捕まってるし……(初代 97話)

|2010/7/11(日曜日)-12:25| カテゴリー: 初代
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 97話「明日なき宇宙船レオナ3号」。
 南部博士の油断で事件が起きる、という珍しい回です。
 国連軍の宇宙基地から宇宙船レオナ3号が打ち上げられ、某国大統領(国の名前は語られず)やスタッフと一緒に、南部博士が打ち上げを見守っています。
 大統領が、帰りにISOの上を飛ぶので南部博士を一緒のヘリで送る、ということを南部博士に提案しています。さらに、「実は祝杯をあげようと思ってな。悪いが、付き合ってくれたまえ」と言われて、気乗りはしないものの南部博士はそれに従い、大統領のヘリに乗り込みます。ところが、大統領は既に暗殺されていて、基地に来ていた大統領は偽物、南部博士はカッツェに捕まってしまいます。

 囚われの南部博士。サイナン国にある世界最大の原子力センターのタービンをおいた部屋、タービンブレードのシャフトの上に乗せられています。

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 外に助けを呼ぶ。腕時計のりゅうずを出し入れすると、文字盤の脇のパネルが光って信号を送る仕組みです。ギャラクターに妨害されていたのですが、忍者隊をおびき寄せるためにわざとに妨害をやめたので、諸君がやってくることになります。南部博士の腕時計は、「皆殺しのメカ魔球」でも登場していましたが、色も形も違っています。

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 この回は、他にもいくつかチェックポイントがあります。
 南部博士よりも先に諸君は別荘にもどっているのですが、別荘内のモニター画面にアンダーソン長官が出てきます。

アンダーソン「ガッチャマン、南部博士からはまだ連絡は無いか」
健「はい、まだ何も」
アンダーソン「そうか……どうやらとんでもないことに巻き込まれたようだな」
健「と、いいますと?」
アンダーソン「今から3時間前、つまり宇宙ロケット打ち上げの1時間前、大統領官邸が襲われ、何者かに大統領が暗殺されていたことがわかったんだ」

健「長官、するとニセの大統領ということですか」
アンダーソン「そうだ。そのニセの大統領に南部博士が誘拐されたということだ」
甚平「確かなんですか」
アンダーソン「未だに行方がわからないということが何よりの証拠だ」

 まず、別荘の方は基地としての機能を再び備えたようです。三日月基地が壊された直後は、ISOとの連絡手段すら無いと南部博士が嘆いていましたが、長官とのホットラインがある以上、連絡手段は完全復活と考えていいでしょう。
 次に、アンダーソン長官は普段から南部博士の居場所を把握している、あるいは連絡が行く仕組みになっているらしいことがわかります。諸君とアンダーソン長官のどちらが先に以上を察知したのかはわかりませんが、定時連絡が無かったのでアンダーソン長官が諸君に問い合わせたか、あるいは諸君からアンダーソン長官に問い合わせたか、とにかく南部博士と連絡がとれなくなった場合には、諸君と長官で、速やかに情報を共有するしくみが出来ているようです。

 南部博士を探しに行く諸君のゴッドフェニックスに、再びアンダーソン長官から通信。

アンダーソン「あの宇宙船の制御装置を作ったのは、南部博士のグループだ。南部博士なら、何とか事態を進展させる手掛かりを見つけ出すことができるかもしれない。もし、そのまま放っておくと、レオナ3号は地球に戻る軌道をとり、火の玉となって落下する。宇宙ステーションの計算によると、レオナ3号が地球に激突すると推定される場所は、サイナン国にあるシャーク半島あたり、時間にして約1時間後だ。仮に人々を緊急避難させても、二百万人の死傷者が出る。落下地点から周囲4キロにわたって、大きなダメージを受けると推定される。諸君、大至急南部博士を捜し出してくれたまえ」

 普通は、アンダーソン長官の命令ではダメで、南部博士の命令が無いと忍者隊は出動できないのですが「南部博士を探せ」はOKらしいです。当然か。まず探し出さないと命令も聞けないわけで。

 無事に発見された南部博士。「済まない……」の一言しか言えませんでした。

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 レオナ3号がまさにこの場所に落下してくると聞いて、愕然となる南部博士。

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 ちょっと前までは「別の方法で脱出することを考えるんだ」などと言っていたのに、

あぁ……済まない、私の不注意でこんなことに……。もう少し注意していれば……日頃君達に口やかましく言っていたのに

 と、諸君に詫びを入れてます。脱出方法は結局ジョーが思いつく。

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 救出されてゴッドフェニックスで脱出した後のやりとりはこんなものでした。

健「博士、早く宇宙基地へ通報してください。レオナ3号の軌道を変える手立てを。さあ、早くしてください」
南部「無理だ。今となっては何の手立てもない」

南部「駄目だ。おそらく奴等は、ロケットの修正装置を破壊し、軌道を逸れさせたに違いない。二度と元の軌道に戻れないで、逸れたままの軌道を飛び続けるのだ」
健「それじゃあ、このまま手をこまねいてみているんですか」

 そこへアンダーソン長官からの通信が。

アンダーソン「南部博士、無事で良かった。しかし、宇宙船をコントロールする手段が無いとは本当かね」
南部「残念ながら」
アンダーソン「国際科学技術庁としては最後の決断の時が来たようだな」
南部「致し方ありません。こうなった以上、レオナ3号を爆破して、地上の人々を救うしかありません」
アンダーソン「では、頼むぞ」

