仕事中(初代 90話)

|2010/6/29(火曜日)-23:52| カテゴリー: 初代
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 90話はちょっと趣が変わっていて、カッツェではなく、総裁Xの直々の命令でやってきたドクターフィンガーが忍者隊に挑戦してきます。ミクロン島の中央にある死火山の上に鉄獣マタンガー。忍者隊が命を差し出さなければ12時間に1つずつ麓の街を攻撃すると脅迫してきます。

 電話で街が攻撃されたという報告を受ける南部博士。

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 装甲がやたら頑丈なため、通風口の隙間を狙って攻撃することになり、健は、「シューティングショット」という特殊な弾丸を南部博士に作ってもらいます。
 さほど時間も経ってないのに、

健、できたぞ!

と部屋に入って来る南部博士、仕事早っ!

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 でもまあ、この手のやっつけ仕事には案の定オチがあって

だがたった1個だ。

 南部博士の手作りなので大量生産できないのか、特殊な弾丸なので材料が足りなかったのか……。

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 結局現場でジョーが緊張する羽目になるという……。

 精密射撃を要求するわけだから、弾丸の方の工作精度も相当によくないといけないわけで、1発だけで何とかなるだろうと思っているというのは、ひょっとして南部博士にとって自信作だったのかも。
 外してたら、南部博士とジョーで責任のなすり合いになりそうですね。
南部「ジョーの腕が足りないからだ」
ジョー「博士の仕上げが荒いから弾道が安定しなかったんだぜ」
とか。

仕事中(初代 89話)

|2010/6/24(木曜日)-00:55| カテゴリー: 初代
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 初代89話「三日月基地に罠を張れ」。
 正確にいうと、本物の三日月基地に罠をしかけたのではなくて、甚平がニセの三日月基地を作ってギャラクターをおびき出そうとするアイデアを出し、それに南部博士も乗ったという話です。
 ただ、博士が乗ると、実行前に一仕事してくれます。
 諸君が来ても、振り向きもしないで作業に熱中。

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 今回は、特殊な塗料を作って、やってきたギャラクターのメカにくっつけた後、レーダーで追跡しようという作戦です。出来た塗料の様子を見るための準備中。機械を操作しながら背後の水槽に目をやる怜悧な表情が実にいい、見返り南部博士です。

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 完成した塗料で金属を染めるテスト中。

一見何でもないこの液は、特殊イオンを着色したものだ。金属が一度この赤い液に染まったら、絶対に、とれない。

 金属棒でかき混ぜながら、何だか楽しそうな博士です。勢いよく金属棒を突っ込んで、液を跳ね上げたりしていました。やっぱり南部博士は、こういう怪しい溶液とかで遊んでいるのが似合っています。作戦しなくていいなら、もっといろんなものを持って来て嬉々として染めてそうです。

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そしてこのイオンは、私が作った特殊レーダーにのみ反応する。どこに隠れようと、赤い液に染まった金属体は、このレーダーから逃れようがないのだ。

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 レーダーを見つめる横顔を見た限り、南部博士のそれなりの自信作らしいですね。

ゴマカシと丸投げがお見事(初代 88話)

|2010/6/21(月曜日)-23:51| カテゴリー: 初代
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 銃を乱射して服役中の男の資料を見せる南部博士。

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 このあとの指令が滅茶苦茶。

あの男から訊きだしてほしいことがある。

あの男は一生無言を守るだろう。生まれながら、口がきけないからだ。

 当然、冷静な突っ込みが。今回はジュン。

ええっ、口もきけない人からどうやって聞き出すのですか。

 まあ当然の疑問だわな。
 ところが、

君達は科学忍者隊だろう、方法は任せる。

 南部博士にもどうやって聞き出すかという妙案は無かったらしく、見事な丸投げっぷり。いくら科学忍者隊でも、口のきけない人を治療するのは無理ですが……。筆談でもしてこいということなんですかね。
 難色を示している諸君を前に、

手がかりはある。あの男は、牢の中に入りたくてわざと罪を犯したのだ。

 手掛かりがあったって男が口きけるようにはならなないでしょうが。全く問題の解決になってないのに、諸君を説得する自信があるのか、もったいつけて机の方に歩いて行く南部博士。触角頭が跳ねてるところをみると、煙に巻く気充分ってところですかねぇ。

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 ベルクカッツェと書かれたギャラクターの女隊長の写真やら、その女性の女学生時代の焼け焦げた記録ファイルやらを次々と出してきて、諸君を驚かせます。

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 諸君が驚いているのをいいことに、

さて、はっきりしているのは、牢の中にいる男はこの記録と写真を持っていたがためにギャラクターに狙われた。カッツェの正体が女なのか、それとも別に秘密があるのか、どちらにせよ、ギャラクターが追い回しているところからみて、余程重要なものだろう。私があの男から聞き出せと行ったのは、そこだ。

 しれっとした顔↓で諸君に命令。

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 目の前の証拠に驚愕している諸君は、「口のきけない人からどうやって聞き出すか」という問題が棚上げになっていることも忘れてそのまま任務に出かけてしまいます。
 さすが年の功というべきか経験の差というべきか、自分に妙案がない時に相手に仕事を押しつけるごまかしっぷりがお見事でした。ジョーの「机に座って指図してるのと実戦とは違いますよ」って文句はむしろこの回で言うべきだったのかもしれません。

 とりあえず、南部博士が周囲をビックリさせるような証拠とか資料とかを出して仕事を頼んできた時は、何か肝心なことを忘れてないか、落ち着いて考えた方が良さそうです。この手を使われて、後ではっと気付いた時にはものすごく大変な仕事を振られていた人達って、南部博士の周辺に何人も居そうな気がします。南部博士の人使いの荒さが垣間見れた回でした。

 初代98話。最終回に向けてジョーの体調不良が語られ始める回です。
 合体に遅れた後、ブリーフィングにも遅れて来たジョーと南部博士のやりとり。

南部「いや、理由の如何に関わらず任務を怠ることは許せない。一人の油断が全員の死につながるからだ」
ジョー「俺が居てもいなくても、危ねぇときは危ねぇのさ」
南部「何ぃ?」

 南部博士、思いっきり不機嫌に。

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 そんなことにはおかまいなしのジョーの言葉。

反対に勝てる時は俺一人でも勝てる。机に座って指図してるのと実戦とは違いますよ。

 うわー、ジョー言っちゃったよジョー……。
 南部博士の指図は役立たないと……。案の定、

そうか、私の指図は要らないようだな。それならジョー、今度の任務は君一人にやってもらおうか。

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 博士、席を立って部屋を出てってしまいます。
 もっとも、博士の方は、ジョーに、メッケルを更生させることをきっかけにして成長してほしいと願っていました。ジョーひとりに対処させるように言ってはいますが、ジョーを見捨てたわけではなくて、実際にはジョーのことを心配しています。

 でもそれだけで済むはずがありません。諸君を送り出した後、あからさまに態度には出さなかったけれども、それは精神力で抑えていただけで、いつだって実際にはかなり気をもんだり心配したりしていたはずです。なのに、指揮官と現場との距離を指摘されてしまった。諸君とは違って、この手のプライドを傷つける発言、南部博士は延々覚えているはずです(たぶん)。ジョーを心配しているということと、さしあたり埋めようがない部分を思い切り突っ込まれたというのは、また別の話です。南部博士、傷ついたよきっと……。それでも、大人の指揮官だけあって、いじけたり拗ねたりはしなかったけど。

 本当にもうまったく、博士に何てこと言っちゃったんだよ、ジョー。

 そんなこと言うから……そんなこと言うから……。

 後でこんなこと↓に(爆)(F37話)。

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 通路をやってくるギャラクター兵士を倒しまくりです。

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 弾切れしちゃったタイミングで、下からは白兵戦専門のレスラーコマンドが。それでもひるまず、さんざん撃ちまくって熱くなった銃身をレスラーコマンドに叩きつけます。

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 握ってひるんだ隙に体当たりして階段の下へ突き落とします。身長3メートル以上、捕まったら最後3秒で首の骨へし折られそうな怪力自慢の相手と正面から格闘戦ですよ……。体格差も体重差も物ともしないで突撃してます。しかもこの体当たり、かなり敏捷です。

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 後ろから狙われながら階段を一気に駆け上がる。

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 ジュンからもらった手榴弾のピンを口で引きぬいて、階下の兵士を吹き飛ばします。

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 南部博士(現ISO長官)、実戦しまくりというかむしろ大暴れですよ……。

