」

 59話冒頭、研究所内ラウンジのシーン。

宇門「マリアちゃん、ドリルスペイザーで送ってくれないか」

ということで、宇門→ひかるは「ひかる君」、宇門→マリアは「マリアちゃん」で間違いではない。なお、宇門→ひかるについては、各キャラがお互いどう呼び合うかが設定されていて、そちらの設定でも「ひかる君」になっている。マリアの登場は後半のため、最初に決められた呼び方の設定には何も書かれていない。ただ、キャラ同士で時々呼び方が違う回もあって、全部この呼び方で統一されているかどうかまでは確認していない。

 Reeさんのところで望遠鏡についてツッコミが出たのでそれも含めて補足。

 ところで、他にも問題有りのシーンが。シラカバ牧場前に甲児君がTFOで着陸し、宇門博士がやってきたところ。
Episode-01-02.png

 宇門博士の背後の、特殊バスのドアに注目してほしい。蝶番がドアの後ろ側にある。これって、設計上有り得ない。バスが進むと、前から風をうける。何らかの原因でドアの閉め方が甘かったり、故障したりしていた場合、走っている最中に風圧でドアが90度開くかもしれない。で、開いたが最後、停車するまで多分ドアは閉められない。力一杯引っ張ったって、多分、前からの風圧に負けてしまうだろう。
 どうしても後ろにドアを開きたければ、スライド式にして、風圧をほとんど受けないようにする。現実の自動車はすべてそうなっている。
 宇門博士が降りてきた瞬間の全身像を出したかったのだと思うが、そのため、ドアの開き方がえらく危険なことになっている。

 次が望遠鏡のシーン。研究所に近付いていくところはこんな感じ。
Episode-01-03.png

 研究所を上から見た図はこんな感じ。
Episode-01-04.png

 この時の宇門博士の台詞が、

宇門「あれが、この研究所自慢の宇宙望遠鏡だ」

となっている。
 望遠鏡まわりの文芸資料がどうなっているかというと、

■ドームの上のパラボラは「電波望遠鏡のアンテナ」(設定画、研究所初期バージョン断面図)
■「ドームの屋根の内側が電波望遠鏡のアンテナになっている」(設定画、研究所初期バージョン俯瞰)
■中央スクリーンの説明「電波望遠鏡がセットされた時だけ左右から映写スクリーンが移動してひとつになる」(設定画、観測室①)
■上部スクリーンの説明「望遠鏡がセットされた時のみ天井が左右に開き、空が肉眼で観測出来る」(設定画、観測室①)
■「宇宙望遠鏡アンテナ」(設定画、新研究所断面図)※但し、「電波望遠鏡」の「電波」に線を引いて消して、「宇宙」と書き直してある。魔神全書には書き直し前の図が掲載された。
■林明はレーダー係、山田は電波望遠鏡操作室係、佐伯がコンピューター係(シナリオ36話)
■世界最大の宇宙望遠鏡が取り付けられている(テレビマガジンS50.12)
■「司令室の上に世界最大の宇宙望遠鏡がある」(UFOロボグレンダイザー大百科、エルム)
■研究所初期バージョン断面図の説明で「宇宙科学研究所じまんの電波望遠鏡」(テレビランドワンパック UFOロボグレンダイザー図鑑)
■「世界一の天体望遠鏡がある」(スーパーロボット3大全科)
■「世界最大の宇宙電波望遠鏡がある」(スーパーロボット大図鑑)
■「巨大な観測用ドームや電波望遠鏡などの装備を持っている」(テレビマガジン特別編集 マジンガーZ大全集)

といった具合である。
 本編、シナリオとも、注意して確認したが、「電波望遠鏡」と「宇宙望遠鏡」の区別はしないで使われている。

 「宇宙望遠鏡」は、地球の衛星軌道上などの宇宙空間に打ち上げられた天体望遠鏡を指す。だから、地上のパラボラアンテナに望遠鏡としての機能があったとしても、それを指して「宇宙望遠鏡」と呼ぶことは無い。一方、「電波望遠鏡」は、電波を観測していれば、地上にあろうが宇宙にあろうが電波望遠鏡である。

