先月フランスで出たグレンダイザー(GOLDORAK)のバンドデシネ、内容を知りたくて、台詞を全部翻訳しながらとりあえず一通り読み終えた。あらすじはここで紹介したのだけど、やはり1つ1つの台詞や説明があった方が読みやすいので、日本語翻訳シートを作った。フランス語の本の紹介ページのGOLDORAK(Kana)に、pdfファイルへのリンクがある。ページ番号をバンドデシネと合わせてあるので、台詞を確認しながら読み進める参考にしてほしい。

マンガ部分をスキャンしてOCRにかけてみたが、文字部分の認識ができなかったので、結局フランス語を全部手入力してまずGoogle翻訳やDeepL翻訳にかけつつ、訳がおかしいところは辞書で確認した。作業環境は、1章ずつフランス語と日本語を対応させる表を作る作業をScrivenerで、およそのコマ割りとフキダシの位置を作るのをCLIP STUDIO PAINT EXで行った。

フランス語版が作られた時、向こうの語感に合うように、名前の変更が行われた。日本語版では、敵側はボスがベガ大王、居住地はベガ星、エネルギー源はベガトロン、とベガで統一しているが、フランス語版ではそれぞれ、”Grand Stratéguerre”, “Stykadès”, “Lasernium”と、別々の名前になっている上、ベガ大王の別名として”Empereur de Vega”も出てくる。宇門大介・デュークフリードは、”Actarus”と”Prince d’Euphor”で、フリード星はPlanète Euphor”である。日本語版だと星の名前と王子の名前が一致しているが、フランス版では全く別になっている。フランス版で”patrouille des aigles”、訳すとイーグルパトロール、のようなニュアンスのものが出てくるが、これは地球製の3機のスペイザーをまとめて呼ぶときの名前で、日本語版には対応する呼称がない。「ダイザーチーム」というのは出てくるが、デュークをリーダーとし、甲児、ひかる、マリアの4人のチームのことで、人+機体をまとめて呼んでいるので、そのままフランス語の呼称と対応しない(なお、この単語を調べていたら、ガッチャマンIIとFが同じ呼ばれ方をしていることがわかった。無印のガッチャマンがBattle of the Planet”となったのに対応してIIとFがこう呼ばれている)。なお、デュークが戦闘服に変身する時のかけ声は日本版では「デューク・フリード!」だが、フランス版では”MÉTAMORPHOSE”である。その他、人名も技の名前も全てフランス版では別のものになっている。これを、全部日本版の呼称に合わせて訳さないと、日本人にとっては意味がわからないことになる。

ストーリー部分のネタバレすることになるが、こういう情報がないと多くの日本人にはフランス語のバンドデシネを楽しむのは難しいだろう。あまり苦労せず、時々辞書を引くぐらいで一般向けの本が読めるようになるには、4000語程度の単語熟語の暗記と中級文法を知っているというのが最低ラインだが、日本人でフランス語がこのレベルの人は少ない。自動翻訳がかなり助けてくれるが、日本語訳をさせるとGoogleとDeepLで正反対の意味が出てきたりするので、結局最後はロワイヤル仏和辞典と文法書も確認することになった。そんなわけで、私の訳も怪しいところが多々あるが、全く何も無いよりはバンドデシネを楽しめると思うので公開する。絵やストーリーが気になっているけどフランス語なので二の足を踏んでいる人は、翻訳シートを使えばそこそこ楽しめるはずなので、ぜひバンドデシネを買ってほしい。絵の描き込みが素晴らしいので、ぜひ1コマ1コマじっくり見て味わうべきだし、その価値がある。

日本人向けの買い方として、フランスから直接買うなら、Amazon.frを使うのが手っ取り早い。が、ショッピングのメニューが全部フランス語の上、アマゾンがamazon primeに入会させてくるので、本を買った後、フランス語のメニューをたどってamazon.frを退会する必要がある。フランス在住でもなく滅多にamazon.frで買い物しない日本人にとっては、amazon.frでprimeに入って毎月定額を払うメリットは全く無いだろう。英語のみでショッピングを済ませられそうなネットショップとしては、AbeBooksを使うという手もある(私も使ったことがあるけどここの対応はしっかりしていた)。英語なら読める人が多いので、誰かに助けて貰うことも楽にできるだろう。日本のアマゾン経由で買えると楽なのだが、ISBNを入れても出て来ないので、現状、海外のネットショップに登録して直接送ってもらうしかなさそうである。

なお、訳の間違いに気づいたら指摘してほしい。随時改訂していく。本当はダイナミック公式が日本語版を出してくれると一番いいのだけど、日本での売れ行きを考えると難しいかもしれない。フランスほど、グレンダイザーに思い入れのある人は少ないだろうし。