 ジョー、昔に言ったことはとっくに忘れてるんじゃないかと思いますけど……。
 机に座って指図だけしてるなどと南部博士をバカにしてたらとんでもないことになります。最前線に出てきても立派に戦力ですよ南部博士は。このあと弾切れで屋上に逃れたけど、十分な武器弾薬を持たせたらどれだけ相手に損害を与えていたことか。
 とりあえず、前言撤回した方が良いかと思います>ジョー。

仕事中(初代 86話)

|2010/6/18(金曜日)-00:11| カテゴリー: 初代
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 人工甘味料のシュガーレがギャラクターに買い占められてしまったのを止めさせるというのが今回の作戦です。

 まずは、最初の方で出てきた南部博士のアップ。

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 「雪魔王ブリザーダー」の回で使われたのと同じ絵です。ただ、ブリザーダーの回はフィルムが全体に青暗かったのですが、今回は割と明るい色合いです。

 さて、登山者が偶然、融けると甘くなる氷を見つけたことがきっかけで、ギャラクターのジャンボ輸送機が墜落した残骸が見つかります。
 南部博士、残骸を調査中です。

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 その後、墜落地点から、ギャラクターの輸送機が飛び立った地点を4箇所割り出します。

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 初代も最初から見直して、後半まで見てきた限り、南部博士って働き者です。
 マジンガー系特にグレンダイザーが大好きで、やっぱり博士キャラのファンなんですけど、ロボット物の指揮官役の博士って、毎回戦闘中に通信機越しに出てきてあれこれ言ってて、たまにメカのパワーアップや新兵器開発をやってくれるという感じです。なんで科学者が戦闘指揮を執ってるんだというイメージの方が強いです。
 ところが、南部博士は、作戦立案の段階で調査したり実験したりモノ作ったりと、とにかくよく働いてます。その作戦立案も、自分だけで完結してるのではなくて、ISOの会議場に呼び出されて説明したりして、本来の業務の一貫でやっているという描写がかなり多いです。そのかわり、戦闘の真っ最中に通信機越しに出てくることは殆どありません。科学者っぽい描写が多くて、しかも毎回仕事の内容が違うので、見ていて飽きません。

紙テープ(初代 85話)

|2010/6/17(木曜日)-03:25| カテゴリー: 初代
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 85話の1シーンより。
 別にこの回に限ったわけじゃないのですが、せっせと紙テープを読む南部博士を紹介してみます。わざわざこの回をとりあげているのは、この回では南部博士はせっせと紙テープを読んでるだけで台詞が無いからなんですよ(笑)。つまり他に紹介するシーンが無いのでした。

 なんだか眠たそうに読んでる南部博士。

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 絵では穴の数が省略されてますが、穴の有無で二進数を表しているだけなので、文字コード表を覚えていれば読めるわけですよ。点字みたいなモンですし。元がテレタイプ用の記録媒体だから、印字させずにそのまま読むのも有りでしょう。
 今回は、情報を知らせてきただけで、コンピューターの出力というわけではなさそうですね。テレタイプをつないで一般人が読めるように印字するのが面倒だから、直接紙テープを読んでるということなんでしょうか。何だか、いかにも南部博士らしいです。「面倒だからコード表覚えちゃえ」みたいな。普通とは違う方向にマニアックというか。

 ユートランドにギャラクターのGCIAの工作員が潜入するという情報を見つけて、眠気も吹っ飛んだ様子。

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 ヤバイ情報のはずなんですが、なんとなく楽しそうな南部博士です。もう興味津々。

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 テープ握ったまま瞬きしている途中なんですが、目を瞑っている姿がなんともかわいらしいです>南部博士。
 何だかそのまま紙テープに頬ずりしそうです(爆)。「紙テープ好きですか」ってつい訊きたく……いや、やめときます。

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 コンピューターだと、70年代のPDP-11は紙テープを使っていたみたいですね。
 私の世代だと、さすがに紙テープの使用経験はありません。パンチカードを経験した人は同世代に結構居ますが、すでにパソコンも出回り始めていました。
 80年代初めの、「ウォーゲーム」や「TRON」になると、ネットワークを扱っていたり、出力がグラフィックスになってたりして、紙テープもパンチカードも影も形もありません。この10年間で入出力や記録媒体が大きく変わったんだなぁ、と。
 今だと、のんびり紙テープを読んでるんじゃとても間に合わなくて、ISOとギャラクターのハッカー部隊がお互いの通信の出所やら通信内容やらを解読しようとしてクラッキング合戦を展開したり、相手の通信網を落とそうとDOS攻撃をかけまくったり、コンピューターウィルスを送り合ったりという、イヤなバトルになりそうですね。水面下で山ほどやりあってた後で、リアルでもバトルに突入する。
 南部博士の仕事も、ISOに不正侵入したやつが居ないかと、毎日膨大なログをチェックするのが日課になりそうです。目で追える分量じゃないので、怪しい情報を拾い出すプログラムを書く技術の勝負になってみたりしそう。マントル計画のデータなんて、ギャラクターだけじゃなくて世界中から野次馬が覗きにこようとしたり、人数としては野次馬の方がギャラクターよりも多かったりで、何だかワケが分からなくなりそうです。

 南部響子さんのところで話題を振られていたのですが、やっと84話に到達しました。

 指摘の通り、三日月基地の出入りのための水陸両用車(?)の存在と機能が明らかになった回です。
 後部の4基の噴射と、底面にも噴射するエンジンがついています。

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 上陸(?)して外側を外すと普通の自動車が出てきます。

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 発進の時に開いたままの後部トランクが気になります。普通は閉めてから発進でしょう。そうでないと海水が入り放題になります。ISOの製品(?)でしょうから、操縦者が忘れていても、自動で閉まる仕組みになっていたのかもしれません。今回は、開けっ放しで動き出したから、諸君達が飛び込めたわけですが、南部博士、何だか間抜けです。よほど、デーモン博士からの連絡が気がかりだったのでしょうか。

 それはともかく、実体を見せずに忍び寄るはずの諸君が今回はなんだかえらいことになっています(笑)。

 トランクに隠れたジュンと甚平はまあいいとして。

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 屋根に竜。

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 後ろに取り付いた健とジョー。

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 はっきり言って、これは目立ちます。3人がうまい具合に、バックミラーの死角に入っていて南部博士からは見えなかったとしても、対向車からは丸見えでしょう。すれ違う対向車の運転手や助手席の人がことごとく驚愕した表情で、南部博士の車を指さしたりしそうです。こうなるとさすがに南部博士も気付きそうですが……。
 三日月基地の場所を悟られないために、かなり遠回りして人里離れたところに上陸し、時間を掛けて飛行場に向かったんでしょうかね。それなら、上陸直後はすれ違う車などなく、飛行場近くではもう暗くてそんなに目立たなかったということもありそうです。南部博士が海岸にたどり着いた時はまだ夕方の様子でしたが、飛行場での指定時刻は夜の10時で、すっかり暗くなっていました。

 さて、諸君5人ですから、全員の体重合計は200kgを超えているはずです。ただ、等速で走っている限り、重量変化を体感することはできません(単位時間あたりの燃料の消費が普段より多い、といったことで気づくかもしれませんが)。運転者の体感として重量変化がわかるとしたら、速度を変化させようとした時の応答でしょう。基地内で浮いている時に誰かが飛び乗れば、その衝撃を感じたり、重量分沈んだりしてわかりそうです。しかし、南部博士は全く気づいていません。ISO謹製の小型潜航艇兼自動車は、本体にかなりの重量変化があっても、アクセルを踏んだりハンドルを回したりした時の加速が全く変わらないように出力調整が可能な代物だったのかもしれません。無駄に高性能な気もしますが。

 冒頭のデーモン博士の言い分です。

南部か。同窓のあいつにだけは負けたくなかった。だが、国際科学技術庁のポストをとられてからは、私は長い間、日の目を見ない屈辱の毎日を送り、挙げ句の果てはこのざまだ。くそっ、南部め。平和を守る筈の科学者が、ギャラクターに殺人兵器を売り込むとは……

 一方、南部博士の説明はこうでした。

そうかもしれない。しかし、私は彼を信じたい。彼は優秀な科学者だ。公害で汚れきったこの地球を、元の緑豊かな世界に作り直そうと、国際科学技術庁が設立された。その時私は彼とともに、重要な地位の候補に挙げられ、どちらか一人が選ばれることとなった。だが彼は次点で落選し、それ以来、我々の前から姿を消してしまった。デーモン博士は世界の平和を裏切ることの恐ろしさを誰よりも知っている男だ。

 確かに地位争いはあったようですが、落選したデーモン博士は、ISOによってその後延々と飼い殺しにされて冷や飯を食わされたというわけではなくて、どっちかというと自分からさっさと出て行ったようです。