 つまり、本編を見ても文芸資料を見ても、望遠鏡まわりについては、一体何がなんだかさっぱりわからない記述になってしまっているのである。

 次に、甲児君を案内して観測室に来て、望遠鏡を作動させた時のシーン。
Episode-01-05.png

 メインスクリーンは暗い星空なのに、窓の外は真っ昼間である。どう見ても、相当上空から宇宙空間を観測した画像になっている。さらに、他の回でも、円盤獣が攻めて来た時に望遠鏡で観測するシーンがしばしば出てくるのだが、映像はすべて、普通に可視光で見たものになっている。
 電波による観測では、電波の強度分布を画像処理して表示したりするため、光学観測の画像とは似ても似つかない映像になる。

 研究所のドームの上にあるパラボラアンテナは、地上にある以上は「電波望遠鏡」であるかもしれないが「宇宙望遠鏡」ではない。「宇宙望遠鏡」はおそらく軌道上に複数個あり、そのデータを研究所ドームの上のパラボラを使って受信したりということはやってりいるかもしれない。パラボラを指して「宇宙望遠鏡」と呼んでいるシーンは、軌道上の望遠鏡のシステムの一部だからそう呼んでいる、と解釈するしかない。

 宇門博士が素でデタラメを言っていた、とするのはあまりにもアレな解釈になってしまう。

 日本語で、電波天文学のまともな教科書が出たのはおそらく1988年である(「宇宙電波天文学」赤羽・海部・田原著、共立出版)。これが出て初めて、論文や洋書を読まなくても、電波による観測の原理や設備について、普通の人でもちょっと大きな書店で本を買ってくるだけで、知ることが可能になった。野辺山のサブミリ波の45m鏡はその前から動いていて、成果がたくさん出たので、日本でも教科書を、ということになった。これ以前に、電波天文について知ろうとしたら、海外の専門書を見るか、論文を見るくらいしか手が無かったはずである。
 可視光の範囲を天体望遠鏡で観測するアマチュア天文マニアは大勢いたが、電波天文は必要な機材も知識もまるで違うので、手出しが可能なアマチュアは居なかったのではないだろうか。
 おそらく、当時は、「電波望遠鏡」は、一般の人にとっては新規で珍しかったのだろう。そういうものをガジェットとして取り込みたがるのは、SFアニメにはありがちなことである。ただ、よほどのマニアか専門家に近い人が居ない限り、電波望遠鏡とはどういうもので、どんな画像で観測結果が出てくるのかを知ることは難しかったと思われる。
 もし、リメイクする機会があったら、研究所の設備の設定をきちんと詰めて欲しい。今なら十分な情報が比較的簡単に手に入る。

 私も、二次創作を書こうとしたときに扱いに困ってしまい、結局、
■ドームの上のパラボラは基本は電波望遠鏡。
■但し送信機能もある。
■宇宙望遠鏡は軌道上にいくつかあって、光学観測を始め他の波長でも観測をしている。(∵研究所が有人ミッションをやるほどに打ち上げ能力があるなら、宇宙望遠鏡の軌道投入は楽勝のはず)
■宇宙望遠鏡からのデータを受信するとか、探査機に信号を送るといった用途でも、ドーム上のパラボラが使われる。(∵まあ、本編での呼び方でも一応できるだけおかしくないようにしたい)
■レーダーは別で、平板のフェーズドアレイがある。(∵レーダー動作中にパラボラが360度高速で回り続けているわけではないし、レーダーで見ながら宇宙望遠鏡の画像黙したりしているから別に動作しないとおかしい)
といった解釈にしている。

 単一鏡で世界最大の可動電波望遠鏡としては、ドイツのエッフェスベルグの100m鏡がある。このサイズを基準にして、研究所のパラボラはこれ以上、ということで見積もろうとしたのだが、英氏に反論を出されて結論が出ていない。

