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8.地球の緑はあたたかい

ストーリー紹介

 宇宙空間。マザーバーンが動き回って,薄い緑色のガス状のレーダー遮断幕をはっている。宇宙科学研究所では,宇門所長が,高度3万メートル位に妙な雲が出てきたことに気付いていた。電波の状態も良くない。甲児は調査のため,TFOを置いてある白樺牧場へ向かった。

 大介は,ひかると一緒に馬の世話をしていた。そこへ甲児がやって来たので,大介はTFOのところへいく。戦闘服に着替えてTFOに乗り込もうとしていた甲児を,大介は引きずり下ろした。甲児は調査したいことがあると言って出て行こうとする。大介は,TFOでは大気圏外には出られないといって再度引き止めた。しかし,甲児は静止を振り切って飛び出した。そこに,宇門所長が特殊バスに乗って研究所からやってきた。宇門所長は,起きている現象は自然現象かもしれないと言い,大介に,甲児を呼び戻すように言う。大介は,特殊バスの通信設備を使って甲児に引き返すように呼びかけるが,甲児は言うことをきかず,さらにTFOを上昇させた。

 ブラッキーはTFOを見つけたが,レーダー遮断幕につかまるはずだと言って放置する。TFOはレーダー遮断幕につかまり,コントロール不能になって墜落してしまった。団兵衛は馬で,大介はデュークバギーで,甲児の墜落地点めがけて走った。甲児は戦闘服があちこち敗れる怪我をしていた。大介の呼びかけに答えて,「俺は見たぜ,いつもと違うやつが……」と言ったきり,気を失ってしまった。

 団兵衛は甲児を白樺牧場に運んで,傷の手当てをした。もっとも,その手当ては,傷口にウイスキーをかけるという乱暴なものではあったが……。外では大介が宇門に,「甲児君の話ではどうもいつもと違うUFOがきているらしい」と話をしていた。レーダーも効かないので,宇門所長は大介に「行ってくれるか」と言い,大介はバギーで研究所に向かった。

 デュークが出撃した頃,甲児は気がついた。宇門は甲児と話がしたいといって,牧葉一家を人払いする。大介が,大気圏外で発生したガスを調べに出ていったことをきいた甲児は,ガスだけではなく機雷がばらまかれていることを宇門に伝えた。宇門は,大介がガスを調べる程度のつもりで出ていったので心配している。甲児は,大介に状況を知らせるため,再びTFOでグレンダイザーを追うのだった。

  グレンダイザーはガスの中に突っ込んでいく。計器が狂ってしまうが,その程度ではグレンダイザーを止めることはできない。ブラッキーはグレンダイザーを発見し,ガンダルに報告,ばらまいておいた宇宙機雷をグレンダイザーに吸い付かせて地球表面で爆破する作戦だと言う。ブラッキーはミニフォーを出撃させて,宇宙機雷の場所にグレンダイザーを誘い込んだ。宇宙機雷は,戦っているグレンダイザーに近づいていく。グレンダイザーはハンドビームで破壊しようとするが,機雷の数が多すぎて破壊しきれず,たくさんの機雷に吸い付かれてしまった。

 機雷の重さに引きずられてグレンダイザーは落下を始めた。デュークは,ダイザーを分離させようとするが,機雷が磁力波を発したために分離ができない。甲児は,何とかデュークを助けようとするが,デュークは,巻き添えになるから離れろと叫んで落下を続けていく。ブラッキーは,TFOがうろついていることを知り,円盤獣ダルダルを出撃させ,グレンダイザーを処刑するため機雷を爆発させた。爆発の衝撃でグレンダイザーは振り回され,デュークは気を失ってしまい,甲児の呼びかけにも答えない。甲児はTFOでグレンダイザーに体当たりして揺さぶった。地表近くでデュークは気を取り戻し,グレンダイザーを上昇させ,墜落を免れた。

 TFOは円盤獣のビーム攻撃に追い回されている。ミサイルで反撃したが,円盤獣のビームが命中し,タコの足のような円盤獣の触手に捕まりそうになった。そこに,スペイザーから分離したダイザーが割って入った。ダイザーは触手に捕まってしまうが,ショルダーブーメランで触手を切断した。円盤獣はさらに残りの触手でダイザーを捕獲する。しかし,反重力ストームが命中し,触手を引きちぎって円盤本体が吹き上げられ,爆発した。その爆発の影響で,レーダー遮断幕も消失した。