 罠かもしれないという健に対して、

君達は、私の指令があるまでここで待て。私は一人で行く。男の約束だ。

と、南部博士は一人で出かけようとしました。81話で、甚平とジョーの間の「男の約束」に理解を示した博士らしい台詞ですね。

 デーモン博士から、

テストは、まずは大成功だった。これで、君と全く逆の立場になったというわけだな。

と、はっきりと敵に回ったことを通告された南部博士。なんだかちょっぴり悲しそうです。

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 南部博士が、

デーモン、君は天才だ。だがその才能が君の良心を破壊している。いいか、目覚めるんだ、デーモン。

と説得を試みたのに対し、

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 その手を振り払って、デーモン博士の返事は、

ははは……ナンセンス。地球に平和があれば、一方には必ず破壊者が存在する。君だってギャラクターが栄えてくれるおかげで、ご立派な地位に居座っていられるじゃないか。

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 さすがに南部博士も、

何てことを言うんだ、デーモン。

と言うしかありませんでした。
 ここで「ナンセンス」って出てくるのが70年代テイストですねぇ。当時の学生たちの流行語でしたから。

 それはともかく、今回の諸君はマヌケです。南部博士の護衛をするのに、南部博士の背後を走ったため、南部博士と向き合っているデーモン博士からは丸見えで、即座に見つかる事態に。まあ、デーモン博士の背後を走ったら走ったで、今度は南部博士に見つかって「君たちはなんでここに来たんだ!」と言われそうではありますが。

 デーモン博士に写真を撮られ、爆弾を投げつけられたあと、基地に戻った諸君。
 わざわざ出かけて罠にかかったことを気にする健ですが、南部博士は、

もうよい。私もデーモン博士を信じていたのだ。

と言ってます。そのシーンの一部が下の画像ですが、諸君と博士の身長差がはっきりわかる興味深い画像になってます。南部博士、ジョーよりも長身なんですよ。最初の設定画通りになってますね。

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 この後、対策はしなきゃならんということで、南部博士%作業中。ヘリコバギーに、強力電子膜をとりつけるという細工をします。
 保護メガネつけてます。

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 外すとこんな感じ。

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 実際に、メガネの上から着ける保護メガネってのがあるので、当時のアニメに登場させるあたり、タツノコの演出は芸が細かいですね。

 諸君が再度出撃し、ヘリコバギーでスモッグファイバーの網を破り、本体に突入。白兵戦ののち、健が、スモッグファイバーの自爆ボタンを押すようにデーモン博士に迫ります。

さすがは科学忍者隊だ。褒めてやる。世が世なら、お前達はわしの部下だった。南部はいい部下を持ったな。

これが、カッツェに送った写真の焼き増しだ。記念に南部に贈ろう。1分後に自爆する。逃げられるだけ逃げろ。

さらば。南部によろしくな。

 健、デーモン博士を助けようとはしていません。一度ギャラクターに取り込まれたら、二度と逃げられないというのがわかっていたからでしょうか。改心してくれるなら助けたって良かったかもしれませんが、プライドの高そうなデーモン博士のことだから、たぶん断るでしょうねぇ。
 最後には、

南部、俺は負けた。

って言ってますが、スモッグファイバーの仕組みを言っただけで早々に対策されちゃったわけですから、今回の作戦に関しては、開発能力では南部博士の勝ちでしょう。
 その南部博士は、諸君を出撃させるまでは平然としてましたが、それでも博士なりに気にしていたようです。出撃のあとはこんなご様子。

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 写真立てが倒れた音にに気づいて振り向く。

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 写真の方はこんな状態。

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 デーモン博士の性格からいって今更降伏はしないだろうし、仮に降伏したとしても今度はギャラクターに抹殺されるのは確実なわけで、どっちにしても死ぬしかないというのは南部博士にもわかっていたのでしょう。
 
 
 
 で、ここからが本題です(前置き長過ぎだ>自分)。
 南部博士とデーモン博士が一体何を争っていたのか?ということを検討してみます。
 別冊宝島「僕たちの好きな科学忍者隊ガッチャマン」では「出世争いに敗北しISOを去った」とあります。検証70年代アニメーションの方では、南部博士とデーモン博士の争いは権力闘争の1つだろうとしています。
 しかし、きちんと見ていくと、南部博士とデーモン博士の争いというのは、ISO内部の普通の意味での出世争いとか地位争いではなさそうです。

 結論からいうと、南部博士とデーモン博士で争った「地位」とは、「マントル計画に対する妨害を排除することを主目的とした防衛の最高責任者の地位」だろうと推定できます。はっきりした役職名は語られていませんので、仮に「防衛責任者」と呼ぶことにします。

 まず今回、デーモン博士は、南部博士に向かって「ギャラクターが栄えてくれるおかげで、ご立派な地位に居座っていられる」と断言しています。マントル計画は、地球人がやらかした公害対策として始まったわけですから、ここでいう「地位」がマントル計画の責任者の地位だとすると、意味が通らなくなります。ギャラクターがいなくなっても、マントル計画の責任者は相変わらず必要で、計画の方も進められるはずだからです。したがって、デーモン博士がいう「地位」とは、ギャラクターのような、妨害してくるやつがいて初めて意味を持つものでなければなりません。「防衛責任者」であればこれに当てはまることになります。
 75話で、南部博士が

世界の安全を任された私の立場にもなってみたまえ。

と言うシーンがあります。文字通りに受けとれば、南部博士は、マントル計画の責任者であると同時に、「世界の安全」に責任を負う地位にいるということになります。南部博士の発言は、デーモン博士の言葉と一致しています。ここでも、南部博士がやっている仕事は、表のマントル計画の責任者以外に、「防衛責任者」もやっているのだということがわかります。

 79話では、南部博士は次のように言っています。

あのコンピュータールームは、シークレット回線と呼ばれる極秘事項を収納した、いわば国際科学技術庁の心臓部だ。そして、極秘作戦の1つである、君達科学忍者隊の組織や秘密が、もれなく組み込まれているところでもあるのだ。

 忍者隊の結成は、南部博士の「私兵」として始まったのではなく、ISOのプロジェクトとして始まったということが、この部分ではっきりしています。それなりに富豪らしい南部博士が費用丸抱えで結成したものなら、その内容をISO本部のコンピューターに入れる必要など全く無いからです。後からISOで面倒を見るということになったとしても、秘密のうち必要な一部分だけを渡せば良いのであって、「もれなく組み込む」必要はありません。
 さらに、92話では、三日月基地に多数のISOの技師たちが勤務していました。そもそも、8話の基地建設時でも、陽動作戦にISOの職員が多数動員されています。おそらく、建設に従事したのもISOの人たちでしょう。忍者隊のメカにしても、壊された後、技師たちが大勢で作り直しているシーンがありました(67話)。南部博士自身は、ISOの情報部の指揮を執れる立場ではなさそうですが、全面的に情報部の協力は得ているようですし、逆に情報部の作戦のフォローのために忍者隊を出動させたりもしています。国連軍とは、出動の要請ができる程度の協力関係にあるようです。これらのことから考えても、南部博士の裏の仕事はISOの「防衛責任者」であることがわかります。
 ところが、第1話で、タートルキングが現れた時、ISO長官のアンダーソンでさえも、科学忍者隊の存在を知らず、ギャラクターが本当の敵だということを掴んでいた様子もありませんでした。その後、直接指令を出せるようになったようですが、居所や正体はやはり知らないままでした。これは、計画の全貌を知るのは「防衛責任者」のみであったことを意味しています。おそらく、極秘でやらなければならない仕事であったため、一旦、南部博士に委任された後は、プロジェクトに関わる人間の人選から計画の実行まですべて南部博士が行い、具体的な内容は秘匿していたのでしょう。機密保持というのは、知っている人間が少なければ少ないほど容易です。実際、ISO本部にはスパイの手が及んでいても、三日月基地のスタッフにはスパイはいませんでした。人選の仕方がそれだけ厳しいものだったからでしょう。
 これで、南部博士の裏の仕事が「防衛責任者」だということが大体はっきりしました。
 さて、南部博士によると、過去に、南部博士とデーモン博士は「重要な地位の候補に挙げられ、どちらか一人が選ばれる」という状態だったようです。もし、この「地位」が、表側の、例えば「マントル計画室長」の地位であれば、次点のデーモン博士が立ち去る必然性が乏しいのです。南部博士に「君は天才だ」と言わしめるデーモン博士ですから、才能の方は相当なものであったはずです。重要な地位の候補になる程度にはISOで成果を出してきたのですから、何もわざわざ出て行くことはないでしょう。堂々とマントル計画のナンバー2におさまり成果をあげて実力で南部博士を追い落とせば済む話です。それでもやっぱり同窓の南部博士が直属の上司にいるのが目障りだというのなら、ISOは巨大組織ですから、マントル計画の責任者と同程度の権限を持った地位は他にもあるはずで、そちらを狙ってゆくゆくは長官になることでも考えれば良いのです。そうなれば、デーモン博士は晴れて南部博士の上司です。ところが、デーモン博士はそのままあきらめて出ていってしまいました。これは、一旦争いに負けたら、実力で奪い返すのがほとんど不可能な地位を争っていたことを意味します。争っていた「地位」が、その存在自体が秘匿される「防衛責任者」であれば、表の業績をいくら上げても奪い返すチャンスはまずありませんので、デーモン博士の行動とは矛盾しません。
 南部博士は、「デーモン博士は世界の平和を裏切ることの恐ろしさを誰よりも知っている男だ」と言ってますが、これは、過去に「防衛責任者」の地位を争った間柄だったからではないでしょうか。与えられるであろう権限が極めて大きい「地位」で、それだけ必要性も高かったのでしょう。それを争ったということは、「世界の平和の維持の重大性」はお互いの共通認識でもあったはずです。こういった背景から出てきた南部博士の発言ならば十分に納得できます。南部博士って、お世辞は言いませんし、無根拠に他人を信じる脳天気な楽天家でもありませんから。
 今回、デーモン博士はギャラクターに兵器を売り込んで南部博士に挑戦してきます。南部博士と「地位」を争って負け、その「地位」に対する挑戦が、敵に回って攻撃をしかけるという行動だったということを見ても、南部対デーモンの争いは、「防衛責任者」の「地位」をめぐってものであったと推察できます。