 もう一つ、面白いのがスイッチの方向である。電源でも何でも、壁などにとりつけられているスイッチは、安全のため、上に動かすと入るようになっていて、人がうっかり持ったまま倒れたり、引っかけたりしたときには切れるようにしている。
 これを守らず大被害になったアニメには、映画の銀河鉄道999の時間城のシーンがある。機械伯爵が時間を進めるレバーを握ったまま鉄郎に撃たれて倒れ、そのままスイッチON。時間が進んで城が全部崩壊した。スイッチの設計がまともだったら機械伯爵は死んでも時間城は残ったはずである。
 それはともかく、グレンダイザーの設備回りを見ると、観測室の所長の机の前の宇宙望遠鏡のスイッチ以外は全部手前あるいは下に引っ張るとONになるという描かれ方をしている。正義側も敵側も変わらない。ところが、マジンガーZでは、電源ONは全てスイッチを上に倒すシーンで描かれている。現実に即しているのはZの描写の方である。スタッフの中に、誰か設備に詳しい人でもいたのだろうか。

 弓教授の珍指揮の回を紹介したが、兜剣造博士と宇門博士に比べてあまりに間抜けなシーンだったので、かっこいい台詞を言ってるシーンも集めてみることにしました。

 Z7話。変装したあしゅらに煽られた暴徒に石を投げられて負傷してしまう回。ヘルが攻めてくるのは光子力研のせいだ、と謂われのない非難をされる。

さやか「私達はもう光子力を放棄して静かに暮らしましょう」
弓「いかん、今あれを放棄したらどうなると思うんだ。地上は悪魔の支配する星となる。それだけはなんとしても食い止めねばならん」
さやか「でも私、甲児くんみたいにひとりぽっちにはなりなくないわ」
弓「なんだんって」
さやか「彼の両親は光子力の開発途上で実験に失敗して死んだわ。その上に、おじいちゃんの兜博士は光子力を完成したために殺されちゃったじゃないの」
弓「さやか。この悲劇を悲劇のままでは終わらせん。ここで光子力を放棄してしまったら、今まで大きな犠牲を払ってきた人たちに仇で返すようなものだ。光子力を本当に平和利用するまで、悪用しようとする者と戦わなければならないのだ」
弓「わかったかね、さやか。一個人の幸せに関わる問題ではないのだ」

 28話。だまされてあしゅらに人質にとられる。

弓「甲児君、さやか、戦うのだ。わしにかまわず機械獣を倒せーっ!」
あしゅら「マジンガーZ、アフロダイA、一歩でも動いてみろ、弓博士の命は無いぞ」
弓「甲児君、Drヘル一味にジャパニウムを渡してはならん」
弓「さやか、私一人の死を恐れて人類をDrヘルの奴隷にしてはならん。二人とも、戦ってくれ」

 戦えない二人を見て、

弓「私が二人の足手まといになっている。そうだ、私が死ねば二人は戦えるんだ」

 思いっきり崖からダイブする弓教授。Zが何とか受け止めますが。
 37話。ニセスミス博士がスクランダーを爆破しようとする回。格納庫で気付いて、ニセ者に腕を撃たれるも、

偽スミス「動くな、今度は命がないぞ」
弓「撃てるものなら撃て。私は死なんぞ。いや、たとえ死んでもお前達のたくらみを成功させはしない」

 負傷したままがんばって偽スミスを取り押さえます。
 43話。ブロッケン伯爵の鉄十字軍団に攻め込まれる光子力研究所。

弓「さやか、光子力研究所はもはや防ぎようがなくなった。お前はみんなを連れてヘリコプターで逃げるんだ」
さやか「お父様は?」
弓「私は光子力研究所を見捨てるわけにはいかない。」
さやか「そんなことをしたら殺されるわ」
シロー「そうですよ、先生早く一緒ににげましょうよ」
弓「いや、それはだめだ。船長は船が沈むとき一緒に船と運命を共にする。私は責任者としてこの光子力研究所と運命を共にしなければならないんだ」
弓「私はお前達が一緒に死んでくれても少しもうれしくはない。わかってくれ、私の気持ちが」