 ゴッドフェニックス内の会話が普段から南部博士に筒抜けなんじゃないかということをちょっと前に書きましたが、アンダーソン長官にも筒抜けだったってことですかね。あるいは、宇宙基地側で手段無しという結論が既に出ていたので、それを確認したのか。シーンが短いのではっきりしません。

 レオナ3号の破壊が決定したので、竜に高度6000メートルまでゴッドフェニックスを上昇させるように指示し、レオナ3号に連絡をとろうとします。レオナ3号の飛行士達は、状況を悟って無線には応答してきません。

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 超バードミサイルの発射命令を出しますが、健がすぐには撃たなかったので慌てまくる。

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 この手の厳しい判断を迫られた時に頼りになるのはやっぱりジョーで、南部博士を押しのけて発射ボタンの方へ行こうとします。

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 結局、最後の一瞬に覚悟を決めた健が、二人を押しのけてボタンを押します。びっくりしている南部博士とジョー。

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 「ガッチャマン鑑賞の手引き」では、南部博士にあれこれ厳しいことが書かれているので、博士ファンとしては一応弁護しておきます。

 まず、レオナ3号の打ち上げは、某国の主導でISOが全面協力してやったというもののようです。成功したら大統領が祝杯、ということになっていますので。
 大統領が南部博士を送ろうと言った内容からは、普通にヘリで飛ぶと宇宙基地→ISO→某国と移動することがわかります。ところが、その直後の祝杯云々に付き合うことになると、宇宙基地→ISO→某国→ISO、と飛ぶことになります。つまり、最初とは話が違っているわけで、このあたりで普段の南部博士なら怪しむはずが、不注意でヘリに乗ってしまったので誘拐されてしまいました。この点は南部博士失敗でしょう。
 南部博士が、大統領の指示に従ったのは、ISOと某国の関係を維持しようといった、大人の事情からでしょう。ISOにはいろいろとスポンサーが居たりするようなので、そりゃ付き合いも必要だろうと。
 ロケットの制御装置を作ったのが南部博士のグループでも、全体を知っているのが南部博士ただ一人というのは想定しがたいです。トラブルが起きたときの対応マニュアルもそれなりのものがあるはずですし、想定外のことが起きたとしても、グループのメンバーを集めて協議すれば、アイデアは出尽くすはずです。まあ、南部博士が居ると、奇抜なアイデアを出してくれるという可能性はあって、みんなが頼りにしているということはあるかもしれませんけど、南部博士一人に宇宙船の制御の回復がかかってくるということは無いはずです。
 レオナ3号は軌道修正装置を破壊された上に、特殊誘導電波で操られています。この工作がなされたのは宇宙船の打ち上げ前の製造段階ということになります。設計して製造までやったのが南部博士のチームですから、チーム内にギャラクターの工作員が居たか、それとも、宇宙船の組み立てをやった技術者の中にギャラクターの工作員が居たか、どちらかでしょう。チーム内であればメンバーのチェックが甘かったということで南部博士にも責任の一端があるかもしれませんが、組み立ての技術者の編成や管理は南部博士の責任ではないでしょう。
 先にレオナ3号に破壊工作がなされていたので、南部博士が誘拐されなかったとしても、地上側から宇宙船のの制御をすることは難しかったと思われます。時間があれば、特殊電波を発信している発信源を見付け出して叩き、ギャラクター側の設備を使って軌道修正するという手がとれたところ、誘拐されたためにその作戦を指示する時間的余裕が全く無くなったということはあるかもしれません。
 最後のレオナ3号の爆破の決定ですが、やりとりを見た限り、アンダーソン長官の決定になってます。やりとりの中では長官は明言していませんが、南部博士が渋った場合は、アンダーソン長官が決定を伝えることになったと思われます。
 健はミサイルを撃つことをためらっています。気持ちはわかるのですが、大気との摩擦で火の玉となって地面に激突すれば、中の飛行士達はどの道助かりません。ミサイルで破壊したとして、死ぬのが数分早いか遅いかだけの話です。一方、地面に激突すれば地上の死亡者推定200万人ということなので、この場合はアンダーソン長官や南部博士の指示の方が正しいでしょう。
 なお、ゴッドフェニックスと超バードミサイルの性能が凄いということもわかった回です。大気圏を脱出して飛ぶ宇宙船が再び大気圏突入して落ちてくる速度って、ほとんど軌道を回る速度に近いです。作業としては弾道ミサイルをミサイルで迎撃するのと変わりません。6000メートルを飛びながら、音速の数倍の速度で落ちてくる宇宙船に確実にミサイルを命中させるって、かなり難しいはずです。弾道ミサイルに対する迎撃ミサイルの開発って、今でも、大気圏外まで飛ばして迎撃するものと、大気圏再突入時に迎撃するものしかなく、大気圏突入後に迎撃するものは無いようです。まあ、あんまり低高度で爆発させても、地上に被害が出てしまうので迎撃の意味がないというのもありますが……。それを考えると、大気圏突入後のレオナ3号の破壊をやってのけた技術というのは凄まじいと思うんですよ。南部博士、一体どこに力を入れてゴッドフェニックスと超バードミサイルを開発したんだか……。単にミサイルの破壊力を上げただけじゃなかったのね。



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