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4.若き血潮は紅に燃ゆ

ストーリー紹介

 団兵衛は相変わらずUFOと交信しようとしていて,周りはあきれ返っている。甲児は,武器を装備したり特製の爆弾を作ったりしたこともあり,TFOで出て追い払おうとうするが,大介は冷静に「UFOはもう行っちゃったぜ」と指摘する。

 ひかる,吾郎,番太はバスで学校に通っている。この日の朝,番太だけバスに乗り遅れて遅刻する。白樺牧場の馬を借りて追いつこうとするが,団兵衛に馬泥棒扱いされてさんざんであった。

 ブラッキーはグレンダイザーの基地を捜しあぐねていた。レディガンダルは無差別攻撃をすればデュークフリードが出て来るだろうと指示し,ブラッキーは地球時間の昼頃に出撃した。ミニフォーと円盤獣ゴルゴルが街を破壊し始めた。大介は,敵の狙いが自分だから出撃するというが,宇門は,大介が出れば敵がさらに援軍を出すだろうと止めた。そこで,甲児が出撃して敵を誘い出すことになった。大介は,こっそりと甲児の戦闘服に発信機を忍び込ませる。甲児はうまく円盤獣を挑発して街から引き離し,海に誘い出すことに成功した。しかし,海上で円盤獣のネットにつかまり,ミニフォーに攻撃されて,無人島に墜落してしまう。

 TFOは破損し,研究所と通信ができなくなった。甲児も負傷してしまって,迅速な修理もできない。デュークは,事前に甲児に持たせた発信機の信号を頼りに,救出に向かう。甲児を発見したデュークは,食料を調達し,甲児を休ませてやる。時刻は夕方で,星が見え始めていた。

 様子を窺っていたブラッキーは,ベガ星コマンダーでデュークと甲児に奇襲をかける。デュークは甲児を岩陰に避難させると,コマンダーとロボット犬を倒してグレンダイザーに搭乗する。しかし,円盤獣ゴルゴルに攻撃される。甲児は,グレンダイザーの上に乗り,特製爆弾で円盤獣を脅し,口の1つを吹き飛ばす。デュークはグレンダイザーで引き続き攻撃するが,円盤本体を離れた首に苦しめられる。しかし,甲児の援護で,円盤獣の隙をついてこれを撃破する。二人が握手をかわす頃にはすっかり日が暮れていた。