 57話。Zが罠にかかっている間に、光子力研究所が攻撃されてバリアも破壊される。

ドクターヘル「どうだ弓弦之助、無駄な抵抗はやめろ。直ちに研究所を明け渡さなければ、機械獣バルモスQ7とともに奪い取るだけじゃ」
せわし「しょ、所長」
弓「みんな、逃げてくれ」
もりもり「それじゃ所長」
弓「やむを得ん。ドクターヘル、研究所は明け渡す。攻撃を止めたまえ」
ドクターヘル「やっと観念したか」
弓「ただし、これ以上市民ならびに研究所に犠牲者を出すな」

せわし「所長、一緒に逃げてください。それからのことはそこで考えましょう」
弓「君たちこそ早く行くんだ」
せわし「し、しかし」
弓「これは所長命令だ」
せわし「しょ、所長……」
弓「早くしないか!」
弓「甲児君、残念だ」

 この後、管制塔内に一人残った弓教授、ピストルを出して頭に当て、自決寸前のところを、甲児君からの連絡で救われます。
 65話。

弓「我々の戦いはいつもこんな苦しみの連続なんだ。しかし、我々には正義という武器がある。さいごまであきらめてはいけない。バリヤを張れ!」

 光子力研の雰囲気がでている、新ホバーパイルダー開発の70話。

弓「とにかく、ドクターヘルの攻撃はこのところただならぬものがある。新機械獣の出現といい、作戦失敗のときの体当たり戦法といい、まさに、瀬戸際作戦に出てきたといってもいいと思う。我々はこれに対処するため、ホバーパイルダーを修理するという考えを捨て、あらゆる条件に耐えうるものを新しく誕生させなくてはならないと思う」
拍手する一同。
せわし「とにかく新ホバーパイルダーを設計しなくては」
弓「それでは、ホバーパイルダーの建造委員会を、せわし、のっそり、もりもりの三博士を中心に発足させる。委員長には私が就任しよう」
再び一同拍手。

 科学要塞研究所は軍隊方式のトップダウン組織だから会議してこういうシーンにはならないし、宇宙科学研究所は所長が趣味で突っ走ってそう。
 74話で研究所のバリアが破られた後。甲児は負傷して出撃できない。

弓「全員避難せよ。防衛不能」
せわし「所長」
弓「博士、残念だが今回はどうにもならない。今まではマジンガーZを信じて望みをつないできたが、それも不可能だ。せわし博士は早く避難を」

弓「おい、ドクターヘル。研究所は明け渡そう。攻撃を中止したまえ。ドクターヘル」

 このあと、アフロダイAを壊したくないと言って出撃しないさやかに、

弓「さやか。甲児君は自分の命を捨てて出て行ったぞ。それでも、お前はアフロダイAにこだわるのか。さやか。誰にも犠牲にしたくない大事なものがある。しかし、人間の命に代えられるものは無いんだぞ。これが最後だ。弓弦之助の娘として恥ずかしくない決断をくだしたまえ」

 結局アフロダイAは破壊される。
 アフロダイAの後継を作ることになった75話。

甲児「とにかく、新しいアフロダイAは戦闘用として作り替えるべきです」
せわし「うん、しかしちょっと待ってくれ甲児君。アフロダイAは平和の使者に、彼女は戦闘用にすべきじゃない。あくまで平和のためのロボットとして甦らせるべきなんじゃよ」
甲児「せわし博士。いまはそんなことを言っている場合じゃないでしょう」
弓「甲児君、せわし博士、ちょっと待ってくれないか。お互いの意見はよくわかった。しかし、ここにさやかがおらんというのは片手おちというものだ。この際、戦闘用にするか平和ロボットに徹するかは次の会議で決めよう」