 「地位」の争いの内容は、世界の防衛をどういう方針でやるか、という争いでしょう。
 忍者隊もギャラクターも、1話でやっと南部博士によって語られた存在です。デーモン博士との争いの時には、忍者隊を作って対処するとか、対処の主な相手がギャラクターだといったことは、まだはっきりしていなかったと思われます。
 この部分を考えるのに、参考になると思われるのが、南部博士の価値観です。南部博士は、心が人間の主体であって体は入れ物だという、近代的なヒューマニズムを受け入れた科学観の持ち主です。IIでジョーがサイボーグになったときの扱いを見るとよくわかります。人工の体でも心がジョーならそれはジョー、ということで、事実を知った南部博士は、驚きはしましたが、ジョーがサイボーグであることを当たり前のように受け入れています。体がヒトでなくなったと悩んでいるジョー本人とは全く対照的で、そもそも体がヒトでなくなったことを悩むという発想自体が南部博士には無さそうです。少し後にも書きますが、南部博士は人間中心主義者として、一貫性のある態度をとり続けています。従って、南部博士が提案した防衛方針が、人間を中心にしたものになることは明らかで、実際、メカも使うが基本は人間の能力を高めて対処する、という忍者隊の結成に行き着いています。
 一方、デーモン博士はどうかというと、南部博士ほど人間中心主義には徹していなかったと思われます。南部博士に挑戦するのに、高性能なメカであるスモッグファイバーを繰り出してきただけでした。南部博士と同じ発想をするのなら、特殊部隊の1つでも作って差し向けてきそうなものですが、目一杯メカの性能に頼るという作戦でした。カッツェから出された条件が忍者隊の素顔撮影であったこと、南部博士に対するわだかまりがあったことから、本人が操縦していましたが、単に攻撃するだけなら、自動操縦でも問題なかったはずです。
 ここから先は私の想像なんですが、デーモン博士の提示した防衛方法が、人間を不安定要素として排除する方向のものであった場合、ISOは採用したがらないでしょう。また、今回の作戦からみて、デーモン博士がそういう内容を出した可能性もそれなりにありそうです。
 いずれにしても、デーモン博士との争いに勝った後で、南部博士は、ギャラクターという敵がいることを突き止めたり、対応策として忍者隊を結成したりしていたのでしょう。時期的に見ても、争いの当時の諸君はまだ小さすぎますし、争った時にすでに忍者隊の話が出ていたとしたら、デーモン博士はもっと楽に忍者隊の正体に迫っていたはずですので。
 
 
 さて、(以前にここのコメント欄でも取り上げましたが)、OVAガッチャマンの小説版2巻(ソノラマ文庫)の後書きで、柿沼さんが、南部博士の設定について次のように書いていた件について。だいぶ本編を見直して一部書き換えなければならなくなったのでやっておきます。

 最後に南部博士だが、彼は生涯を通しての独身主義者。自分の才能を冷徹なまでに客観視できる男で、自分の”使い道”を決定する。学者肌だが、リーダーシップにも富む。きっと職務を終えた時(例えば六十歳になった頃)すごく若い女性と結婚でもするのだろう。
 リーダーシップを大きく二つに分けると東洋的なそれと西洋的なそれとに分けられる。前者は人のやがる仕事を黙々と行い、その行為に打たれて人々がその人を慕い、尊敬し集まってくるという物。後者は中世ヨーロッパの国王のそれで、実力を常に人々に誇示し他人を従わせるという物(あの、勇壮、華美な城や宮殿たちは、そのために必要だったのだ)。TVシリーズではあくまでも前者であった南部博士だが、時代の推移を鑑みるに小説版では後者に軍配が上がった。設定画のあの華美な氏の服装を見てもらえればそれが判るだろう。
 国際社会においても後者の方が通りがよい。まず何はさておいても”実力”が必要で、次にそれをいかにうまく人々に表明してゆくかが、リーダーには必要なのだ。私にはこれだけの揺るぎない実力があり、その結実たる結果がここにある!従って次のプロジェクトの中心人物は当然ながらこの私が務めるのが必然だろう。客観的にみてもそれが正しい!という行き方である。
 日本的に言うとこれは傲慢と言われかねないが、それは偏見だ。南部は、世界の運命は自分が握っている。だから皆さん、私に惜しみない助力をしてほしい……という立場で行動しているのである。彼にはその精神にも服装にもスキがない。21世紀中盤においては近視も遠視もたちどころに治ってしまう(丁度今日の歯科で虫歯を治療するより簡単にだ)。従って、南部のメガネはファッションである。サケ・カクテルを愛飲。ノースモーカー。

 柿沼さんは、TV版の南部博士を「東洋的なリーダー」だと考えていたようですが、私はこの見方には反対です。今回書いたような経緯で「防衛責任者」をやっていたのだとすると、TV版の南部博士はむしろ典型的な西洋的リーダーシップの持ち主だと考えないと話が成り立ちません。

 そもそもISOは、無計画に公害を垂れ流してまずいことになったから、科学技術の力でもって地球を作り変えようとしてできたとされています。これは、最近流行の「地球環境」をテーマにした物語(自然対人間の対立軸がある)とは、方向性がまるで違っています。自然を回復させるのも動物を保護するのも人類にとってその方が都合が良いからで、人為的に介入してやってしまおう、ということなので、主体は常に人間なんです。ISOの他のプロジェクトも作中に出てきますが、その内容は「すべては人類のために」に集約されています。こいう組織のトップに上がるとしたら、西洋的な意味で徹頭徹尾ヒューマニスト、つまりは筋金入りの「人間中心主義者」でしょう。そうでなければ、そもそも信用されませんし、ISOの方向性とも矛盾します。
 南部博士は、おそらくは「防衛責任者」として、大規模基地建設をやって運用もしていて、スタッフの協力も得られています。どう考えても「皆さんの助力が得られるならば、人類の未来は私が保証する」って姿勢を誰にでもわかるように出していない限り、基地建設に大人数を動員するのは無理でしょう。人の嫌がる仕事を率先して……みたいな曖昧なメッセージの出し方では、人はついてきません。軍事基地って攻撃目標でもありますから「南部博士に従っていれば生き残れる可能性が最も高い」ということや、「その仕事が人類の未来を決める重要な仕事である」といった動機づけがなければ、誰も協力しないでしょう。機密保持のためになかなか表に出れないということと、他人が嫌がることを目立たないように引き受けて信頼を得るいうのとは、全く別の話です。
 ISOは、価値観の多様な(そして多分西洋的価値観で動いている国が多数の)世界で、各国政府の信任によってある程度の判断を委ねられるだけの権威を備え、国連軍の指揮すら執れる権力を持っています。TV版の南部博士は、そういう組織で極秘任務であるとはいえ「防衛責任者」の任にある人物です。最後は長官就任ですが、自分が権力者になること、権力者であることの意味については、多分に自覚的で、ノブレス・オブリージュの塊みたいな人物です。権限と資金(おそらくは膨大な金額の使途不明金が発生)が長期にわたって集中するわけですから、俗物がこの地位に就いたのでは早晩腐敗して内部から瓦解します。
 