架空座談会

宇門「大介……甲児君を心配するのはわかるがね。引き止めるにも,もうちょっと優しい方法をとれないのかね?」
大介「僕は,引っ張って止めただけですよ。今回,先に殴ったのは甲児君です」
宇門「その後,しっかり殴り返していたね」
大介「でも,結局僕を蹴飛ばして,出てっちゃいましたよ,甲児君は」
宇門「でね,『甲児君,あんまり無茶をしないでくれよ』って言ってるけどね,甲児君に乱暴してるのはお前じゃないかね……」
大介「はあ……」
甲児「それに大介さん,地球で使ってる単位系にもうちょっと馴染んでくれよ。TFOでは宇宙空間に行けないって言ってたけど,高度3万メートルっていやぁ,まだ成層圏だぜ。スクラムジェットで到達出来る高度だ。TFOなら楽勝だ」
大介「高度のことは正確にきいてなかったし,てっきり宇宙かと……」
宇門「まあ,早合点はいかんね」
大介「でも,結局TFOでレーダー遮断幕は突破できなかったし,遮断幕の影響で操縦不能になりましたよね」
宇門「その後,いつもと違うUFOが来てるらしいってことで,レーダーも効かなくなっていたから,儂は『それでは行ってくれるか』って言ったのだがね。その直後のお前の目の”キラリ”は何だね?」
甲児「俺をさんざん引き止めておいて,そんなに自分が行きたかったのかよ,大介さん?」
大介「いや,だって宇宙空間はグレンダイザーの十八番だし……」
宇門「それに,またお前はバイクごと崖から飛び出して,バイクを放り出して変身したね」
大介「……あ(汗)」
宇門「第1話でそれをやって,バイクが大破したはずだが?私がバギーバイクを作ってやったのだが,また同じことをやらかしたね」
大介「でもバイクは何ともなかったですよ……丈夫なバイクだなあ,さすが父さん……ハハハ」
宇門「こんなこともあろうかと,グレンダイザーの重力制御技術をこっそりバギーにも搭載しておいたのだよ。急な落下でも本体が衝撃を受けて壊れないないようにね」
大介「いつの間に……」
甲児「さすが所長,大介さんの行動パターンを良く見てるよなあ」
大介「……」
宇門「まあ,バイクを毎回回収するのも何だし,発進方法を考えたほうが良さそうだね。湖からの出入口はそろそろ塞ぐか……。すぐには無理だが,大介,急いでいてもできるだけバギーを回収しやすい角度で飛び出しておくれ」
甲児「湖の底とか,木の上に引っ掛かってるのを回収するのは大変だからよ」

SF的考証:フィールド推進システムの弱点

 グレンダイザーが搭載しているフィールド推進システムには,近くに別のフィールド推進システムが動いているとうまく動かない,という弱点があるようだ。第2話とこの第8話からそのことがわかる。

 第2話では,マンリキ作戦という,単に円盤獣がグレンダイザーにしがみついて地上に落とすという作戦で,グレンダイザーは墜落寸前になっている。第8話では,宇宙機雷が至る所吸い付いてしまって,やはりグレンダイザーは落下している。一番単純な解釈としては,これらが重くてグレンダイザーの推力では抗しきれなかったということになるだろう。しかし,単独での飛行能力のない分離した状態でさえ,ばかでかい超ウランタンクを持ってスクランブルターン&スペイザークロスをこなす程度の推進力を持っているのだ(40話)。スペイザーと合体した状態(重量450t)で,自力で大気圏脱出できる推力を持つ状態ならば,円盤獣(多分ダイザーと同程度の重量)にしがみつかれたとして,それが重さの影響だけなら,多少飛ぶのが遅くなったとしても,墜落するとは考えにくい。フィールド推進システムには組み合わせの方向があって,向きとか表裏逆といった組み合わせのときは,お互いその効果を打ち消し合うと考えれば,円盤獣にしがみつかれて墜落するということを説明できる。

 宇宙機雷の場合も同じように考えることができる。宇宙機雷は最初,レーダー遮断幕の中にとどまり,落下していなかった。宇宙機雷もフィールド推進システムを搭載していたはずだ。高度3万mでは,まだ地球の重力の影響があるから,フィールド推進システム無しでは地上に落下してしまうだろう。さて,グレンダイザーはたくさんの宇宙機雷に吸い付かれて落下し始めた。これは,機雷の重量に加えて,フィールド推進システムがいろんな方向から一度に干渉し合って,ダイザーが持っている推進システムを相当乱してしまったからだ。このとき,デュークは「フィールドパワーゼロ,エネルギーレッドゾーン,しまった!」と叫んでいた。しかし,機雷爆発後,気がついたデュークは普通に再上昇して円盤獣と戦闘していることを見ても,単純なエネルギー切れではない。フィールド推進システム同士の干渉によって,推進状態を示す計器の表示も満足に出来なくなっていたということだろう。