とまあ、やっぱり会議をしているあたりが光子力研究所だなあ、と。兜剣造博士や宇門博士なら、設計を決めてみんなに示すだろうねぇ。
 78話でも、攻撃を受けて管制塔が大破。所員達を避難させたあと、弓教授が一人で管制塔に残って甲児君を呼び続ける。

 普通に指揮している回とか、それなりに技術で対策してる回とかもいろいろあるんだけど、こうやって見てみると、弓教授は本当に使命感の人だなぁ。自分は死んでもいいけど所員に被害は出したくない、というか。古き良き日本人の組織のトップ、というイメージが強い。

 3日連続で、マジンガーシリーズの指揮官役の個性が目立った回を紹介してきたのだが、今日はグレンダイザーでいってみよー!
 既に、「42話の博士はなかなか味がある」で、コンピューターの立ち上げシーンを細かくネタにしたのだが、今回はそれ以外の部分。

 まず、この回は、研究所に荷物が運ばれてくるシーンで始まる。研究所の周囲もバリア発生装置の設置作業中。

甲児「所長、制御装置のメインコンピュータが来ました。すぐに、降ろします」
宇門「来たか。よし、行こう」
宇門「とうとう来たか、メインコンピュータが」

 まあ、手配するものは手配して、やることはやってるわけですよ。ところが、

甲児「そうさ、この研究所もだいぶ知られちゃったからね。だけどこれさえあればへっちゃらさ、ねえ、所長」
宇門「う……うん」
甲児「あれ、自信無いんだなあ。大丈夫、心配しなくたってベガ星連合軍なんていくら来たって、ダブルスペイザーやグレンダイザーがある限り、研究所に指一本触れさせませんよ」

宇門「よし、みんな。敵はいつ来るかわからない。急いでやろう」

 甲児君が楽観的なのはいつものことだけど、宇門博士の方は、何だか釈然としないというか、考え込んでるばっかり。
 作業が終わって夜になって、宇門博士は一人で地下のとある部屋に向かう。装置の起動レバーに手をかけたまま、宇宙空間のイメージ(この日記帳の上の方の画像みたいな明るいヤツ)を思い浮かべてそのまま(‘・ω・`)ショボーン。所長室に戻ると大介がやってくる。

大介「父さん」
宇門「いやあ、大介か」
大介「ねえ、父さん。どうしたんです?何か心配事でもあるんですか?」
宇門「う……うん。別に心配事というわけではないんだが……」
大介「父さん、べが星連合軍の攻撃を心配してるんですか?」
宇門「ああ……違うんだ。そんなことじゃないんだよ。いずれ、この研究所が攻撃されることは間違いない。だが、今の防備だけでは到底防ぎきることは出来まい。グレンダイザーとダブルスペイザーが必ず守れるとは限らないのだ。もっと、根本からこの研究所をなおさなくては、だめだ。大介、みんなには言わなかったが、実は、この研究所を……」

 戦闘チームにも言わずに研究所をしっかり魔改造してました、というオチ。さすがに所員は知ってたんだろうなぁ。ただ、あれだけしょっちゅう研究所に出入りしている戦闘チームに気付かれずにやり遂げたことの方が凄い。この工事って、別荘で兜十蔵がひそかにマジンガーZを作ってたのより難易度高くないか?

大介「すると、父さんはここを……」
宇門「そうだ、私はずっと前から少しずつこの計画を実行してきた。そして、ついに完成したのだ。残るはメインコンピュータのセッティングだけだ」
大介「なぜ、すぐにやらないんですか?」
宇門「うむ……私が悩んでいるのはそれなんだよ。私だってそうしたいんだが」
宇門「大介、お前も知ってるだろう。私の夢はね、あの広大な宇宙の謎を少しでも解き明かすことだったんだよ。無限の広がりを持つ宇宙、知れば知るほど奥深さを増す宇宙。宇宙空間はいつでも私に新しい驚きと感動を味合わせてくれる。私はそんな宇宙が与えてくれる感動が欲しくてこの研究所を作った。だが、あの忌まわしいベガ星連合軍がやってきて、都市を攻撃し、人々を殺した。そして、今やこの研究所は戦いの道具になろうとしているんだ。できることなら、この研究所を戦いの道具にしたくない。だから、私にはどうしてもコンピュータのセッティングができないんだ」