 
 それはさておき、2000年代に入ってから、USAで、Battle of the Planets(ガッチャマンのUSAでの放映タイトル)のカラーコミックスが出版されました。登場人物の名前が変更されてまして、南部博士はAndersonと呼ばれています。このAndersonの肩書が、”ISO Chief of Security”だというのが興味深いですね。南部博士とデーモン博士が争った「地位」とは、まさに、”ISO Chief of Security”であったのだと思われます。

現場で仕事(初代 83話)

|2010/6/14(月曜日)-23:41| カテゴリー: 初代
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 83話「炎の決死圏」。
 冒頭のISO本部ビルの先端部分に、ロゴらしきものが確認できる回です。
 諸君達は細い通路や穴の中での追いかけっこすることになるので、タイトルからわかるように「ミクロの決死圏」のパロディでもあると思われます。

 今回の作戦は、

ギャラクターの攻撃によって、地底マントル作業場が破壊され、その爆発によって生じた地中の裂け目に、ボーリングドリルのエネルギー源、つまり強力なウラン元素のカリフォルニウムが地中に落ち込んでしまったんだ。このまま放っておくとマグマ層に接触し、大爆発を起こすに違いない。それがこの地球に、どんな影響を及ぼすか。

ということで、カリフォルニウムのドリルを回収するのが諸君の仕事となります。爆発を起こすと直近のイエローサンド市は壊滅、さらに、地上の広範囲が巨大地震に見舞われて被害は計り知れない、といった様子でした。南部博士は、地質の専門家のカリグ博士が諸君と同行するように手配しますが、お約束通りカリグ博士はギャラクターの手先でした。
 南部博士は、諸君とカリグ博士を出発させます。諸君は、本部ビルの一室で、南部博士が事故の分析を終えるのを待っていたようでした。このあと、本部ビルでカリグ博士と顔合わせをして出発しますから、カリグ博士は三日月基地については一切知らない状態です。もしここで三日月基地に集まっていたら、即座に基地の場所がカッツェにバレていたはずです。作戦の協力者である高名な博士に対しても基地の秘密はしっかり守るあたり、さすがです。
 このあと、

N「サラサ砂漠のすぐ近くのイエローサンド市には、緊急避難命令が出され、コントロールタワーには科学技術庁の調査本部が設置された」

ということになるわけですが、南部博士はちゃんと調査本部に出向いてきています。

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 ギャラクターの妨害で、先に進めなくなったのを見ていて冷や汗かきまくりの南部博士。

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ああ、あと5分。もうだめか……

と、こんなご様子。

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 何とかぎりぎりでドリルの落下を止めることができた後、調査本部の部屋のカーテンを開ける。

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 外を眺めて冷や汗を拭いながら、

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まだこんな時間か……今日の1日は長かった。

と呟いてます。
 南部博士は、落下を止めるのに失敗したら大地震に見舞われて確実に壊滅するイエローサンド市の調査本部に出てきて最後まで仕事をしています。調査本部といっても、地下に潜った諸君に地上から手出しをすることは不可能で、単にモニターしているだけですから、安全な三日月基地に居たってできたはずです。
 マントル計画の一環で始めたことが大被害をもたらしそうだとあっては、マントルプランの責任者として引っ込んでるわけにはいかなかったということもあるのでしょうし、諸君だけを地下に送り込んで安全な場所で高みの見物というのも、南部博士としてはできなかったのでしょう。
 トラブルがあった時にはちゃんと現場に来て対応するから、南部博士はISO内部でも信頼されてるのかな、と思える回でした。

 というか、指揮官役の博士キャラにしては、よく働いている方だと思います>南部君。

手動なのか?(初代 82話)

|2010/6/13(日曜日)-23:25| カテゴリー: 初代
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 初代82話「三日月サンゴ礁を狙え!」。
 ギャラクター側の基地狙いが本格的になるにつれて、基地内の描写も増えてきています。
 ゴッドフェニックスが後をつけられて基地を発見されてしまいます。誤魔化そうにも間に合わない距離。

大至急移動だ。潜行しろ。ギャラクターが攻めてくる。

 南部博士が言いながらやってきたのがこの部屋。基地の移動用のロケットエンジンの制御室らしい。多分この回が初登場です。スタッフが詰めていることがわかります。

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 この回の描写と、92話で登場する大勢の技師達と、84話の会話を合わせるとまたいろいろ議論できそうなのですが、それはまた後日。

 三日月基地を移動させるために、基地下部のロケット噴射のレバーを操作する南部博士↓。
 潜行しろ、と言うわりには、ロケット噴射を下に向けて吹いているのはいかがなものかと思うのですが、それはさておき。

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 これ見て思わず「手動でやってるのか?」って仰け反りました。
 92話の崩壊シーンを見た限り、基地上部の三日月珊瑚礁ってかなり重量がありそうで、しかも水より重いです。擬装珊瑚礁がメガフロート構造ならば、一部分が破損しただけで一気に全体が水に沈むといったことは無いはずです。しかし、92話の描写では、ほとんど原型を保ったまま海中に沈んで、基地本体とぶつかっていますから、どうも自力で受ける構造ではないらしい。基地本体は、内部に空気を含んでいますから、浸水しなければ材料次第では浮いていられるかもしれません。ということで、そもそも、三日月基地の力学的に安定な姿勢とは、珊瑚礁の方を下にした姿勢ではないかと思われます。従って、珊瑚礁部分を上に出して、同じ場所に止めておくためには、常に制御している必要があります。基地本体の浮力で珊瑚礁部分を浮かせるのはおそらく無理でしょうし、バランスを崩したら上下逆になって、元に戻すのが至難の業になりそうです。こういう発散の強い系というのは、飛んでる航空機と同じで、推力を失わない限り制御が可能って世界になります。また、揺れがある程度大きくなったら、手動のみで安定させることは難しいでしょう。仮に、上の珊瑚礁が水よりかなり軽い(が、構造上何カ所か浸水すると沈んでしまうものだった)としても、制御をサボって浮かせっぱなしにすると、海の真ん中に浮いてる船と変わりませんから、波に揺さぶられることになり、職員の何人かはほぼ確実に「船酔い」する羽目になります。いずれにしても、地上とほとんど変わらない状態を維持するには、コンピューターでも使ってこまめに姿勢制御するしかないのが三日月基地です。
 ですから、南部博士が動かしている噴射レバーが、エンジン直結のような描写をされていたことに驚いたんですよ。それじゃ不安定になりますってば(汗)。

 このあと、焦りまくる南部博士という珍しいものを見ることができます。

博士、第一機関室に浸水です。このままでは潰されてしまいます!

と、担当技師から報告が。

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 その直後、モニターの向こうが水没。技師さんも流されたっぽい。

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 それをモニター越しに見ていた南部博士。

おい!

って叫んでますが、声、裏返ってますよ、博士……。

 その後も手動制御っぽいシーンが。
 

こっちのエンジンと同時にスタートしろ!

指示を出しておいて

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今だ!

掛け声と同時にエンジンのレバーを力一杯押し下げる南部博士。

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 掛け声と手動でタイミングを合わせてこんなデカブツの制御をするってかなり無茶です(汗)。
 おまけに、この直後にエンジン1つ魚雷で完全破壊されてますから、手動でやってたんじゃ推力バランスが狂って姿勢を崩しますよ、まったく……。
 また、上にくそ重い珊瑚礁を乗せた状態で、下から噴射したら、慣性というものがありますから、アームの部分に力がかかって上下方向に潰れそうです。
 こういうことを解決するには、戦闘機の制御と同じにするしかないです。つまり、行きたい方向と速度を指示し、それに応じて4基のメインエンジンと他のエンジンやらスタビライザーやらの状態を全部計算で決め、ほぼリアルタイムで制御して、指示通りの動きを実現する方式でないとダメです。もちろん、加速が急過ぎて本体が破壊しないように、リミッターも必須です。人間が移動の速度や加速度を感じ取ってフィードバックしていたのではとても間に合いません。
 まあ、南部博士だってそのへんは充分わかってて、敢えて人間が動かしてる感を残す実装にしたのかもしれませんが。

 今回は無事助かり、再浮上することができました。前の方に居る人達は、ユニフォームでも白衣でもない、スーツ族ですから、ISOの幹部級の人達が様子を見に来たってところでしょうか。左側はひょっとしてアンダーソン長官?