※TFOが出撃のとき,団兵衛に排気ガスを浴びせるシーンがある

架空座談会

宇門「さて,今回は何かと同人誌のネタにされるシーンが続出する訳だがね。まず,南の島で甲児君と一夜を過ごした,って疑惑についてだが,どうだね大介?」
大介「疑惑って……(汗)。僕がけが人に何かするわけないじゃないですか・・・じゃなくって,この話は丸一日経ってませんよ。昼頃に円盤獣が街に攻めてきて,甲児君が誘い出したあと攻撃されて遭難,僕が南の島で甲児君を発見した時はまだ日が高かった。魚を焼いてる時が夕方で,話をしてたらベガ星連合軍が攻めてきたけど,まだ夕陽が出ている時間ですよ。さすがに帰る頃には夜になってましたけど」
fig1.jpg 宇門「一応そういうことにしておこうか……」
大介「何だかはっきりしませんね,父さん」
宇門「そりゃそうと, 『不思議な人だあんたって人は。だって宇宙人のくせに魚や貝の食べ方まで知ってる』って甲児君が言ってるけどね,食べ方を知ってる以前に魚をとるのが上手過ぎないかね,大介?」
大介「別に,フリード星人の身体能力をもってすればわけないですよ。それにフリード星にだって魚も貝も居ましたしね」
宇門「それにしても手づかみはないだろう?」
甲児「先生,大介さんの水泳能力は魚並みってわけですね。大したもんだ。ねえ大介さん」
大介「そんなに見つめても,僕にはエラもヒレも無いぞっ!」
宇門「大介,この戦闘服のベルトはよく伸びるねぇ。ベルトにこんなにはさんで。結構体にフィットした服に見えてたんだがね。魚は全部で4匹だろう?」
大介「それは何とか……思いきりこう引っ張ってですね……」
宇門「伸びっぱなしになると間抜けだからそれ以上引っ張るのはやめなさい。それで,この直後のシーンでは,魚が一匹もベルトの所に居ないんだがね,一瞬にして四匹まとめて逃げられたのかね?」
大介「あれはカメラが切り替わっただけでして,実は魚は先に置いてきたんです」
宇門「ところで大介,その戦闘服,生臭くないかね?」
大介「ええっ!……あまり感じませんけど」
宇門「臭いにすぐ慣れてしまうところは,フリード星人も地球人も同じようだね。後できちんと洗っておきなさい。洗剤でね」
大介「……」
宇門「今回,大介の意外な才能がわかったところでだ,研究所の裏の湖だがね,今晩のおかずに適当なのがいないか,見てきてくれないかね」
大介「帰ってきたばっかりなのにまた潜るんですか」
甲児「2食続けて魚でも俺はかまわないぜ」
宇門「わしはお前を牧童にしたがね,お前さえ望むなら漁師になったっていいんだよ。っていうかいっそ転職しないか?牧場も多角経営する時代だと思うしね」
大介「ぼっ……僕は漁師になりたいなんて思ってません」
宇門「残念だねえ,お前の体力なら,マグロだって素手で捕まえられそうなのにねぇ。適性からいってぴったりのはずだが」
大介「さすがに,研究所の裏にはマグロはいませんよ」
甲児「いいことを思いついたぜ。大介さんに頼めば,ワカサギ釣りの手間がはぶけそうだ!」
大介「甲児君,僕に氷の下に潜れって言うのかい」
宇門「潜るのなら北海道の流氷の下あたりがいいね。クリオネにも会えるだろうし」
甲児「大介さん,それはともかく,まずは腰のところのウロコを全部落とした方がいいぜ」

SF的考証:宇宙科学研究所のミッション遂行能力

 宇宙科学研究所は,宇宙の観測が本来の業務で,観測室の望遠鏡が宇門所長自慢の設備である。が,対ベガ星連合軍との戦いでは,終始グレンダイザーの運用を行っていた。これは,単なる観測だけの研究所ではなく,ロケット打ち上げを単独でこなす能力を既に備えていたから可能だったのだ。第26話では,宇宙ステーションの部品を組み込んだロケットを軌道上に投入している。第51話では,ベガトロン放射能に汚染された小惑星が地球に接近してくるのを,ミサイルで破壊するという作戦を実行している。こういったことは,管制能力を備えていないとできるものではない,グレンダイザーの運用は,ロケット打ち上げ用の管制機能を転用して行われていたと思われる。おそらく,これまでにも観測用衛生を何度か打ち上げて,成功させているのだろう。

 さらに,NASAのワトソン研究所は別としても,宇門所長が提唱する「宇宙人実在説」は異端とされていた。しかし,研究所長をこなし,研究者仲間でもそれなりに実力が評価されている。単なる観測に留まらず,積極的に衛生を打ち上げてより精密な観測結果を出し続けていたから,説が異端でも無視できない存在となっていたのだろう。打ち上げが,非常に少ない人数で行われていることからも,技術力の高さがうかがえる。

 なお,変わったところでは,「重量物を垂直方向に移動させる技術」は突出していたようだ。普通は,ロケットは地上の巨大格納庫で組み立てて,クロウラー(重量物移送車)で発射台に移動させて打ち上げる。しかし,宇宙科学研究所では,ベガ星連合軍に邪魔されないようにという配慮もあって,ロケットを地下で組み立てて発射台ごと垂直方向に地上に移動させて打ち上げている。まあ,研究所がダムの上で周りが山岳地帯では,だだっ広い土地などそもそも期待できないというのもあるだろうが……。この高機能な重量物用エレベータを作る技術は,グレンダイザーを秘密ルートから発進させるために,さらに地下深く移動させるのにも使われることになった。