 自分の研究と地球防衛を秤にかけて悩むあたりがなぁ……。いや、判断が早い宇門博士には珍しくぐだぐだと悩んでるシーンなんですわ。
 でもね、こういう場合って、弓教授だったら多分、「光子力の平和利用が……」とか「世界の平和が……」とか、とにかく何らかの使命感で悩むはず。兜剣造博士なら、とっくに覚悟を決めてるから、そもそもそんな理由で悩みもしない。ところが宇門博士は自分の研究の方針とずれているという理由で悩む。それに、対策をたてたとして、普通なら「これで対策は十分だろうか」と少しは心配するはずのところを、「別に心配事というわけではない」とあっさり否定。ちっとも心配してない。

宇門「大介……大介、どうした。お前が気にすることはないんだよ。ベガ星連合軍との戦いは誰かがやらなきゃならないことなんだ。私には覚悟はできていた。このときが来るのがわかっていたからこそ、研究所を改造したんだ。ただ、私の長年の夢を断ち切ることは難しい。それだけなんだよ。だが、それも、いずれ、やらざるを得ないだろう」

 つまりは、改造後の研究所の性能には十分自信があるけど、それは趣味に反するから気が進まないだけ、ということらしい。
 研究所の外観は、何回か前にヘリポートを壊されたまま修理は進んでいない。多分、内側の改造にかかりきりだったんだろうなぁ。
 案の定円盤獣が攻めてきて、近くで研究所を守れという指示もきかずに甲児君は突っ込んで行くし、デューク&ひかるは罠にかかって湖の底で動けない。そこへ、大型円盤が研究所を攻撃しにやってくる。この展開が、

宇門「うーん、おかしい。あれだけの攻撃をかけてきたのに、そんなに弱い円盤獣が来るなんて。何かありそうだ」

 と、怪しむべきところはきっちり怪しんでいる。

林「来ました。超大型円盤です」
宇門「ついに来たか」

 何だかこれも予想してたっぽい。

宇門「バリア発生装置作動開始!」
宇門「このバリアが果たしてどれくらい保ってくれるだろうか……」
大井「所長、バリア発生装置が許容温度を超えました」
宇門「やっぱりダメか。観測ドーム降下開始!」

 準備はするけど、さほど効果をアテにもせず、失敗しても半分以上は予想の範囲、という感じが……。最初からバリアの性能はそんなに高く評価してなかったみたい。
 そうこうするうち、甲児君からの連絡が入る。この時の応答がなかか秀逸。

宇門「甲児君、遅かった。我々は地下へ潜る。君は逃げろ。研究所がどうなっても、君は無事でいてくれ」

 これだけ言って、宇門博士の側から一方的に通信カット。甲児君は涙目であせりまくり。
 あれこれ説明する余裕の無い状況だったのはわかるけど、ちゃんと確認するとマジで必要なことしか言ってない。
・甲児君、遅かった。←端的すぎる事実の指摘、勝手に突っ走った甲児に対してはホント身も蓋もない
・我々は地下へ潜る。←これからすることをそのまんま連絡
・君は逃げろ。←指示
・研究所がどうなっても、君は無事でいてくれ←下に新しいのがあって壊された場合は出す予定だから、古い方を守るために無茶して怪我でもされたら逆に予定が狂う
・スイッチOFF←忙しいんだよこっちはこれからすぐに地下に行って新研究所の立ち上げ始めないと間に合わないし
 ……徹頭徹尾所長はマイペースのまま突っ走っている。
 これ、弓教授だったらもうちょっと感情のこもったウェットなシーンになるはずだし、甲児君もそのつもりで涙目になってたんだろうけど、マイペース宇門博士としては最低限必要なことは伝えたからこれでまあいいや、ってつもりでいたんだろうなぁ。