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 さすがに南部博士は浮かない顔です。

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 最悪の場合も覚悟しつつ、この先どうやって基地を守るのか、考え込んでいるご様子。触角頭もそれなりに跳ねてるので、気合い入れて先のことを熟考中のようです。
 ここで一度いろいろ考えていたから、基地の最後に際して、判断も決断も早かったのかもしれません。

 ついチャチャを入れたくなったので……。初代92話「三日月基地の最後」。
 魚雷で大破して崩壊する基地から救出された後の南部博士です。

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竜、ゴッドフェニックスを戻せ。三日月基地を爆破する。

超バードミサイルで基地を爆破するんだ。

と、血相変えて言い出します。

健、それからみんなも聞いてくれ。このあたりの海底は7000メートルだ。ギャラクターの科学力からして引き上げるのは簡単な作業だ。そうなれば、あの基地の中にある記録や資料が全てギャラクターの手に渡ることになる。科学忍者隊は感傷に溺れてはいけない。現実を厳しく見つめ、分析し、行動する。

 そりゃまあ、最大の問題は、忍者隊やISOの活動記録や資料が敵の手に渡るのを防がなくちゃならんということだというのはよーくわかるんですが……。

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 このイケメン南部博士を見ていたらどーしても聞いてみたくなったことが。
 博士、機密情報以外に他に何か隠してませんでしたか?
 いやその、博士も1年以上、三日月基地に住み着いていたわけで、プライベートにこっそりいろいろ持ち込んでいたんじゃないかと。マッドな方だと、例の砂漠で見つけた赤い砂とか、ギャラクターからかっぱらった蟻メカとか、ジゴキラーの苗とか、こっそりすり替えたヤマシナ博士の脳標本とかその他の人達の脳標本とか、表に出たらいろいろと倫理的に問題があったり危険だったりしそうな「南部コレクション」がありそうです。こういうのがもう一回ギャラクターの手に渡って兵器にされたんじゃ面倒なことになりそうです。でも、博士だって健康な男性ですから、それだけじゃ済まなくて例えば魔改造したフィギュアとかあったんじゃないかと疑ってます。無傷で引き上げられて全世界に晒されたら、地球の危機とは何の関係もないけれどもかなりイタいことになりそうで、そりゃ血相変えて超バードミサイルも撃ち込むだろうなあ、と思ってしまったわけですが。
 一度、膝詰め談判して「で、他に何持ってたんですか博士」と直撃インタビューしたくて仕方がないんですが、それをやったらその場で南部君に張り倒されそうな予感もします(汗)。

上司と部下(初代84、86話)

|2010/6/11(金曜日)-22:50| カテゴリー: 初代
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 ちょっと出張続きで忙しいので小ネタ。
 84話のアンダーソン長官。本部ビルの長官室(多分)から、南部博士に電話しているところ。

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 86話の南部博士。諸君を調査に向かわせて報告を待っているところ。

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 手を後ろに回して腰に当てる姿勢が似すぎていて笑った。
 長く一緒に仕事をしていると、上司と部下で仕草が似てくるものなのか……。

フルネーム判明の回(初代 81話)

|2010/6/6(日曜日)-23:42| カテゴリー: 初代
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 81話「ギャラクター島の決斗」。
 ジョーの物語&過去が判明する回、ということで名高い回ですが、そちらはジョーファンの方にお任せして、こちらでは南部博士に注目しておきます。
 まず、ジョーが居ないシーンから始まります。事情を知ってるらしい甚平に気付きますが、南部博士、妙に物わかりが
いいんですね。

そうかな?お前だけジョーのことを心配している風にも見えないんだがな

 と、さすがに鋭い観察力なのですが、その後、顎に手を当てて考え込むいつものポーズで

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そうか……みんな、そう甚平を責めるな。甚平はきっと、ジョーと、男の約束をしたんだろう

と発言。

私にはジョーの行き先がわかっている。

今日はジョーの両親の命日なのだ。

多分、墓参りに行ったんだろう。ジョーは君達にも言えぬ悲しみを胸にして、ギャラクターと戦ってきた。その苦しさを両親の墓にぶつけに行ったんだろう。

 南部博士には、大体予想がついていたようでした。
 それでも、なぜ今になって、と訝っています。

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それにしても、あれから10年経った今、なぜ急に墓参りなどに行く気になったのだろう。

 つまり、ジョーは、この10年間両親の墓参りはしていなかったということです。
 「なぜ急に」に対する回答はマリンサタン号での出来事で、健が南部博士に説明しました。
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そうか。そんなことがあったのか。

 南部博士によって語られた、ジョー救出の経緯は次の通り。

10年前、私は学会の帰りにBC島を訪れた。ギャラクターという組織があるのを知ったのはその時だ。そして、彼らに命を狙われたジョーを、密かに島から連れ出したのだ。

 ジョーの行き先がBC島ならそこは今でもギャラクターの巣窟ですから、危険極まりない。

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うん、この際ギャラクターの養成機関であるBC島を叩く必要があるな。よし、科学忍者隊出動!ゴッドフェニックス発進せよ!

と、またまたツンデレな出動命令素直に「ジョーを助けに行け」って言えないのかね南部君は……

 それはともかくとして、ジュゼッペ一族暗殺の結果を確認に来たカッツェと市長の会話はこんな具合でした。実はこれ、南部博士ファンにとっては重要なシーンなんです。

カッツェ「ジュゼッペの子供が死んだと報告してきたのは、確かお前だったな」
市長「はい、カッツェ様」
カッツェ「間違いあるまいな」
市長「間違いありません。ドクターが立ち会い、確かに死亡したという報告を受け取りました」
カッツェ「ドクターが?すると、その子供は病院で死んだというのか」
市長「はい。私達は、ギャラクターを裏切ったジュゼッペ浅倉とその家族を、一人残らず抹殺せよとのカッツェ様のご命令通り、あの海岸でジュゼッペ夫婦を射殺、その子供ジョージを爆弾で吹っ飛ばしました。ところが子供の方はまだ息がありまして。とどめの一発をぶち込もうとした時、騒ぎをききつけて市民が集まり始めました。そして医師の資格を持っているという旅の科学者がやってきて、ジョージを病院に連れて行きました」
カッツェ「診察はその男に?」
市長「はい、そして1週間後にジョージは死んだのです」
カッツェ「うーん、その旅の医師の身元はわかっているのか」
市長「えーと、10年前のことですから……待ってください、記録は残してありますから……ああ、ありました。そのドクターの名は南部」
カッツェ「なに」
市長「南部考三郎です。サインもあります」
カッツェ「な、南部が!馬鹿なヤツ、なぜそれを今まで隠していた!」
市長「は?このドクターの南部がどうかいたしましたか」
カッツェ「国際科学技術庁の南部だ。そして、裏で科学忍者隊を動かしているのも、その南部考三郎だ」

 南部博士のフルネームが呼ばれたのって、これが最初だったのではないかと。普段は「南部博士」「博士」「南部君」と呼ばれることはあっても、名まで呼ばれることは無いし、アニメのクレジットも「南部博士」しか出ていません。設定初期の「仙三郎」(設定画の記載)や、映画シナリオでの「千三郎」から変更されたことは、このシーンで確定です。ただ、この表記は有力説に基づいて書いただけであって、後に記すように、「考三郎」が確定したわけではありませんので、ご注意ください。

 ところで、今回の南部博士の説明をそのまま受け取ると矛盾が出ます。52話で語った内容は、

いや、諸君。健を責めないでくれ。むしろ私が責められるべきなのだ。ちょうどいい機会だ、君たちに話しておこう。もう14年前のことだ。ホントワール国がギャラクターと組んでV2計画の準備を進めていると知ったとき、私の研究所のテストパイロットをしていた一人の男に、ホントワール国に潜入し、その計画書を手に入れるように要請した。だが、悪の一大組織と一つの国家を相手のスパイ行為だ。万が一家族に危害があってはならないと、男はその時4歳の子供を私に預けた。そして、南の空で事故を起こし死んだと見せかけ、名を消し、姿を変え、ホントワール国に潜入した。そう、その男、レッドインパルスが健の父親だ。

