「人喰い花ジゴキラー(前編・後編)」(初代 39、40話)。

 カッツェが宇宙空間からジゴキラーの種を蒔いたために、巨大化した食甚植物が大暴れします。が、なぜか女性ばっかり襲われる。ジュンも襲われたのですが、かろうじて逃げる。ジュンのスケッチから、人類発生前にはびこっていたジゴキラー草だろうということに。

 南部博士はタイミング良く特殊カプセルを開発済みでした。ジゴキラーによる深刻な被害をよそに、諸君を前に説明する南部博士、上機嫌です。

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南部「まさか、世界中の女性にあんなものをかぶせるわけにもいかないし」
ジュン「何ですの、あれは」
南部「どんな圧力にも耐えられる深海用のカプセルさ。やっと試作品の第一号ができたばかりなんだがね」

 ジュンを見てにっこり南部博士、なかなかの自信作だったようです。

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 その後、ジュンは、勝手にカプセルを持ち出して着用し、ジゴキラーの調査に向かいます。

人聞きの悪い事言わないでよ。博士のために実験用モデルになるんですからね

 南部博士が聞いたら泣いて喜びそうな台詞を残して……。案の定、甚平の目の前でジゴキラーに飲み込まれてしまいます。
 ジュンが居なくなったのも気にせず、ジゴキラーの研究に熱中する南部博士。

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 ジゴキラーが貯水池に集まってきた、というので、わざわざ現地に出てきた南部博士。すごく嬉しそうです。

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 ジュンが中に居るかもしれないのに、焼き払え、と命令する博士。

しかしあの何十万、何百万とある花の中からどうやってジュンを探し出すのだ。それは不可能に近い。ぐずぐずしていれば、あの花は増えていくばかりだぞ。

 南部博士としては、この時点で、自分が作ったカプセルの性能に自信があったから、ジュンが居たって大したことないや、と思っていたのでしょう。しかし、カプセルを着て出たことは博士も甚平も伝えず。ジュンを殺すのではないかとしょげている健にも博士は何も伝えず。多分、カプセルに自信がありすぎて、「お前は何を言っているんだ」くらいにしか思ってなかったのかも。
 結果として、諸君は、自分達がジュンを焼き殺したのではないかと思い込んだまま、後編に突入します。

 落ち込みまくっている諸君は放置して、博士はジゴキラーに熱中。

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 来てくれたのか。

と嬉しそうな博士。暫く一人で閉じこもって研究していろいろ進んだので、ジゴキラーの話を聞いてくれる人が来たから嬉しがっているだけでした。

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見たまえ、これが君たちの届けてくれた小さな花だと信じられるか。ジゴキラー草は暗闇と水の中では大きくなり、太陽のもとでは小さくなって身を守る習性があるのだな。
君たちはシーモンキーを知ってるだろう。あの小さな生物は孵化する条件が揃うまで、いつまでも卵の中で生き続ける。このジゴキラー草も同じだ。

 ジゴキラーが育ったので本当に嬉しそうで、嬉々として語り始めます。諸君は、ジュンのことを相談しに来たに違いないのですが、そんなのはガン無視してジゴキラーの話ばっかり。
 シーモンキーは懐かしいですね。私も育ててたことがあって、学校から帰ると、この回の博士みたいに、ずっと顕微鏡にかじりついて見てましたよ。

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南部「その昔、といってもまだ人類が出現していない時代、この地球上は雨と雷の一時期があったという。おそらくこの花は、その頃棲息していたのだろう。もっともっと大きな姿で。やがて、太陽が地上を照らし、明るいのどかな時代がくると、ジゴキラーは小さな花となり、無駄なエネルギーを使わないように身を守った。次に日射しから身を守るため、固い殻につつまれて永い眠りについた」
健「しかし、なぜジゴキラーは女性ばかり狙うんですか」
南部「それは……まだわからない。それさえわかれば一挙にジゴキラー草を壊滅させる手も考えられるんだが」

 と語りまくっておいて、ジュンを焼き殺したのではないかとめげている諸君を前に、

いや、ジゴキラー草は生きている。あの作戦はあのまま増え続けるのを防いだだけだと思っている

 と、あっさり片付けてしまいます。
 博士のこの平然とした表情、ジュンのことは全く心配してない上に、諸君が悩んでいるとも思ってなさそうです。諸君にとっては大ダメージな言葉ですが、南部博士の方は、そんな簡単に退治する方法がわかったのではおもしろくない、と、研究者としての挑戦心をかき立てられてむしろ楽しんでいる様子。

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 だから、健が

もし、もしジゴキラーが生きているとしたら、俺達は何のためにジュンを犠牲にしたんだ。

と言い出したのを聞いて、逆にビックリしています。

君たちは、まだジュンがあの花の中に居たと信じているのか

 本当に、「えっ?」という顔してます南部博士。燃やす前に健とジョーで揉めてたのは見てるはずなんですが、多分、ジゴキラーのことで頭がいっぱいで、気にしてなかったんでしょう。