 弓教授と付き合うつもりで宇門博士と付き合ったら、「え、えぇっ……?」と思うことの連続になりそう。

 グレート44話。ビューナスAは破壊、グレートも退却、ロボットジュニアも捕虜になったところから話が始まる。鉄也は重傷。シローとボスは敵の火山島基地に行っている。壊されたグレートの修理は終わったが、鉄也が動けない。

剣造「鉄也君、気力だけではどうにもならん。私が行く」
鉄也「ええっ?所長が?飛行訓練もしていないのに」
剣造「死ぬかもしれん。しかしこの状態を黙ってみているわけにはいかん」
剣造「ここまで追いつめられた以上、失敗してもともとだ。最後の最後まであきらめんぞ」

 白衣を脱ぎ捨てて走る剣造博士。グレートの修理状況を見に行く。

所員D「所長、間もなく修理完了です」
剣造「ただちに発進準備にかかれ」
所員D「しかし、鉄也君があの体では……」
剣造「私が操縦する」
所員D「ええっ!」

 所員もびっくりしているが、視聴者だってびっくりしただろう。

所員「ジュン、応答願います。ジュン!」
ジュン「はい」
所員「大変です。所長はグレートマジンガーを操縦していくつもりなんです」
ジュン「ええっ!」

 ビューナススクランダーで飛び発つ片腕のビューナスA、火山島基地へ。グレートで出撃する剣造。しかし、スクランブルダッシュのタイミングは遅れるは、飛んでもふらふらと安定しないは……。

所員A「所長……大丈夫なのかあんな調子で」
所員B「体だけはサイボーグだからちょっとしたことには耐えられるだろうが」
所員A「バリアを張って移動するんだ。もしも所長に万一のことがあったら、俺たちも突っ込んでいくんだ」
所員B「了解」

剣造「シロー……待っててくれ」

 けなげな所員達にテラモエス。科学要塞研究所はバリアを張ったまま海の上を自由に移動できるから……。
 火山島で苦戦する剣造。ミサイルは壊せても戦闘獣相手ではどうにもならない。シローはロボットジュニアごと火山島のマグマの中。ボスボロットとビューナスAがシローを救助。
 研究所は火山島に向かって移動中。
 どうにかシローを救助することに成功。

剣造「シロー、大丈夫か」
シロー「うん」
剣造「勝手にこんな所へ来てしまって、かえって迷惑がかかるってことを考えないのか。私はお前をそんな風に教育した覚えはない」
シロー「だって、僕も一人前になってみんなの仲間に入れて貰いたいんだよ」
剣造「ばかもの!そんなちっぽけな気持ちでどうするんだ。さみしいとか悲しいとか、そんな自分だけの気持ちで行動するのではなく、もっと大きな目的に向かって進まなくてはいけない。そのためには辛いこともあるだろう。だが、じっと耐えなくてはいけない。私の言うことがわかるか、シロー」

 結構厳しい「父親」がクローズアップされた台詞。この直後、ミサイル攻撃でグレートとロボットジュニアは岩に埋もれて動けなくなる。

鉄也「所長、所長。応答してください」
剣造「う……おお、鉄也君」
鉄也「所長、引き返してください。俺にやらせてください。」
剣造「鉄也君、無念だ……しかし……」
シロー「お父さん、帰ってよ。僕は自分の力で頑張り抜いて見せるよ。お父さん、さっき自分で言ったじゃないか。僕達は目的のためには辛いことも耐え抜かなくちゃだめだって。」
鉄也「所長、早く戻って下さい」
剣造「よし、わかった。頑張るんだぞ、シロー」

 ブレーンコンドルで脱出し、剣造は研究所に戻る。代わって鉄也が出撃する。

剣造「鉄也君、すまない……」
鉄也「所長も、俺と似たもの同士だぜ。いくら何でも無茶だよ」

 戦闘獣が撃破されたので、ヤヌス侯爵は火山島を自爆させてグレートやビューナスA、ボスボロット、ロボットジュニアを道連れにしようとするが、脱出成功。

 指揮してないときは自分で出撃しているところが、弓教授とも宇門博士とも違うところじゃないかなぁ。父親としてみた場合でも、甘やかしてはくれなさそうな一徹者のオヤジだし。
 まあ、兜剣造博士と所員も含め、科学要塞研究所の性格が極めてはっきり出ている回ではないかと。