というものでした。
 健とジョーの設定年齢は同じで、18歳です。健を南部のもとに残して鷲尾健太郎がホントワールに行ったのが14年前ですから、14年前には、南部博士はギャラクターの(地球上における)存在や活動状況をある程度は知っていたはずです。すると、今回の「 10年前、私は学会の帰りにBC島を訪れた。ギャラクターという組織があるのを知ったのはその時だ」をそのまま受け取ると矛盾が出ます。ニュースで1回見た、程度なら、前に見たけど忘れていたという説明も可能ですが、親友の息子を引き取り親友はスパイに出かけた原因がギャラクターですから、これを南部博士が忘れるはずがありません。今回の南部博士の説明は「(BC島にまで)ギャラクターという組織があるのを知ったのはその時だ」といった意味にとらないと、矛盾が生じてしまいます。

【お願い】
 もし、この回のシナリオあるいは録音台本を持っておられる方がいらっしゃいましたら、上のカッツェと市長の会話のシーンがどう書かれているか教えていただけないでしょうか。南部博士のフルネームの漢字表記が、どうなっているのか知りたいのです。この回のシナリオや録音台本での表記が、初代での南部博士の漢字フルネームの、最も公式な表記ということになるはずで、南部博士ファンにとってはかなり重要なことなんです。1級資料で確定するわけですから。他のフルネームの漢字表記はムック本などの2級資料のものばかりで、それぞれ違っていても優劣がつけられないのです。

性格が出てる描写(初代 80話)

|2010/6/5(土曜日)-23:03| カテゴリー: 初代
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 80話「よみがえれ!ブーメラン」
 アッシャム国を調査に行き、健だけが、車を運転したまま鉄獣の攻撃を受け、車が炎上した後、捕らえられてしまいます。回収できたのは、すすで汚れたブーメランだけ。

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 甚平は泣いてるし、他の3人は、すぐには信じられず実感も湧かない様子。
 南部博士はこの通りです。

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 そこへ、カッツェからの通信が入り、車ごと、鉄球やらドリルやらで健を殺す映像が流されます。
 このあとの南部博士、こんな様子でした。

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 まだ、カッツェからの健処刑映像が続いているのに、画面から目を背け、背を向けてしまうんです。
 指揮官なら部下の最期は見届けろ、と思うのが普通ですが、親子のような関係で過ごした時間がそれなりに長かったせいか、非情な指揮官にはなりきれなかったんだなぁ、ということがわかるシーンでした。

 健死亡確定、と思った後の南部博士が痛々しいです。
 諸君なら、お互い抱き合って「健〜〜」と泣くこともできるでしょうが、南部博士は指揮官という立場である上、V2計画阻止の時は健の親父を犠牲にし、今また健まで戦死させたとあっては、諸君と一緒に泣くこともできません。
 なので、一人で、三日月基地の窓に向かってしょんぼりするしかありません。実はこの部屋の手前側に4人が居るはずです。窓の外の魚はいつも通り元気です。

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 表情も暗く、落ち込みまくりです。

レッドインパルスよ。私は何と言って君に詫びればいいのだ。

 と、鷲尾健太郎氏の面影を思い出してめげる南部博士。

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 考えてみたら、こういう時に南部博士の愚痴の聞き役とか、慰め役になれる人って、回りに誰もいないんですよね。ISO公認(?)の目玉プロジェクトであるマントル計画でコケたんなら、アンダーソン長官あたりが愚痴聞いてくれそうですが、極秘プロジェクトの戦闘指揮官から「手塩にかけて育てた部下が戦死しました」て愚痴られても何ともし難いわけで。また、攻撃があったらアンダーソン長官は南部博士に向かって忍者隊を出動させろと命令しなければならない立場ですから、やっぱり南部博士が何か言える関係ではなさそうです。
 ところがこんな状況でも仕事は待っててくれません。「鉄獣が暴れ回って大被害なのでどーにかしてくれ」の電話が……。

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 めげてるヒマなぞありゃしないのですが、悲しんでる諸君に命令を出さなければならないのは南部博士です。そんなわけでやっぱりしょぼーん。

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 健処刑映像を流されてから、諸君も博士も部屋を移動していません。全体の位置はこんな感じでした。抱き合って泣いてるジュンと甚平の奥に見えるのが、南部博士が立ってた窓です。ジョーと竜も手前側に居ます。机一つ隔てて、向こう側とこちら側の立場の違いが際立っています。それが、余計に、孤独に耐えなければならない南部博士の姿を強調する演出になっています。

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 受話器を置いてから、諸君の方に向き直るのですが、その間、目を瞬かせていました。絵では描かれてませんでしたが、涙が滲んでるのを誤魔化しているような感じでした。

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 なんと切り出そうか一瞬躊躇った後、出撃命令を出す間も目を閉じています。目を開けたら涙が出そうだという感じです。

気持ちはわかる。しかし諸君達は科学忍者隊なんだ。命令に背くわけにはいかん

 という台詞からわかるように、今回の出撃命令は博士が先に決めたものでは無かったようです。南部博士にこう言わせることができ、忍者隊の出動命令をかけられるとしたら、アンダーソン長官しか居ません。長官直々の出動依頼だったのでしょう。
 科学力の差など理由で出撃したら全滅必至の場合であれば長官命令でも拒否する南部博士ですが、今回は、健を欠いた状態でも出動を拒否していません。錯乱光線の情報は甚平が持って帰ってきているし、4人でも何とかなるという判断はしていたのでしょう。
 被害状況の報告だけが来たとしても、南部博士のことですから、結局は、出動命令を出したのでしょうけど。

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 こうやって目を閉じててもイケメンで、しかも痛々しい様子の南部博士に萌えました……。
 ジョーが、「来るんだ、出動じゃない、健の仇をうちにいくんだよ」と、全員を鼓舞して出て行ったので、南部博士も少しは気持ちが楽になったかもしれません。すぱっと仇討ちに気持ちを切り替えることができたのは、やはり、両親を殺されたジョーの恨みがそれなりに深かったからでしょう。泣いたってギャラクターの危機が去るわけじゃない上に、落ち込んでるままの4人を戦いに行かせたのでは、逆に危険です。仇討ちということで気合いを入れて出て行ったのなら、勝って戻ってくる可能性はそれなりに高まります。
 結局、健はうまく逃げていて無事でした。ほっとして喜ぶ南部博士の姿が目に浮かびますが、やっぱり指揮官なのではしゃぐわけにはいかず、基地の窓向いて微笑んでたりしそうです。

 国際科学技術庁本部のシーンから始まるんですが。
 中盤までに出てきた本部ビルと形が違う上に、

N「アメリス国が誇る巨大都市アメガポリス。その都市のほぼ中央に、国際科学技術庁の本部がある」

ですから、一体どうなってるのかが謎です。

 それはともかく、国際科学技術庁本部の廊下で、南部博士はボロンボ博士とすれ違います。

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南部「ボロンボ博士、相変わらず仕事熱心ですな。いかが……」

 折角呼びかけたのに、ボロンボ博士は無視してさっさと立ち去ろうとします。まあ、この時には既にギャラクターに娘を人質にとられて、秘密データを盗み出すように脅されていたので仕方ありませんが。

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 よびかけたのに挨拶もしてもらえない南部博士。

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 ボロンボ博士はさっさと立ち去ります。
 取り残されっぷりが見事な、置き去り南部君……。あまりに見事に無視されて、一瞬絶句して固まってる後ろ姿が、なんだか寂しげでかわいいです。ISOでマントル計画室長をやってる自分が、「仕事熱心」って持ち上げた相手から、ここまで無視されるとは思ってもみなかったのかも。

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「博士、ボロンボ博士!」

 放っておけばいいのに、大声上げてわざわざ呼び止める南部博士。あからさまに無視されたのが気に障ったんでしょうか。

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 南部博士だって、仕事ぶりからいうと、普通の人の2倍も3倍も働いていることは確かです。その南部博士に「相変わらず仕事熱心」と言わせるボロンボ博士の普段の仕事ぶりは、多分相当なものであっただろうと推察されます。が、いくら多忙でも限度というものがあるわけで……。
 上の空だったボロンボ博士も、さすがに気付きますが、「本当に嫌な雨ですなあ」とだけ言ってさっさと廊下の向こうに消えます。やっぱり上の空。ところが本日の本部周辺は快晴。
 不審に思った南部博士が後をつけると、ボロンボ博士は、立ち入り禁止のコンピュータールームのドアを、ペン型のレーザーで焼き切ろうとしていました。
 階段の途中で立ち止まり、見ぃ〜ちゃった状態の南部博士。

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 普通ならここで、「一体何をやっているんだ」と声をかけたり、止めたりするでしょう。ところが、南部博士はそのまま階段を駆け上がります。南部博士が目撃したということを、ボロンボ博士に気取られないように、さっさと姿を消すわけです。そのまま警備室へ向かう。