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馬鹿な、君たちはなぜ私を信じてくれない。私の作ったカプセルをジュンは着ていた。圧力にも熱にも耐えられるようにできているんだ。もし、ジュンがあの花の中にいたとしても、焼け跡から元気で出てくるはずだ。

 せっかく新製品自慢してるのに、今度は諸君が聞く耳持たず。まあ、最初にもっとカプセルの性能を説明しておけばよかったんですが……。が、しょんぼりしている理由は、無視されたからではなくて、せっかく作ったカプセルの性能を誰も信じてくれないことの方ではないかと……。ジゴキラーの方はそんなことにはおかまいなしに元気いっぱいですけれど。

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 無線で健によびかけても無視されています。
 このあと健はスナックJに行き、家に戻ってきたところをレッドインパルスに張り倒されます。南部博士がレッドインパルスに何か愚痴ったんでしょうけど。しかし、南部博士にも説教しておいた方がいいと思います>レッドインパルス。南部博士ときたら、ジュンが死ぬわけない、という肝心のことをちっとも諸君に言わず、自分だけ勝手に納得してるわけで。

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 バードスクランブルをキャッチして集まってきた諸君を前に、南部博士は平然としています。

南部「何い、バードスクランブル?」
健「はい、俺だけではありません。ジョーや、竜や、甚平にも」
南部「バードスクランブルは言葉で交信できないとき、ブレスレットを強く押さえて連絡をとるのだが、しかし罠かもしれん」
健「罠?」
南部「あくまでも一つの推定だが、ブレスレットを手に入れたギャラクターが使い方を知らずに叩いても同じ発信は出る」
健「たとえ罠だとしても、行かせてください博士。今の俺達はそうでもしなければ」
南部「よし、科学忍者隊、ギャザーゴッドフェニックス発進せよ」

 博士の頭の中では、ジゴキラーを焼いてもジュンは出てこなかった→カプセルのおかげでジュンは生きているが貯水池のジゴキラーの中には居なかった→しかし連絡もないところを見ると生きてギャラクターにつかまったに違い無い、ということで納得済みの模様。納得すると同時に、やっぱり自分の開発したカプセルの性能に間違いはなかった、と思ってそうですが。

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 出撃命令は出しても指示は与えず、さっそくジゴキラーのところに来ている南部博士。
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わからない。あらゆる毒物を使用しても効き目がない。一体ジゴキラーの弱点はどこにあるんだ

 相手が思いの外頑丈だとわかって段々手段がエスカレートしてる模様。嬉々としてややこしいものを入れまくる南部博士の姿が目に浮かびます。一体どんなヤバイ実験をしたのか、詳しく聞いてみたいものです。

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 手すりで怪我をしたので、ハンカチで手当して戻ろうとしたら、ジゴキラーが暴れ出してびっくり。

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どうしたんだ……おぉ、枯れた……。ジゴキラーが枯れた……

 どうやっても枯れなかったジゴキラーなので、本気で驚いている南部博士。

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 折角育てたジゴキラーが枯れて、めちゃくちゃ残念そうな南部博士。ジュンが居るかもしれない状態で「焼き払う」とやった時とはえらい違い。
原因不明の理由で実験材料に死なれた研究者の反応としては正しいんですが……。

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血……私の血を吸って枯れた。そうか、ジゴキラーがなぜ男を襲わなかったか。

 弱点に気付く南部博士。

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こんな簡単なことがなぜ今までわからなかったのだ。はははは……

 両手を腰に当てて高笑いする南部博士。解決策発見で一人で大満足。

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 さっそく、ジゴキラーを枯らすための薬を作ってレッドインパルスに持たせます。そこに、ジュンを救出した健からの連絡が。

南部「南部だ。健か」
健「博士、ジュンは助け出しました」
南部「そうか、良かったな、健。私の方もジゴキラーを壊滅させる方法を見つけたぞ。簡単なことだったよ。ジゴキラーが男を襲わなかったのは、男の体内にジゴキラーにとって毒作用を起こすものがあったからだ」
甚平「あ、おいらたちの体に毒が?」
南部「染色体だ。いいか、女性の染色体はXが2つ、男性はXにYだ。ジゴキラーは染色体Xを必要としているが、男性だけが持っているYには異常反応をあらわすんだ。私は染色体研究所からこのYという染色体を大量に借りて特殊爆弾をつくりあげた。今、レッドインパルスがそっちへ飛び発った。ジゴキラーが滅びるのは時間の問題だぞ」

 ジュンが助かったことは「そうか、良かったな」の一言で片付けて、ジゴキラー対策を延々説明する南部博士。

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 最初から最後まで、ジュンの心配はちっともせず、ジゴキラーばっかり気にしていた南部博士でした。我が身を使って性能テストに協力したんだから、もうちょっとジュンも大事にしてあげてほしいです……ってそういう問題じゃないか。