Z76話:弓、オマエがぶん殴れ

|2009/10/14(水曜日)-01:14| カテゴリー: マジンガーZ
| 3 個のコメント

 Z(東映版)の弓教授、真面目で秀才でジェントリーな指揮官なのだが、あまり非常時には向いていないらしく、時々とんでもない対応をしてくれる。その中でも、見ていてひっくり返りそうになったのが76話。

 この回は、暴走族のジェロニモに奪われたスカーレットモビルを甲児が取り戻しに行って、頭を強打して記憶を一時的に失ってしまう。甲児が死んだと早合点して機械獣が出撃してくる。

弓「電気ショックを与えれば戻るかもしれない。しかし、時間がかかるんだ」

 出たぁ〜定番電気ショックwww
 あっちの博士達はなぜかこれが大好きです。宇門博士もしっかり大介に使ってましたしね。
 しかし、優柔不断なところもある弓教授、この場では電気ショックの使用は見送ります。
 ダイアナンAは出撃するものの、光子力研究所は攻撃を受ける。記憶が戻らない甲児。

弓「よし、直ちにバリアを外して、機械獣を光子力研究所に入れるんだ。」
みさと「そんなことをしたら、光子力研究所は破壊されてしまうわ」
シロー「先生、どうしてそんなことするんですか」
弓「甲児君の記憶が戻らなければどうしようもない。こうなったら記憶を取り戻すために一か八かやってみるんだ。全員、地下に避難してバリヤをはずせーっ!」

 攻撃のショックで格納庫内で倒れ、壁に頭をぶつけたショックで記憶を取り戻す甲児。

シロー「お兄ちゃんはなぜ記憶が戻ったの?」
弓「それはだ、再び頭をうったショックで記憶を取りもどしたのだよ」
みさと「じゃあ、甲児さんの記憶を甦らせるために、わざと機械獣を研究所に?」
弓「あれしか方法が無かったんだ」

 ……もうね、どこからどう突っ込んだらいいかわかりません。
 確かに甲児の記憶が戻らないと大ピンチなのはわかるけど、頭をぶつけさせるために全所員を避難させてバリアを解除して研究所を壊させるって、研究所長としてどうなんだと。しかも、確実に治る保証はなく「一か八か」でやってるし。
 挙げ句に、「あれしか方法が無かった」って……。ぶつけりゃ治るかも、って話なら、どう考えても弓教授が一発殴った方が話が早かったんじゃないの?研究所も無事だし。
 一体この回の弓教授は何を考えているのだか。指揮がヘタレってレベルじゃねーわ。真面目一徹の優等生がパニックに陥るとどうなるかの見本というか、まあそんな感じ?多分、マジンガーシリーズの中で最も珍指揮をやらかした回じゃないかなぁ。

 実は、Zは年代的にはリアルタイムだったのだけど、ほとんど続けて見てなくて、数少ない見た回に含まれていたのが、甲児とさやかが花瓶を投げて弓教授とばっちりの回だったりする。それから、この76話の弓教授のものすごい指揮っぷりの回。当時は仮面ライダーとかウルトラマンシリーズとか、悪の組織と戦う子供向けテレビ番組はいくつもあって、みんな真面目に戦ってたので、Zだけ思いっきり不真面目という印象を持ってしまい、私の中では評価がイマイチだった。だから、ギャグ要素の少ないグレンダイザーに逆に好感が持てて、そっちにはまってしまった。後から、まんがまつりの対暗黒大将軍のLDを見て、Zってこんなにシリアスな話だったんだ、と逆にびっくりした。そのあと、全話通してZもグレートも見て、ああこういう話だったのかと納得。