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 警備室のモニターで、ボロンボ博士の挙動を監視します。

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 さすがに険しい表情です。
 監視しただけではなく、きっちり記録もしたようで、この後、三日月基地の巨大ディスプレィに、ボロンボ博士がコンピューターに怪しい装置をとりつけているところを諸君に見せています。
 仕事熱心で知られている(そして南部博士もそのこ認めている)ボロンボ博士が、スパイのような行動をとるというのは、南部博士にとっても驚きだったと思うのですが、とっさに「止めさせるよりも泳がせる」という判断をするあたりは、実に南部博士らしいです。これまでも、敵を欺くには味方から、というパターンで散々作戦をやってきているわけで、そうでもしないと秘密が保てない状況である以上、怪しいのを見つけたら背後関係まで探って関係者全員引っ張り出さないと、対策したことにはならないということなんでしょう。
 諸君への説明で、南部博士は

あのコンピュータールームは、シークレット回線と呼ばれる極秘事項を収納した、いわば国際科学技術庁の心臓部だ。そして、極秘作戦の1つである、君達科学忍者隊の組織や秘密が、もれなく組み込まれているところでもあるのだ。

 と言ってますから、忍者隊結成も、一応はISOがらみのプロジェクトだったと考えるべきでしょう。南部博士の私兵として作られたのかと思っていましたが、それなら、忍者隊の組織や秘密をISOのコンピューターに入れる必要はありません。とはいえ、アンダーソン長官でさえ忍者隊の秘密を知りませんでしたから、南部博士の権限で行った極秘プロジェクトだったのでしょう。
 笑えたのが南部博士の自問自答。

いや、事態はもっと深刻なのだ。あれほど厳重な警備装置を置き、万全の態勢をとっているにも関わらず、今度のような事件が起きたとなれば、今後の警備態勢ももう一度考え直さねばならない。

と言っておきながら、魚を眺めてちょっと考えただけで、

そうだ。ちょっとした特殊プラスチックでも使用したら、赤外線などは苦もなく騙される。

あっさり警備の抜け穴に気付いてます。博士気付くの早すぎ。というか、こういう事態が起きるまで真面目に考えてなかったのではないかと疑ってしまいます。

 それはそれとして、南部博士が警備室に行ったとき、警備室に誰も居ない様子だったのはいかがなものかと。ボロンボ博士が許可なく立ち入れない部屋にドアを壊して入って変な装置を取り付けていれば、真っ先に怪しんで様子を見に行くのは警備員だし、南部博士が来た時にはその話をするはずですが、そんな様子はありませんでした。一応、警備員が居るシーンもありましたので、警備室担当の方々はパトロールにでも出かけていたのでしょうか。だとしたら、むしろ、警備の穴はそっちではないかと。警備室の監視が無い時間帯を狙えばやりたい放題ってことですから、立派なザルです。南部博士は、赤外線のゴマカシ方を問題にする前に、警備員のシフトの方を問題にすべきではないでしょうか。

 78話「死斗!海底1万メートル」
 ジョーの両親がギャラクターのメンバーで、抜けようとして殺されたことが明らかになる回ですが、そちらはジョーファンの方にお任せするとして……。
 今回は珍しく、ギャラクターとは関係無しに出動することになります。ギャラクターも後からやっては来るのですが、ギャラクター側も運任せの部分があったような。
 仕事のきっかけは、断層地震が頻発中のマリアン海溝にある国際科学技術庁の海底研究所から1週間連絡がないので調査が必要になった、というものです。この調査のために、南部博士は、健とジョーを潜航艇マリンサタン号に乗せて派遣します。ジョーは体調悪そうなんですが、南部博士はジョーに仕事を依頼します。

いや、万一の事故を防ぐためには計画通り実行したい。

よし、念のため言っておくが、もし潜行途中でマリサタン号に事故が起きた場合、たとえどんな状態にあろうとも、任務を放棄し、帰還するように。いいな。なお私達は水中レーダーでマリンサタン号を監視している。では、成功を祈る。

 二人が出発した時点では、海底研究所のトラブルとギャラクターを結びつける証拠は何もありませんでした。南部博士も、ギャラクターとは関係無いと考えて送り出したようで、事故の可能性しか考えていません。
 南部博士も、調査船に出向いてそのまま滞在し、マリンサタン号の監視やら何やら仕事をしています。ジュンは、博士のアシスタント役をこなしています。

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 研究所に向かうのは健とジョーだけです。状況次第では、救助した技術者達を潜航艇に乗せて戻らなければいけない状況なので、最初に大人数で行くわけにもいかなかったのでしょう。ギャラクターを相手にする時は単独行動を戒める南部博士も、今回は2人だけで別行動をとらせています。このことからも、南部博士が、研究所のトラブルとギャラクターとはさしあたり関係がないと考えていたことがわかります。

いや、それもおかしい。ギャラクターははっきりと利益があると見ない限り、手を出さない。海底研究所が今までに集めたデータを整理しても、有益な資源があるとも思われないのだ。

 これが南部博士の考えでした。研究所の業務自体はマントルプランの一環だったかもしれませんが、資源の確保にも結びつかず、さほど重要な位置づけでは無かったことも、ギャラクターがわざわざ手間暇かけて狙うはずはないだろうということの根拠になっていたようです。
 ところが、ギャラクターの海底空母がやってきて、マリンサタン号を追い抜いて海底に向かいます。マリンサタン号よりも先に基地に到着したギャラクターの隊長と兵士達は、研究所に誰もいないことを不思議がっていました。カッツェは、忍者隊が出てくると予想していた口ぶりで命令を出していましたが、研究所からの連絡途絶の調査に忍者隊が出てくることを予想していたというよりは、研究所を襲えば確実に研究所まで忍者隊をおびき寄せることができる、というつもりだったのではないでしょうか。ただ、ギャラクターが到着した時には、既に研究技師達は全員居なくて、ギャラクター側も空振りになってしまいました。
 こんな状態なので、南部博士も不審がります。

おかしい。現在、マリンサタン号以上の高性能な潜航艇を所持している国は無いぞ。やはりギャラクターか……

 考え込んでこんなご様子↓。

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 ほとんど同じコマに見えるんですが、南部博士が頭をかきながら考えるシーンって珍しいです。顎に手を当てて考えるポーズは頻出してるんですが。で、このとき、髪の跳ね具合が微妙に変わるのが何ともかわいい……。

 ところでこの回、ギャラクター潜水艦内の会話がカッツェに筒抜けであったことがわかります。南部博士もゴッドフェニックス内の会話をモニターしていた節があるわけで、南部博士とカッツェって、実は妙なところで似たもの同士なんでしょうか。

 ところで突っ込みポイントを1つ。
 ISOの海底研究所はこんな形です。

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 円筒型の部分の下が出入り口で、潜航艇が入るようになっています。研究所内部から見ると出入り口はこうなっています。

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 この海水面ですが、直接外の海とつながっています。ということは、基地内部が海底1万メートルの水圧と釣り合うだけの気圧になっているということなんですが、居住環境としてはまずいですね。もしやるのなら、2重にハッチを設けて、潜水艇が入った後で外側ハッチを閉めて内側ハッチを開ける、といった形で、研究所自体は密閉された構造にして内部を1気圧程度に保っておかないといけません。この構造だと、1万メートルの水圧と同じ気圧が内部の人間にかかっちゃいます。が、そういう描写は無かったような……(汗)。

 結局この回は、ギャラクターが変装した所員を救助したため、マリンサタン号がハイジャックされる結果になり、ギャラクターの海底空母に連れて行かれるのだけど、健が大暴れして無事脱出、という展開になります。
 行方不明だった研究技師達は、潜航艇で調査に出たまま幽霊水にのまれて動けなくなって殉職、という結果でした。行方不明の原因は、ギャラクターとは何の関係もありませんでした。

 今回の調査は、国際科学技術庁の業務の1つでしょう。南部博士が担当しているマントル計画の一部であったかもしれません。資源探査については目ぼしい成果は無かったようですが。ギャラクターとやり合う羽目になってなければ、今回のような仕事が、南部博士の日常になったと思われます。基地に籠もって戦闘の指揮を執るよりも、あちこち出向いて、時には調査船に乗り込んでマントルプランの現場のトラブルシュートをやる、という姿の方が、南部博士には似合っている気がします。特に、諸君のような優秀な若い人達をスカウトできれば、大変頼りになるチームが出来上がります。諸君にしても、事が戦闘でなければ、単独行動が過ぎるとか命令違反は許さん、などと叱りとばされることも無かったでしょう。今回のような仕事を楽しく一緒にやっていくというのが、ギャラクターが来なかった場合に、彼等にとって有り得たもう1つの姿のように思えました。